ものづくり補助金平成27年度製造業和歌山県

仕上げ加工工程の生産性向上、納期短縮と研磨技術の技術蓄積

尾高ゴム工業株式会社

この事例のポイント

  • 大型の旋盤設備がなく、650本以上のロールの仕上げ(ゴム拭り含む)を外注しており、輸送時間とコストがかかっていた。
  • 大型NC旋盤を導入し、これまで外注していた大型ロールの仕上げ加工を社内で行える体制を整えた。
  • これまで年間300本程度の大型ロールを外注仕上げとして発注していたが、その50%まで内製化を進めることで年間1800万円の輸送費削減を計画している。

事業者のプロフィール

事業者名尾高ゴム工業株式会社
所在地和歌山県 紀の川市
業種ゴム製品製造業
技術分野精密加工
従業員数75人
資本金5,000万円
設立1943年

事業の背景

創業は大正13年で、当初は繊維機器向けの産業用ゴムロールを製造していたが、その後、製鉄所向けのゴムロールを中心に事業を大きく拡大した。現在は鉄板の搬送や薬品を絞る工程など製鉄所の各工程で使われ、国内製鉄所向けでは業界一のシェアを誇る。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力大型の旋盤設備がなく、650本以上のロールの仕上げ(ゴム拭り含む)を外注しており、輸送時間とコストがかかっていた。
  • 納期・工程外注先でゴム拭りしたロールを車で輸送して受け入れ、ゴムの成型を行っていたため、納期の短縮が難しかった。
  • 新製品・新技術製鉄所から耐摩耗性と摩擦係数の向上を求められていたが、セラミック入りゴムの研磨には特殊な器具と技術が必要で、そのノウハウの蓄積が課題だった。

やったこと

大型NC旋盤を導入し、これまで外注していた大型ロールの仕上げ加工を社内で行える体制を整えた。外注先でゴム拭りしたロールを受け入れていた従来の方法を改め、ゴムロールを直接入荷して最終加工まで実施できるようにした。仕上げ加工を自動化し、加工中に次の仕事の準備を並行して行えるようにした。製鉄所からの要求に応えるため、合成ゴムとセラミックのハイブリッド材料を使い、その研磨技術の向上とノウハウの蓄積を進め、情報の流出防止も行った。加工中のバイトの摩耗が激しく刃物の切れも悪くなるため、耐摩耗性の良いバイトの検討と加工時間の短縮を並行して進めている。

新しい製品・サービス:セラミック入りゴムロール(合成ゴムとセラミックのハイブリッド材料)

事業の効果

これまで年間300本程度の大型ロールを外注仕上げとして発注していたが、その50%まで内製化を進めることで年間1800万円の輸送費削減を計画している。製鉄所一工場、工場一製鉄所というシンプルな物流へシフトし、短納期化と生産性の向上につなげている。作業者1人当たりの売上額も増収の見込みである。セラミック加工などの特殊技術では技術料として単価を上げ、今後も生産性向上と加工単価アップを継続していく予定である。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性国内製鉄所向けゴムロールで業界一のシェアを持ち、セラミック入りゴムの研磨技術で差別化して市場拡大を図る戦略が明確。
  • 4
    課題の認識と解決年間300本の外注を50%内製化し年間1800万円の輸送費削減を計画するなど、課題に対応した実効性の高い計画になっている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け製鉄所から耐摩耗性と摩擦係数アップの要求があり、ハイブリッド材料で応える点に顧客ニーズの裏付けがある。

伸びしろがあった観点

  • 2
    イノベーションへの貢献仕上げ加工の自動化には触れているが、先端デジタル技術やサプライチェーン全体のイノベーションへの言及は薄い。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    大正13年創業からゴムロール製造を続け、製鉄所向けに事業を拡大してきた経緯があり、今回の内製化は既存事業の延長として位置付けられている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    国内製鉄所向けゴムロールで業界一のシェアを持ち、セラミック入りゴムの研磨技術で差別化して市場拡大を図る戦略が明確。

  • 課題の認識と解決4

    年間300本の外注を50%内製化し年間1800万円の輸送費削減を計画するなど、課題に対応した実効性の高い計画になっている。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標3

    年間1800万円の輸送費削減と加工単価アップの継続を計画しているが、付加価値額や賃上げの具体的な目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    ゴムロール製造の実績と社内加工の経験があり、大型NC旋盤導入と内製化を進める体制が示されている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    製鉄所から耐摩耗性と摩擦係数アップの要求があり、ハイブリッド材料で応える点に顧客ニーズの裏付けがある。

  • 事業化までの道筋3

    耐摩耗性の良いバイトの検討や加工時間短縮を並行して進める課題解決の方針が示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    セラミック入りゴムの研磨という特殊技術で高付加価値化・高単価化を図り、特殊加工に技術料を上乗せする方針が示されている。

公的補助の必要性2.7
  • 波及効果・雇用3

    製鉄所の人手不足や三交代制の現場負荷軽減に寄与し、海外展開も見込むなど地域外への波及が示されている。

  • 費用対効果3

    輸送費削減1800万円や製品寿命延長によるメンテナンス回数削減など、投入に対する効果が一定程度示されている。

  • イノベーションへの貢献2

    仕上げ加工の自動化には触れているが、先端デジタル技術やサプライチェーン全体のイノベーションへの言及は薄い。

政策面2.5
  • 成長分野への進出2

    製鉄所向けの製品性能向上や海外展開には触れるが、日本経済の構造転換に資する成長分野への進出という観点は薄い。

  • 地域経済への波及3

    和歌山の地域企業として製鉄所向けゴムロールで業界一のシェアを持ち、地域の産業を支える事業として位置付けられている。

今後の展望

製鉄所では人手不足が続き、若者の現場離れが進んでいるため、製品の性能を上げて現場の負荷を減らし、製鉄所が安定操業できるよう支えたいと考えている。製品寿命を伸ばしてメンテナンス回数を減らし、顧客のコスト削減にもつなげる。差別化できる競争力を武器に海外進出も検討しており、動き出した中国市場をはじめグローバル展開を推進中である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。