ものづくり補助金平成27年度製造業島根県

組子技術と設計士・空間デザイナーとの関係強化で、質の高い吉原ブランドの確立

有限会社吉原木工所

この事例のポイント

  • 住宅の洋風化で床の間が減り、組子の欄間や書院障子の出番が少なくなっていた。
  • 組子の模様を大柄化して部材の木取りサイズを大きくし、平面の建具を立体的なインテリアに変える曲げ組子技法を開発した。
  • 全自動の工作機の導入で作業中の人員張り付けが不要になり、加工時間が短縮されて生産性が大幅に向上した。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社吉原木工所
所在地島根県 浜田市
業種家具・装備品製造業
従業員数9人
資本金500万円
設立1958年

事業の背景

棚田が広がる島根県浜田市三隅町で昭和33年に創業し、作り付け家具や建具を中心に木工製品を手掛けてきた。帰郷した四男は富山県の組子専門店で6年間修行した。帰郷当時は住宅の洋風化で床の間が減り、組子細工の欄間や書院障子の需要が少なくなっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 販路・情報発信住宅の洋風化で床の間が減り、組子の欄間や書院障子の出番が少なくなっていた。
  • コスト・採算組子は熟練の技が必要で機械化が難しく、生産性とコストに課題があった。
  • 販路・情報発信下請け型の立ち位置で、手仕事では難しいデザインや高品質の提供に対応しきれなかった。

やったこと

組子の模様を大柄化して部材の木取りサイズを大きくし、平面の建具を立体的なインテリアに変える曲げ組子技法を開発した。そのデザインを用いたリビング障子はグッドデザイン賞2013年度を受賞した。組子の部材を加工する全自動NCラジアルソーを導入し、コンピューターに数値を入力すれば設計通りに切り込みを入れられるようにした。同社ホームページでリビング障子を写真と価格付きで掲載し、個人の施主にも直接販売できるようにした。デパートの展示会、パリの国際見本市メゾン・エ・オブジェ、東京国際展示場に出展し、英訳文の会社紹介ページも新たに掲載した。

新しい製品・サービス:組子模様を大柄化したリビング障子と、平面建具を立体化した曲げ組子技法によるインテリア製品

事業の効果

全自動の工作機の導入で作業中の人員張り付けが不要になり、加工時間が短縮されて生産性が大幅に向上した。コストも改善されたため、一般家庭が求めやすい価格設定ができるようになった。手仕事では難しいデザインや高品質の加工も可能になり、設計士や空間デザイナーから求められる特殊な案件に対応できるようになった。下請け型から提案型へと立ち位置も変わりつつあり、ホームページからの施主の注文が大半を占め、30〜40歳代の若い世代にも取り入れられている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.1 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    課題の認識と解決床の間減少という課題に対し、大柄化と機械加工で生産性・コストを改善し、下請けから提案型へ移行したと具体的に書かれている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付けリビング障子をホームページで価格付きで掲載し、30〜40歳代の施主から注文が大半を占めるなど顧客とニーズが示されている。
  • 4
    新しさ・高付加価値組子の大柄化や曲げ組子など業界の常識を破る新分野を切り拓き、機械加工でも手仕事では難しいデザインに対応している。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標生産性向上や一般家庭が求めやすい価格設定は書かれているが、数値目標や高付加価値・賃上げの目標値は見当たらない。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    木工事業の延長で組子に注力し、リビング障子など新用途を次々提案してきたと書かれている。経営戦略上の位置づけは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    床の間の減少という市場変化を踏まえ、富山での6年の修行による技術を活かして新分野を開拓したと読める。優位性の具体数値はない。

  • 課題の認識と解決4

    床の間減少という課題に対し、大柄化と機械加工で生産性・コストを改善し、下請けから提案型へ移行したと具体的に書かれている。

事業の実現可能性2.8
  • 付加価値・賃上げの目標2

    生産性向上や一般家庭が求めやすい価格設定は書かれているが、数値目標や高付加価値・賃上げの目標値は見当たらない。

  • 事業を進める体制3

    専務が6年間の修行を積み組子製品を担当する体制は読めるが、人材や事務処理体制の具体的な記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    リビング障子をホームページで価格付きで掲載し、30〜40歳代の施主から注文が大半を占めるなど顧客とニーズが示されている。

  • 事業化までの道筋2

    海外展示会や英訳ページへの挑戦が述べられるが、中長期の遂行方法やスケジュールは書かれていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    組子の大柄化や曲げ組子など業界の常識を破る新分野を切り拓き、機械加工でも手仕事では難しいデザインに対応している。

公的補助の必要性2.7
  • 波及効果・雇用2

    伝統的木工技術の継承や海外への日本の伝統美の発信がうかがえるが、雇用や波及効果の数値は書かれていない。

  • 費用対効果3

    全自動NCラジアルソーで作業員の張り付けが不要になり生産性が大きく上がったとあるが、投資額や効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    コンピューター数値入力による機械加工と設計士との連携が書かれ、デジタル技術の活用は読み取れるが、業界イノベーションへの広がりは薄い。

政策面4.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及4

    島根県浜田市三隅町の地域で伝統工芸の組子を活かし、高付加価値の提案型事業へ転換した点が事例に具体的に書かれている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。