ものづくり補助金平成27年度製造業高知県

“高知からTPP主要国へ” 日本食を担う水産物輸出の為の設備導入事業

有限会社タカシン水産

この事例のポイント

  • 小型魚の多くは干物加工以外の商品開発が進んでおらず、すりみ加工用として低価格で県外に出荷されている。
  • マグロをブロック販売から大トロ・中トロ・赤身を寿司用に一定の重量に揃える定貫ネタ加工へ切り替え、付加価値の高い商品として販売する。
  • プロトン凍結切り落としが大手レストランチェーンのまぐろ丼用食材に採用され、売上が伸びている。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社タカシン水産
所在地高知県 高知市
業種食料品製造業
従業員数36人
資本金1,000万円
設立1999年

事業の背景

当社は冷凍マグロ・カツオ・クジラの冷凍ブロック加工や近海魚の冷凍一次加工品を中心に製造・販売を行ってきた。近年は和食がユネスコの無形文化財に登録され、欧米で和食ブームが起きており、寿司や刺身の需要が高まっている。一方で人気の寿司ネタに日本の食材はあまり使われていない。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力小型魚の多くは干物加工以外の商品開発が進んでおらず、すりみ加工用として低価格で県外に出荷されている。
  • 新製品・新技術真空パックの際の圧力で刺身などの薄い食材の身質が劣化し、ドリップの原因にもなっていた。
  • 人手・技能海外の飲食店には刺身を造る包丁技術のある調理スタッフが少なく、刺身の提供が難しい。国内でも包丁技術のある調理者の雇用が難しくなっている。
  • 品質・精度加工場内は水を大量に使うため湿度が高く、カビや雑菌が繁殖しやすい状態だった。

やったこと

マグロをブロック販売から大トロ・中トロ・赤身を寿司用に一定の重量に揃える定貫ネタ加工へ切り替え、付加価値の高い商品として販売する。本事業で、魚の三枚おろしを自動化するフィレマシン、鮮度を保つプロトン凍結機、真空パックを行う真空包装機、製造環境を整える電解次亜水生成装置と除湿機を導入した。プロトン凍結機は鮮魚の細胞破壊を防ぎ、解凍時のドリップを少なくする。電解次亜水生成装置は低温(3℃)設定で殺菌水を作り、除湿機2台で加工場内を夜間に完全乾燥させる。高知県版HACCP第2ステージ認証を取得する水産物加工場を整備した。

その他プロトン凍結機
加工機フィレマシン
加工機真空包装機
その他電解次亜水生成装置
その他除湿機

新しい製品・サービス:大月町産養殖本マグロと土佐おとめまぐろ(天然ビンチョウマグロ)のプロトン凍結切り落とし、ニギスフライ、ニギス天ぷら、トビウオ刺身などの高付加価値商品。

事業の効果

プロトン凍結切り落としが大手レストランチェーンのまぐろ丼用食材に採用され、売上が伸びている。寿司ネタ完成品は専門職人の手を要さず需要が高く、量販店・飲食店からの引き合いが増えている。フィレマシンで小魚の三枚おろしが高速化し、冷凍フライや天ぷら用フィレとして出荷できるようになった。加工場の衛生環境も保たれている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    事業取組みの経緯で平成22年の室戸工場建設や冷凍マグロ加工の実績が書かれ、水産加工から高付加価値商品への展開が一貫しているが、経営戦略上の位置付けの明文は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    和食人気や寿司ネタの海外需要不足、海外での刺身包丁技術者の少なさに言及し、高知の魚を使う強みも示されている。外部環境と強みの対応は読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    国内の包丁技術者不足を課題と認識し、プロトン凍結で刺身食感を再現した切り身や寿司ネタの加工品化を解決策として示している。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの数値目標は書かれておらず、大手チェーン採用や引き合いの増加がうかがえる程度にとどまる。

  • 事業を進める体制2

    平成28年の改装や高知県版HACCP認証取得の記載はあるが、補助事業の遂行を担う人材や事務体制の具体的な記述は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    土佐おとめまぐろや切り落としの商品特徴、大手レストランチェーンでの採用、量販店・飲食店からの引き合い増加など顧客ニーズの裏付けが示されている。

  • 事業化までの道筋3

    海外販売の課題として賞味期限・ロット・輸送費を挙げ、調整段階と記載しているが、スケジュールや解決方法は具体性に欠ける。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    プロトン凍結による刺身同等の食感再現や切った状態での商品化など、高付加価値化の方向性が具体的に示されている。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用4

    高知の近海魚がすりみ用に低価格で県外出荷されている現状を挙げ、資源活用と地域水産業の付加価値向上という公的意義が読み取れる。

  • 費用対効果2

    補助金額に対する付加価値額の増加や生産性向上の数値は示されておらず、費用対効果は読み取れない。

  • イノベーションへの貢献3

    プロトン凍結やHACCP対応の衛生管理は示されるが、デジタル技術や新ビジネスモデルによるサプライチェーン貢献は薄い。ネット販売の展開予定が記載されている。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    海外和食市場への輸出という成長分野への進出はうかがえるが、日本経済の構造転換に資する根拠は示されていない。

  • 地域経済への波及4

    高知市御畳瀬や宿毛湾の地域水揚げ資源を活用し、大月町産養殖マグロなど地域産品を高付加価値化する取組として具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

海外市場への販売には賞味期限・ロット・輸送費などの課題があり、解決に向けて調整中。見本市での反応は良く、需要は確実にあるとしている。今後は県外の外食チェーン、量販店、問屋への販路拡充と、対消費者向けネット販売にも力を入れる。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。