ものづくり補助金平成27年度製造業佐賀県

舶用内燃機関部品シリンダ・ライナの高性能NC旋盤による高精度加工

東亜工機株式会社

この事例のポイント

  • 高強度・耐摩耗性の素材を壊さずに機械加工する方法を確立する必要があった。
  • 高強度・耐摩耗性のシリンダ・ライナを高精度に加工できる大型NC旋盤(大日M150RX400型 CNC旋盤)を導入した。
  • 重切削が可能となり、従来に比べ10〜15%増の加工負荷に対応できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名東亜工機株式会社
所在地佐賀県 佐賀県鹿島市
業種輸送用機械器具製造業
技術分野精密加工
従業員数311人
資本金1億円
設立1944年

事業の背景

当社は佐賀県鹿島市の小さな工場から始まり、戦後の混乱や度重なる経済不況を乗り越えて舶用部品メーカーとして成長した。ディーゼルエンジン用大型シリンダライナの製造ではシェア世界一の地位を得ている。主力は低速エンジン向けの大型船舶用シリンダ・ライナで、川下ユーザーからのニーズが高い。船舶のディーゼルエンジンは年間5千〜8千時間使用され、燃料はC重油である。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度高強度・耐摩耗性の素材を壊さずに機械加工する方法を確立する必要があった。
  • 生産能力当時のNC旋盤は昭和45年製の汎用旋盤を改造したもので、サイズが小さく経年劣化により加工精度の維持と加工効率に難点があった。
  • コスト・採算生産システムを改善してリードタイムを短縮し、コストを下げる必要があった。

やったこと

高強度・耐摩耗性のシリンダ・ライナを高精度に加工できる大型NC旋盤(大日M150RX400型 CNC旋盤)を導入した。本機は重切削(切り込み量・送り速度の増加)が可能で、強力な切削能力と精度維持を備える。自動セット機能により段取替時の負担軽減も期待でき、機械の剛性が高く長期間使用に耐える設計となっている。導入後は動作を検証し、オペレーターの社内トレーニングを行い、実加工と製品評価で生産性向上とコスト削減への効果を確認した。

事業の効果

重切削が可能となり、従来に比べ10〜15%増の加工負荷に対応できるようになった。加工時間は約10%短縮し、取り付ける工具数も4本から8本に増えた。夜間の無人運転も可能になり、生産量は約25%増加し、1日あたりの加工能力も約25%増えた。加工精度と生産能率が向上し、段取工数の削減による省力化と、加工中のトラブル激減による品質の安定につながった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.0 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    これまでの取組との一貫性鋳造から加工までの一貫生産体制を基盤に、旧城下町の工場から舶用部品を手がけ、大型シリンダライナでシェア世界一と一貫した強みが示されている。
  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性低速エンジン向け大型シリンダライナでシェア世界一、一貫生産で無駄がなく顧客ニーズに柔軟対応できる点を競争優位として明示している。
  • 4
    課題の認識と解決旧設備の加工精度低下・効率難点を課題として認識し、大型NC旋盤導入で加工時間約10%短縮、生産量25%増と解決の方向が具体的。

伸びしろがあった観点

  • 2
    事業化までの道筋今後の課題として海外メーカーへの品質・短納期対応の継続が挙げられるが、遂行スケジュールや解決の具体策は薄い。
経営戦略との整合性4.0
  • これまでの取組との一貫性4

    鋳造から加工までの一貫生産体制を基盤に、旧城下町の工場から舶用部品を手がけ、大型シリンダライナでシェア世界一と一貫した強みが示されている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    低速エンジン向け大型シリンダライナでシェア世界一、一貫生産で無駄がなく顧客ニーズに柔軟対応できる点を競争優位として明示している。

  • 課題の認識と解決4

    旧設備の加工精度低下・効率難点を課題として認識し、大型NC旋盤導入で加工時間約10%短縮、生産量25%増と解決の方向が具体的。

事業の実現可能性2.8
  • 付加価値・賃上げの目標3

    加工時間約10%短縮、加工負荷10〜15%増、生産量25%増といった目標があり、導入後の検証結果も示されている。賃上げ目標の記載はない。

  • 事業を進める体制3

    動作検証の上でオペレーターの社内トレーニングを実施し、実加工・製品評価を行った手順が示されており、遂行体制は確保されている。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    国際市場では海外メーカーとの価格競争があり、品質・短納期が選ばれる理由と整理されている。顧客ニーズ(大型船舶用の高強度素材)も明確。

  • 事業化までの道筋2

    今後の課題として海外メーカーへの品質・短納期対応の継続が挙げられるが、遂行スケジュールや解決の具体策は薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    高強度・耐摩耗性が求められる大型シリンダライナで、素材を壊さない加工方法を確立し、シェア世界一の高付加価値分野に位置する。

公的補助の必要性2.3
  • 波及効果・雇用3

    舶用エンジン部品の供給を通じ国内外の造船業を支えており、川下の造船業への波及がある。雇用創出の記述は薄い。

  • 費用対効果2

    加工時間短縮や生産量増加の数字はあるが、補助金投入額に対する付加価値増加や費用対効果の記述がない。

  • イノベーションへの貢献2

    高性能NC旋盤の導入はあるが、デジタル技術や新ビジネスモデルによるサプライチェーンへの貢献は明確に書かれていない。

政策面2.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及2

    佐賀県鹿島市で創業した地域企業という記述はあるが、地域の特性を活かした雇用創出や地域経済成長への言及は薄い。

今後の展望

国内および国際市場でのシェアアップを目指す。国際市場では価格競争が強いため、コストダウンを進めて競争力を高める。より高強度で加工の難しい製品を供給し、高出力エンジンの製作に寄与する。鋳造から加工まで行う一貫生産体制の強みを生かし、無駄のない供給と柔軟な対応を続ける。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。