ものづくり補助金平成28年度製造業岩手県

NC旋盤機導入による生産性向上と販路の拡大

成果円盤部材の加工時間 8時間→4時間

この事例のポイント

  • 円柱型行燈の台の円盤部分の加工を外注していたが、外注先の高齢化が進み、指定の納期どおりに納品されることが難しくなっていた。
  • NC正面旋盤を導入し、円盤部材の加工を社内で行えるようにして、製作工程のすべてを内製化した。
  • 円盤部材の加工時間 8時間→4時間。円盤部材の加工を含むすべての工程を内製化したことで、外注先に頼らず製作を進められるようになった。

事業者のプロフィール

所在地岩手県 一戸町
業種家具・装備品製造業
技術分野精密加工
従業員数2人
設立1964年

事業の背景

主力商品はスクリーンと円柱型行燈で、購入する顧客は全国に広がっており、その8割は富裕層の個人客である。すべて受注生産で、受注から商品納入まで通常3か月を要する。組子細工は国内で長山工芸のみが作れる南部細目組紋様が強みで、代表の長山三蔵氏は平成21年に黄綬褒章を受章し、現代の名工にも選ばれている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 納期・工程円柱型行燈の台の円盤部分の加工を外注していたが、外注先の高齢化が進み、指定の納期どおりに納品されることが難しくなっていた。
  • 納期・工程外注する材料の運搬に時間がかかり、その間は組子細工の製作も止まってしまっていた。
  • 生産能力受注から商品納入まで通常3か月かかり、3人体制の家内生産では再注文に応じきれず、販売の機会を逸することがあった。

やったこと

NC正面旋盤を導入し、円盤部材の加工を社内で行えるようにして、製作工程のすべてを内製化した。長年の使用に耐える強度を保ち、精度が維持され操作しやすい設計の NC正面旋盤と、長さや角度を指定した特注品の特殊刃7本を導入した。導入後の試作では特に問題なく操作でき、精度も出たため、NCルーターを扱える後継者と代表者との2人体制で円盤部材の加工が可能となった。さらに正面旋盤の導入によって部材の曲げ加工技術を革新し、曲げ工程の技術も進化させた。

加工機NC正面旋盤
その他特注の特殊刃7本

新しい製品・サービス:2メートルを超す長尺行燈

事業の効果

  • 円盤部材の加工時間 8時間→4時間
  • 円柱型行燈の製作総時間 48時間→40時間
  • 1か月あたりの生産個数 4個→10個

円盤部材の加工を含むすべての工程を内製化したことで、外注先に頼らず製作を進められるようになった。作業工程が大幅に短縮され、量産化にも対応できる見込みとなり、旅館や飲食店などからの多数の注文にも応じやすくなった。生産性が向上し生産量が確保されたことで新規顧客の開拓につながった。長尺行燈は間接照明に加えオブジェとしての活用も見込まれ、宿泊施設や高級飲食店などの新たな顧客開拓につながっている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性3

    過去の組子細工や南部細目組紋様の技術を基に、NC正面旋盤で内製化する方針が示されている。位置付けの明文化は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    曲線を表現できる組子細工は国内で長山工芸のみと記載があり、外部環境に対する独自の強みが具体的に読み取れる。

  • 課題の認識と解決5

    外注先の高齢化で納期が守れない課題を示し、加工時間8時間から4時間、製作総時間48時間から40時間、月4個から10個への増加を記載している。

事業の実現可能性64%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    円柱型行燈の月産個数4個から10個への増加や製作時間削減など数値目標と実績が示され、実現性が高いと読み取れる。

  • 事業を進める体制3

    従業員2名で後継者と代表者の2人体制による加工が可能になったと記載があるが、事務処理体制などの記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    旅館や飲食店、富裕層の個人客など顧客層と、木漏れ日のような明かりという製品価値が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    長尺行燈の開発やLEDテープライト採用、海外展示会出展などの方向性は示されるが、スケジュールや課題解決の詳細は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    南部細目組紋様は立体的な表現が可能な独自技術で、同分野で高付加価値の製品として具体的に説明されている。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    伝統工芸の技術継承や新規顧客開拓に触れるが、雇用創出や波及効果など国が補助する積極的理由の記述は限られる。

  • 費用対効果3

    生産個数の増加や製作時間の削減など効果は数字で示されるが、補助金投入額に対する費用対効果の記述はない。

  • イノベーションへの貢献1

    先端的デジタル技術やサプライチェーンへの貢献に関する記述は、公開されている事例からは読み取れません。

政策面50%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及4

    岩手県一戸町の伝統技術を活かした製品で、宿泊施設や飲食店への展開など地域の事業として具体的に記載されている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

海外への販路拡大を検討しており、昨年は台湾で開催された日本物産展に出展し、今年も台湾での営業が予定されている。日本の手仕事の良さを発信し、将来はヨーロッパやアメリカにも立体的な組子細工を広めたいと考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。