ものづくり補助金平成28年度製造業栃木県

海外販路とインバウンド消費を目指す、日本初「熟成甘口の生にごり酒」製造

第一酒造株式会社

この事例のポイント

  • 海外への日本酒輸出やインバウンド需要が伸びる中、海外の流通業者や販売業者から差別化できる商品への期待が高まっている。
  • 麹(酵素)の力による糖化で甘みを増した生にごり酒の製造を目指した。
  • 新しい設備により製造工程中の酵母混入が避けられ、温度管理が図れたことで、安定した品質の製造が可能になった。

事業者のプロフィール

事業者名第一酒造株式会社
所在地栃木県 佐野市
業種飲料・たばこ・飼料製造業
技術分野バイオ
従業員数14人
資本金1,000万円
設立1673年

事業の背景

当蔵は約340年の歴史を持つ日本酒の蔵元である。近年、海外への日本酒輸出は数量・金額ともに右肩上がりで成長しており、訪日外国人観光客数も著しく伸びている。一方で、地域色や産地による差別化は外国人に伝わりにくいのが現状である。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 販路・情報発信海外への日本酒輸出やインバウンド需要が伸びる中、海外の流通業者や販売業者から差別化できる商品への期待が高まっている。
  • 販路・情報発信日本酒や農産物の地域色や産地による差別化は、外国人にはイメージしにくく伝わりにくい。
  • 品質・精度日本中の蔵元が実現していない品質での差別化が求められている。

やったこと

麹(酵素)の力による糖化で甘みを増した生にごり酒の製造を目指した。全国の酒蔵のうち遠心分離による上槽を導入しているのは10社程度しかなく、その技術を活かした。拠心分離により上槽した原酒のにごった部分のみを回収し、加熱殺菌を行わないことで、酵母が働かず炭酸ガスを発生させない無濾過の生にごり酒を製造した。さらに製造した日本酒を冷蔵で瓶内熟成させ、米由来の酵素による糖化を瓶内で行った。品質安定のためベーンポンプ、冷水器、アルコール測定システムを導入し、製造工程中の酵母混入を避け温度管理を可能にした。

新しい製品・サービス:米由来の甘みを活かした生にごり酒

事業の効果

新しい設備により製造工程中の酵母混入が避けられ、温度管理が図れたことで、安定した品質の製造が可能になった。すっきりとした米の甘みと華やかな香り、白くにごっていても固形分を感じさせない清涼感が特徴の商品となり、品質の差別化が実現した。甘みはすべて米由来で砂糖等を使わないため、無添加食品を求める消費者のニーズに合致する。糖分やカロリーを抑えられる点も、健康面での他のアルコール飲料との差別化につながると考えている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.0 / 514観点のうち12観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 5
    新しさ・高付加価値砂糖を使わず麹の酵素で糖化させる生にごり酒は、日本中の蔵元が実現していない新しい製法で、同分野で高付加価値化を図っている。
  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性全国の酒蔵の約1割(10社程度)しか導入していない遠心分離上槽を活かし、どの蔵元も実現していない生にごり酒の製造を目指す点で競争優位性が明確。
  • 4
    顧客とニーズの裏付けユーザーを既存日本酒にない味を求める愛飲家や食の安心・安全を意識する愛飲家と定義し、砂糖不使用・低糖質という選ばれる理由も整理されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    事業化までの道筋新設備導入と瓶内熟成の工程は述べられているが、スケジュールや課題解決の方法は記載が薄い。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    設立1673年の蔵で約340年の歴史があり、遠心分離上槽など既存技術を活かした新製法に取り組んでおり、過去の取組との一貫性が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    全国の酒蔵の約1割(10社程度)しか導入していない遠心分離上槽を活かし、どの蔵元も実現していない生にごり酒の製造を目指す点で競争優位性が明確。

  • 課題の認識と解決3

    海外での差別化要望の高まりという課題を認識し、品質の差別化で応える計画となっている。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標ー

    公開情報では判断できません。

  • 事業を進める体制3

    ベーンポンプ、冷水器、アルコール測定システムの導入で品質管理体制を整える計画が示されている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ユーザーを既存日本酒にない味を求める愛飲家や食の安心・安全を意識する愛飲家と定義し、砂糖不使用・低糖質という選ばれる理由も整理されている。

  • 事業化までの道筋2

    新設備導入と瓶内熟成の工程は述べられているが、スケジュールや課題解決の方法は記載が薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性5.0
  • 新しさ・高付加価値5

    砂糖を使わず麹の酵素で糖化させる生にごり酒は、日本中の蔵元が実現していない新しい製法で、同分野で高付加価値化を図っている。

公的補助の必要性2.0
  • 波及効果・雇用2

    訪日外国人増加や日本酒輸出拡大に触れるが、経済波及効果や雇用創出の記述は弱い。

  • 費用対効果ー

    公開情報では判断できません。

  • イノベーションへの貢献2

    新技術による新商品の開発は述べられているが、地域やサプライチェーンへの貢献は明示されていない。

政策面2.5
  • 成長分野への進出2

    海外輸出や訪日客向け販売という成長市場への進出は触れられているが、構造転換への言及は乏しい。

  • 地域経済への波及3

    地元の風土が醸す地酒の味わいを大切にすると述べ、地域特性を活かした製品づくりを志向している。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。