ものづくり補助金平成27年度製造業京都府

分析システムと新商品化設備導入による海外市場開拓も見据えた高品質清酒製造開発

竹野酒造有限会社

成果1試料あたりの測定時間 45分→10分

この事例のポイント

  • 特定名称酒を、ばらつきなく高品質に製造することが課題だった。
  • 分析システムとして「迅速アルコール測定システム」を導入した。
  • 1試料あたりの測定時間 45分→10分。迅速アルコール測定システムの導入により、分析作業が大幅に効率化され、誰でも測定でき、測定誤差も出にくくなった。

事業者のプロフィール

事業者名竹野酒造有限会社
所在地京都府 京丹後市
業種飲料・たばこ・飼料製造業
技術分野バイオ
従業員数5人
資本金8,000万円
設立1948年

事業の背景

戦後に休業していた4軒の蔵が合同で、地元向けに日本酒製造を再開した会社である。主要製品は普通酒と特定名称酒で、特定名称酒は地元や全国の小売店に販売し、一部は海外へ輸出している。清酒の国内出荷量はピーク時に170万㎘を超えていたが、近年は50万㎘前後まで減少している。一方で特定名称酒の出荷量は増加傾向にあり、消費者の志向は「量から質へ」と変化している。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度特定名称酒を、ばらつきなく高品質に製造することが課題だった。
  • 生産能力特定名称酒を多くの消費者に届けるため、効率的に製造することが課題だった。
  • 生産能力手作業で1試料ずつ蒸留して分析しており、測定工程が非効率だった。
  • 品質・精度旧来の蛇管による殺菌瓶詰めでは風味が損なわれ、バランスの崩れた商品になる可能性があった。

やったこと

分析システムとして「迅速アルコール測定システム」を導入した。このシステムは蒸留法と密度計の両方の利点を備え、試料(ろ液)の体積を天秤と密度の両面から算出する方式を採用している。極めて少ない試料で密度測定、水蒸気蒸留などの一連の作業を全自動で行える。測定時間は1試料あたり従来の約45分から約10分に短縮され、手作業より測定誤差も出にくい。あわせて「パストライザー & パストクーラー」を導入し、手作業だった蛇管による殺菌瓶詰めを、瓶に詰めてから加熱する方式で自動化した。これにより香味のバランスが良好で揮発のない状態で殺菌瓶詰めできるようになり、速度は500本/H(1800㎖)である。

検査測定迅速アルコール測定システム
加工機パストライザー & パストクーラー

事業の効果

  • 1試料あたりの測定時間 45分→10分
  • 1試料あたりの必要量 150ml→30ml

迅速アルコール測定システムの導入により、分析作業が大幅に効率化され、誰でも測定でき、測定誤差も出にくくなった。パストライザー & パストクーラーの導入により、殺菌瓶詰めが自動化され、香味のバランスが良好で揮発のない品質で瓶詰めできるようになった。品質のばらつきを回避して再現性が向上し、各種コンクールで上位入賞するような高品質の特定名称酒を安定して作り出せる見込みである。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    戦後休業の蔵再開から地域向け製造を続けてきた経緯と、特定名称酒を重点的に取り組んできたことが書かれ、一貫性はうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    国内出荷減と特定名称酒増加、海外輸出増加に触れ市場動向を示すが、自社の強み・弱みの分析は具体的に書かれていない。

  • 課題の認識と解決3

    課題として特定名称酒をばらつきなく効率的に製造することを挙げ、解決策を示すが、高付加価値化の定量目標は書かれていない。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    1試料約45分が約10分になるなど数字はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    3人の息子が酒造技能士資格を持ち従業員で製造すると書かれ、人材面の体制はうかがえるが事務処理体制は不明。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    契約農家米での生産や全米日本酒歓評会銀賞など品質の裏付けがあり、顧客ターゲットは海外含めて示されるが整理は薄い。

  • 事業化までの道筋3

    導入設備の効果と今後の海外取引深化の方針は書かれるが、スケジュールや課題解決の段取りは具体的でない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    特定名称酒は消費者志向の変化で増加傾向と書かれるが、高水準の高価格化を示す数値は乏しい。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    海外輸出の拡大や世界への貢献を掲げるが、雇用創出や波及効果の数字は書かれていない。

  • 費用対効果2

    測定時間や必要試料量の削減数字はあるが、補助金額に対する付加価値増加の費用対効果は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    新しい分析システムや殺菌設備の導入は書かれるが、サプライチェーン全体への貢献は示されていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    海外市場への進出と日本食ブームへの対応はうかがえるが、構造転換への言及は明確でない。

  • 地域経済への波及2

    京丹後の地域に住む方々との交流やテイスティングルーム運営が書かれ、地域性はうかがえるが成長効果は不明。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

科学技術の進展により「世界が市場」という時代になっており、補助事業の結果、より安定的で高品質な商品を提供できるようになった。今後は国内にとどまらず海外も含めた信頼できる取引先との交流を深め、特定名称酒のグローバルマーケティングにより世界中の消費者に満足してもらえる清酒を作り続けていく方針である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。