ものづくり補助金平成28年度製造業東京都

綿生地で作る総柄Tシャツの生産力強化による受注の拡大

株式会社エー・ディー・ピー

この事例のポイント

  • 既製品の縫製済みTシャツにプリントする方式のため、首回りや肩など縫製部分にはプリントできず、顧客からの綿の総柄Tシャツの問い合わせに応えられなかった。
  • 綿のTシャツにプリントできる株式会社島精機製作所の大型インクジェットプリンタ「SIP-160F3」を導入した。
  • 毎時約25着のTシャツをプリントできるようになり、生産力が大きく高まった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社エー・ディー・ピー
所在地東京都 墨田区
業種印刷・同関連業
技術分野デザイン
従業員数28人
資本金500万円
設立1975年

事業の背景

1975年創業の印刷会社で、同人誌・印刷名刺・建築図面の複写や製本などの紙印刷に加え、Tシャツプリントを扱っている。近年はTシャツプリントの業績が好調で、主に高校などから注文を受けている。市販の既製品では総柄プリントのTシャツが増え、顧客から綿の総柄Tシャツの問い合わせも増えていた。オーダーメイドで綿の総柄Tシャツを扱う競合は少なく、ニッチな市場の取り込みが期待できる状況だった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力既製品の縫製済みTシャツにプリントする方式のため、首回りや肩など縫製部分にはプリントできず、顧客からの綿の総柄Tシャツの問い合わせに応えられなかった。
  • 人手・技能独自性の高いシルクスクリーンの技術習得には10年かかると言われ、後継者が育ちにくい。
  • コスト・採算特殊な技術が必要なTシャツプリントでも価格競争が年々激しくなっている。

やったこと

綿のTシャツにプリントできる株式会社島精機製作所の大型インクジェットプリンタ「SIP-160F3」を導入した。最大プリントエリアは1.6×2.4mで、1枚ずつ生地を敷いて印刷するフラットベッド方式では国内最大級の設備である。プリント解像度は600dpi、プリント速度は40㎡/hで、位置測定は機械自体が行う。デザイナーがイラストレーターのデータをプリンタ付属のソフトウエアに転送し、オペレーターが呼び出してセットすれば、あとはプリンタが仕上げる。綿素材は乾燥に時間がかかり従来の乾燥機ではパワーが不足したため、乾燥機も新規に購入し、印刷設備の導入に伴い事業所を移転した。

加工機SIP-160F3(大型インクジェットプリンタ)
ソフトプリンタ付属のデザインソフトウエア
その他乾燥機

新しい製品・サービス:綿生地の総柄Tシャツ

事業の効果

毎時約25着のTシャツをプリントできるようになり、生産力が大きく高まった。版を作る必要がないためシルクスクリーンより低コストで、全面グラデーションやアニメキャラクターの忠実な再現など、これまでにない表現が可能になった。綿の総柄Tシャツの増産ニーズに応えて受注が広がり、収益安定の基盤を築いた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    従来からのTシャツプリント事業と高校などの注文実績を踏まえた導入で、過去の取組との一貫性はうかがえるが、経営戦略上の位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    綿の総柄Tシャツは競合が少なく差別化できると記載され、既存の職人技術とプリント技術を融合する強みも具体的に示されている。

  • 課題の認識と解決3

    価格競争の激化という課題と、増産ニーズへの対応による収益安定化は書かれているが、数値目標や成長への道筋は薄い。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    毎時約25着のプリント能力は示されているが、付加価値額や賃上げの目標値は記載されていない。

  • 事業を進める体制2

    職人の後継者不足と近隣縫製業者の増加が急務と記載され、体制面の確保状況はうかがえる程度にとどまる。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    総柄プリントや全面グラデーションの表現力、高校やクラブチームからの受注という顧客とニーズが具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    補助事業終了後に生地プリントから裁断・縫製までを自社と外注で行う方針が示されているが、スケジュールは書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    綿の総柄Tシャツはシルクスクリーンでは難しい表現とされ、競合が少ないニッチ市場とされている点で高付加価値化がうかがえる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    「メイド・イン・東京」のブランド化や近隣縫製業者との連携が触れられているが、国が補助する波及効果は具体的に書かれていない。

  • 費用対効果2

    低コストで版が不要という説明はあるが、補助金額に対する付加価値増加や費用対効果の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    最新のインクジェット設備と職人技の融合や、近隣縫製業者とのサプライチェーン拡大に触れており、イノベーションへの貢献がうかがえる。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    「メイド・イン・東京」を掲げ、東京で地域の縫製業者を増やす方針が示されており、地域特性の活用がうかがえる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は生地の状態でプリントし、その後の裁断と縫製を自社及び外注先で行う体制とする。高校やクラブチームの練習着などの受注が既に入っており、受注を伸ばすには「メイド・イン・東京」を支える近隣の縫製業者を増やすことが急務となっている。今回可能になった総柄デザインは、今後のラインアップの中核になることが期待されている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。