ものづくり補助金平成28年度製造業新潟県

最新モデルの5軸制御複合加工機導入を通じた高精度・短納期化の実現事業

有限会社須戸精工

この事例のポイント

  • 複雑形状の金属部品の試作品は加工が難しく、設計や加工工程の検討に時間がかかっていた。
  • ものづくり補助金を活用し、新たに5軸制御が可能なマシニングセンタ(5軸制御複合加工機)を導入した。
  • 5軸マシニングセンタの導入により、加工の段取り替えが減ってリードタイムが短くなり、加工対象物の入れ替え時の誤差がなくなって加工精度が向上した。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社須戸精工
所在地新潟県 長岡市
業種業務用機械器具製造業
技術分野精密加工
設立1960年

事業の背景

1960年に創業し、当初は大手精密測定機器メーカーの下請けとして測定器の組立を行っていた。約40年前に発注元が組立を内製化したことをきっかけにマシニングセンタを導入し、精密部品の加工製造事業に参入した。主力は精密測定機器の部品などの小さく精密な部品で、社長の営業力により九州から東北まで全国に得意先を広げ、創業以来無借金経営を続けている。その一方で、複雑形状の金属部品の試作品の相談が増えていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 納期・工程複雑形状の金属部品の試作品は加工が難しく、設計や加工工程の検討に時間がかかっていた。
  • 生産能力加工の度に部品を載せ替える必要があり、複雑加工を一度に行えなかった。
  • コスト・採算機械を動かし続けることが利益になる製造業の考え方では、小ロットの試作品に対応しにくかった。

やったこと

ものづくり補助金を活用し、新たに5軸制御が可能なマシニングセンタ(5軸制御複合加工機)を導入した。加工できる角度が増えたことで、これまで載せ替えが必要だった複雑加工を一度に行えるようになった。導入当初は加工対象物を固定する際の圧力の調整がうまくいかず、対象物が飛ばされたり破損したりした。そのたびに機械メーカーやソフトウェアメーカーの担当者に相談し、自社なりの運用方法を確立していった。

加工機5軸制御複合加工機(5軸マシニングセンタ)

事業の効果

5軸マシニングセンタの導入により、加工の段取り替えが減ってリードタイムが短くなり、加工対象物の入れ替え時の誤差がなくなって加工精度が向上した。納期、精度、単価のいずれにもプラスの影響が出た。小ロットの試作品の需要を取り込めるようになり、F1車のエンジンパーツや医療器具の部品の受注、関東4メーカーとの新規取引も始まった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の精密加工の蓄積や、複雑形状試作の相談増加を背景に5軸MC導入を位置付けているが、経営戦略上の明確な位置付けは読み取りにくい。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    顧客からの複雑形状試作の相談増と、社長の営業力による全国開拓が強みとして書かれ、市場の隙間ニーズへの対応が読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    設計や加工工程に時間がかかる課題を認識し、5軸MCで一度に複雑加工する解決策を取り、納期・精度・単価にプラスの影響が出たとある。

事業の実現可能性64%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    リードタイム短縮や精度向上、納期・精度・単価へのプラス影響は書かれているが、付加価値額や賃上げの数値目標は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    若い女性技術者の活躍や技術者の腕の重要性、機械メーカーとの相談による運用確立は書かれているが、補助事業の遂行体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    小ロット試作品の需要、F1エンジンパーツや医療器具の受注、関東4メーカーとの新規取引など、顧客と選ばれる理由が具体的に読み取れる。

  • 事業化までの道筋3

    導入時の加工対象物の飛散・破損という課題と、メーカーとの相談で運用方法を確立したことは書かれるが、今後のスケジュールは薄い。

  • 財務と資金の調達3

    創業以来無借金経営を続けていると書かれているが、補助事業を遂行する財務状況や金融機関からの調達見込みの具体的記述は乏しい。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    小ロット試作品の需要は市場の隙間にあり目立たないとされ、一般的な普及度が低い分野であることがうかがえるが、数値の裏付けはない。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    宇宙・医療分野への県外開拓が視野に入ると書かれるが、波及効果や雇用創出など国が補助する積極的理由は明示されていない。

  • 費用対効果3

    納期・精度・単価への効果は書かれるが、補助金投入額に対する付加価値増加などの費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    5軸MCによる加工の高度化は書かれるが、デジタル技術の活用やサプライチェーンへの貢献としては具体性が乏しい。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    宇宙分野や医療分野への進出が視野に入ると書かれ、成長分野への進出がうかがえるが、構造転換との関係は示されていない。

  • 地域経済への波及2

    長岡市の地域企業であることは示されるが、地域の特性を活かした雇用や地域経済成長への寄与は読み取れない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

試作品の受注には顧客との密なコミュニケーションが不可欠であり、宇宙分野や医療分野の得意先開拓も視野に入れて、県外のものづくり企業を積極的に開拓していく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。