ものづくり補助金平成28年度製造業愛知県

伝統的工芸品・瀬戸染付焼の技術を活かした高付加価値製品の製造における品質・生産性の向上

成果不良品率 40%→10%

この事例のポイント

  • 釉薬をかけない食器の焼成で細かい傷や鉄粉による汚れが不良となり、完成品の4割程度が不良品となって歩留まりが悪かった。
  • 平成28年にデザイナーの島村卓実氏と自社ブランド「FLOW」を立ち上げ、釉薬をかけない食器の製造に取り組んだ。
  • 不良品率 40%→10%。不純物を振動ふるいで除く装置の導入により不良品が減り、歩留まりが向上した。

事業者のプロフィール

所在地愛知県 瀬戸市
業種窯業・土石製品製造業
技術分野製造環境
従業員数3人
設立1999年

事業の背景

染付窯屋眞窯は100年以上の歴史をもつ染付磁器の窯元で、親子4代にわたり瀬戸染付焼の技術を継承している。創業時は旅館などに納める小鉢を生産していたが、3代目窯主の加藤眞也さんが百貨店に置ける製品をつくりたいとの思いから付加価値の高い飲食器の製造を始めた。製品は全国の百貨店に加え台湾を中心に海外へも納めている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力釉薬をかけない食器の焼成で細かい傷や鉄粉による汚れが不良となり、完成品の4割程度が不良品となって歩留まりが悪かった。
  • コスト・採算食器は販売価格が決まっており複数の問屋を経由するため窯元の利益が薄く、窯元が自ら値決めできる自社製品の開発が課題だった。
  • 人手・技能大量消費の時代が終わり出荷数が減少しており、瀬戸焼の伝統を守るため新たな販路と製品価値の向上が求められていた。

やったこと

平成28年にデザイナーの島村卓実氏と自社ブランド「FLOW」を立ち上げ、釉薬をかけない食器の製造に取り組んだ。補助金を活用して、不純物除去機能のある白磁用の流し込み排泥鋳込み装置を導入した。振動ふるいで不良の原因となる鉄粉や乾燥した素地の細かいかすを取り除く仕組みとした。これにより不良品が1割に減少した。

加工機不純物除去機能のある白磁用の流し込み排泥鋳込み装置

新しい製品・サービス:釉薬をかけない食器のブランド「FLOW」

事業の効果

  • 不良品率 40%→10%

不純物を振動ふるいで除く装置の導入により不良品が減り、歩留まりが向上した。流し込み排泥鋳込み製法によるこだわりの製造が評価され、値決めを自分たちで行えるようになり卸問屋からの値下げ要求がなくなった。インターネット販売を含む直接販売の割合が増え、コロナ禍でも出荷数は減ったものの前年同様の売上げを維持した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性4

    100年以上の染付磁器の窯元で、付加価値の高い飲食器製造への転換を3代目の思いで始めた経緯が具体的に書かれている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    釉薬をかけない珍しい製法や直接販売の増加は読み取れるが、市場動向と自社の強み・弱みを比較した記述は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    課題として窯元の利益の薄さや出荷数減少が示され、直接販売割合を1割から3割に拡大した成果も書かれている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    直接販売割合を1割から3割へ拡大した実績はあるが、今後の付加価値や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    4代にわたる継承や従業員3人の体制はうかがえるが、補助事業を遂行する人材や事務処理能力の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    釉薬をかけない食器の独特な質感や使い勝手とデザイン性が支持され、ファンの増加につながった点が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    振動ふるいの導入と発信強化の方針は示されるが、中長期の遂行方法やスケジュールは書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性100%
  • 新しさ・高付加価値5

    釉薬をかけない食器を手がける窯元は少なく、流し込み排泥鋳込みは皿類では珍しいと明記され、高付加価値化が具体的に示されている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    伝統的工芸品である瀬戸染付焼の継承という文脈はうかがえるが、経済波及や雇用創出の記述は書かれていない。

  • 費用対効果4

    約400万円規模の補助ではないが、不良品率が4割から1割に減り、直接販売売上も拡大したという数字で費用対効果がうかがえる。

  • イノベーションへの貢献2

    SNSやインターネット販売の活用はうかがえるが、先端的デジタル技術や新ビジネスモデルの記述は薄い。

政策面50%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及4

    瀬戸市の伝統的工芸品である瀬戸染付焼の技術を活かし、高付加価値の食器を地域から全国や台湾へ届けている点が書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は発信力を強化し、消費者と製造元が直接つながるモノづくりを進めて選ばれる製品にしていきたいとしている。

  • 目標:直接販売の売上比率 10%→30%

事業者の声

これまでは品質の高い製品を作れば評価されていたが、これからは窯元のもつストーリーも含めて評価される時代。こだわりの製造を発信していきたい

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。