ものづくり補助金平成28年度製造業愛知県

3工程同期化による、JIT生産方式向け「高精度QR対応カンバン差し」の高速加工技術の確立

有限会社ハヤシ商店

成果納期 1倍→0.33倍

この事例のポイント

  • 穴開け工程を折り曲げ加工の前に行うと、折り曲げ工程で穴が位置ずれし不良品が多発していた。
  • 塩ビ加工機械を複数台導入済みだった同社は、かんばん差しを量産化するために穴開け加工機を新たに導入した。
  • 納期 1倍→0.33倍。穴開け加工を自社で行えるようになり、QRコード対応かんばん差しの効率的な製造ラインを構築できた。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社ハヤシ商店
所在地愛知県 安城市
業種その他の製造業
技術分野精密加工
従業員数19人
資本金300万円
設立1973年

事業の背景

ハヤシ商店は包装資材の商社機能に加え、塩化ビニール樹脂製品の企画・製造・販売も手がけている。塩ビは環境負荷が高いとされて利用が伸び悩んでいたが、同社は少量ながら受託加工事業を続けてきた。近年はトヨタ生産方式を支える「かんばん差し」の開発を手がけ、多くの部品メーカーに採用されてきた。一方で、かんばんの電子化が進み、QRコード付きのかんばんが急激に広がったため、表面の光沢による読み取りエラー対策が求められていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度穴開け工程を折り曲げ加工の前に行うと、折り曲げ工程で穴が位置ずれし不良品が多発していた。
  • 納期・工程穴開け工程の順序を変えると曲げ加工の影響で穴開けの効率が大幅に下がり、納期に影響する問題が起きていた。
  • コスト・採算穴開け加工を外注していたため、納期と製造コストが負担になっていた。
  • 生産能力かんばん差しを量産するための穴開け加工機の導入と、生産工程への組み込み方法が確立されていなかった。

やったこと

塩ビ加工機械を複数台導入済みだった同社は、かんばん差しを量産化するために穴開け加工機を新たに導入した。穴の位置と寸法を正確に切り抜くため、穴開け加工に金型による抜き型加工を採用した。材料に穴を開けていない段階で切り取り用の溝を加工する金型に変更し、位置ずれを防いで高精度な折り曲げ加工を可能にした。新規導入の機械と手持ちの塩ビ加工機を連携させ、穴開け加工から糊の塗布、溶着、作業者による穴の切り取りまでの一連の生産システムを構築した。

加工機高精度穴開け加工機
金型穴開け加工用抜き型(金型)

新しい製品・サービス:高精度QR対応カンバン差し

事業の効果

  • 納期 1倍→0.33倍
  • 製造コストは60%を切る結果となった。

穴開け加工を自社で行えるようになり、QRコード対応かんばん差しの効率的な製造ラインを構築できた。外注時に比べ納期は3分の1となり、製造コストは60%を切った。要員も1人削減でき、生産性も向上した。金型による抜き型加工で高精度加工も実現した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    長年の塩ビ加工ノウハウと、かんばん差し量産化のための既存機械連携という過去の取組との一貫性は読み取れるが、経営戦略上の位置付けの明示は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    QRコード普及による読み取りエラー対策が市場要因として書かれ、汎用性の高さを強みとするが、競争優位性の根拠は具体的に示されていない。

  • 課題の認識と解決4

    QRコード読み取りエラーという課題を穴開け加工の提案で解決し、外注時に比べ納期3分の1、製造コスト60%未満と成果が具体的に書かれている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    納期3分の1、製造コスト60%未満という改善実績は読み取れるが、将来の付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    既設の塩ビ加工機と新規穴開け機を連携させ、近隣工場の取得など体制整備を進めていると書かれるが、人材や事務処理体制は具体的でない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    QRコード対応かんばん差しの需要拡大と汎用性が示されるが、顧客ターゲットや選ばれる理由の整理は薄い。

  • 事業化までの道筋2

    増産に向けた工場体制の整備を進めていると書かれるが、遂行方法やスケジュールは具体的に示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    QRコード対応のかんばん差しという高水準の製品に対し、穴開け加工技術で高精度化を図る点が具体的に書かれている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    トヨタ生産方式を支える部品として多くの部品メーカーに採用されたとあるが、国が補助する積極的理由や波及効果は書かれていない。

  • 費用対効果4

    納期3分の1、製造コスト60%未満、要員1人削減と生産性向上が数字で示され、費用対効果の高さがうかがえる。

  • イノベーションへの貢献2

    電子かんばん拡大に対応したQR読み取り課題の解決は書かれるが、先端デジタル技術やサプライチェーン全体への貢献は薄い。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    安城市の事業者として地域の雇用や成長を牽引する記述は見られず、地域特性との関連はわずかにうかがえる程度。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

受注が増加すれば現状の工場では手狭になるため、すでに近隣の工場を取得して増産体制の整備を進めている。形状やQRコードの位置が企業ごとに異なる状況にも、汎用性の高さを武器に市場を開拓していく。

事業者の声

汎用性が高いため、さまざまな製品の生産に活用できる

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。