ものづくり補助金平成28年度製造業京都府

防水処理の自動化によるネック工程の解消と品質向上計画

株式会社電装工業

成果切断・圧着の作業時間(5千本あたり) 19時間→6.1時間

この事例のポイント

  • 多品種少量生産の下で手作業の負荷が高く、圧着・前処理工程がネック工程となっている。
  • 防水栓取付け機能付きの全自動両端圧着機を導入し、電線の切断、防水栓の挿入、端子の圧着を一貫して行えるようにした。
  • 切断・圧着の作業時間(5千本あたり) 19時間→6.1時間。ボトルネックだった防水加工と端子圧着の工程が自動化され、作業時間が大幅に短縮され、人員を新たに投入せずに増加した受注に…

事業者のプロフィール

事業者名株式会社電装工業
所在地京都府 京都市
業種輸送用機械器具製造業
技術分野精密加工,接合・実装
従業員数28人
資本金3,000万円
設立2003年

事業の背景

弊社はフォークリフトやハイブリッド建機などの産業機器向けのハーネス(電線加工品)を主体に製造している。産業機器は自動車のような大量生産ではなく、類似・改良型の機種が多い。近年は産業機器の使用環境の変化から顧客の防水処理ニーズが増大し、手作業による防水栓取付けと後工程の端子圧着がボトルネックとなっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力多品種少量生産の下で手作業の負荷が高く、圧着・前処理工程がネック工程となっている。
  • 品質・精度顧客の要求が高まり、品質保証が必要な防水加工処理を手作業で行うことに限界があった。
  • 人手・技能防水栓の取付けなど手加工の作業が増え、作業時間や製造原価が増加し品質も低下していた。

やったこと

防水栓取付け機能付きの全自動両端圧着機を導入し、電線の切断、防水栓の挿入、端子の圧着を一貫して行えるようにした。防水栓は購入時に油が塗られており、通常の電線には油量が多く耐圧電線には少ないため、購入した防水栓の油を一旦洗い落とし、使用電線に応じて2種類の油量を付けた防水栓を準備して切断することにした。導入後は装置での実践テストで100本あたり340秒前後の結果が得られ、1本あたり約3.4秒となり、5千本で約4.7時間となった。これは目標設定値の6.1時間を上回る成果である。導入装置の対応線径は0.15~2.5mmとなった。

加工機全自動両端圧着機(防水栓取付け機能付き)

新しい製品・サービス:半導体製造装置向けのケーブル製造販売への参入

事業の効果

  • 切断・圧着の作業時間(5千本あたり) 19時間→6.1時間
  • 1本あたり約3.4秒となり、5千本あたり約4.7時間
  • 1人あたりの作業時間(1日あたり) 2.5日→1.3日
  • 1万本あたりの人件費 21,894円→11,951円
  • 人件費換算で年間約230万円の効果
  • 切断可能線径の下限 0.3mm→0.15mm
  • 売上(導入前を100とした指数) 100指数→160指数

ボトルネックだった防水加工と端子圧着の工程が自動化され、作業時間が大幅に短縮され、人員を新たに投入せずに増加した受注に対応できる体制になった。防水栓の取付けと圧着が一貫して行えることで作業工程が安定し、検査工程にも余裕が生まれ、品質向上につながった。切断可能な線径も拡大し、新規顧客開拓や新商品開発が活性化して全社の受注増加にもつながっている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.3 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存のフォークリフト向けハーネス事業の延長として防水処理の自動化を位置付けており、過去事業との一貫性は読み取れるが、経営戦略上の位置づけの明文は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    防水ニーズ増大やフォークリフト等の産業機器向け強み(多様な電線径対応)に触れ、半導体製造機器用ケーブルへの参入も示されている。

  • 課題の認識と解決5

    防水栓挿入417分・圧着225分が課題と数値で示され、導入後は約6.1時間、売上が導入前比156〜160と成果も数字で示されている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    目標6.1時間に対し実測約4.7時間と上回ったこと、1.3日・11,951円への削減目標、年間約230万円の効果が数字で示されている。

  • 事業を進める体制2

    従業員28人の記載と人員体制の最適化に触れるが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制の具体的な記述はわずかにうかがえる程度。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    顧客からの防水処理ニーズ増大、受注増加への対応、新規顧客対応力の向上など、顧客ニーズと選ばれる理由が具体的に読み取れる。

  • 事業化までの道筋3

    防水栓の油量対応の準備方法や、半導体機器用ケーブルへの事業拡大の方向性は記載があるが、遂行スケジュールは明示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    防水栓付きハーネスの高付加価値化に触れるが、同分野での普及度や高価格化の水準を示す記述は乏しい。

公的補助の必要性80%
  • 波及効果・雇用4

    半導体国内自給率27%に触れ、半導体製造機器用ケーブル事業を通じた国内自給率向上と「ものづくり大国日本」への寄与が述べられている。

  • 費用対効果5

    投資に対し年間約230万円の人件費効果、作業時間の約19時間から約6.1時間への削減、売上増加が数字で示され費用対効果が読み取れる。

  • イノベーションへの貢献3

    自動化による品質向上と新分野参入は読み取れるが、デジタル技術やサプライチェーン全体のイノベーションへの貢献は具体的に書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出3

    半導体製造機器用ケーブルへの参入という成長分野への進出が書かれているが、日本経済の構造転換への言及は限定的。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

既存の産業用車両向けワイヤーハーネスの強みを活かし、半導体製造機器用ケーブルの製造販売に参入して事業を拡大する。半導体製造機器に代表される製造設備機器の配線・部材事業に参入し、日本の半導体自給率の増加と「ものづくり大国日本」の再興に寄与したいとしている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。