ものづくり補助金平成25年度製造業茨城県

高機能接合技術による、ステアリングシャフトの自動ナイロンコーティング設備開発

株式会社エヌエスティー製作所

成果設置面積 1従来比→0.05従来比

この事例のポイント

  • 工程ごとに既存の大きな機械を使っていたため、作業と製品の移動に時間とコストがかかっていた。
  • 平成24年度の補助事業では、ナイロンコーティング前に行う金属下地処理設備を開発し、「鉄鋼材とポリアミド樹脂の接合方法及び接合体」の特許を公開した。
  • 設置面積 1従来比→0.05従来比。設置面積の大幅な縮小と加工作業の無人化を実現し、省スペース化の目標を達成した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社エヌエスティー製作所
所在地茨城県 高萩市
業種輸送用機械器具製造業
技術分野接合・実装
従業員数48人
資本金5,000万円

事業の背景

同社は鉄鋼、鉄道車両用ユニバーサルジョイント及び熱交換器を製造する中村自エグループの一社である。アメリカのデーナ社(世界26カ国で事業を展開する大手自動車部品メーカー)との技術提携により、スパイサーブランドのトラック・建設機械向けステアリングシャフトやプロペラシャフトを製造し、いすゞ自動車、日野自動車、キャタピラージャパンなどに納入している。乗用車やトラックのステアリング用シャフトなどのナイロンコートも手がけていたが、特許期限終了後はシェアが減少していた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力工程ごとに既存の大きな機械を使っていたため、作業と製品の移動に時間とコストがかかっていた。
  • コスト・採算従来の電熱炉では一定の温度に達するのに数分かかっており、加熱に時間がかかっていた。
  • 人手・技能受注を拡大するため、ナイロンコーティング作業の人手化を減らし、省エネルギー化を進める必要があった。
  • その他以前は工業特許を有していたが、特許期限の終了に伴いシェアが減少していた。

やったこと

平成24年度の補助事業では、ナイロンコーティング前に行う金属下地処理設備を開発し、「鉄鋼材とポリアミド樹脂の接合方法及び接合体」の特許を公開した。平成25年度の補助事業では、この設備で下地処理をした金属へ自動でナイロンコーティングを行う設備の開発に取り組んだ。目標は設置面積を従来の1/20にすること、エネルギー消費を1/3以下にすることとし、生産性は直接生産性を2倍以上にすることを掲げた。ヤマハ発動機の協力により、4つの別個動作が可能でスムーズに作業やスピード制御ができるリニア走行ロボットを開発し、ハンド型の6軸ロボット3台と組み合わせた。個別の大型機械を集約して機械をコンパクト化し、一直線上で作業を行えるようにした。ナイロンパウダーを溶融状態で均一に加圧できるようになったため、プライマー塗布装置も不要となり、省スペースと加工作業の無人化を実現した。さらに高周波加熱炉を使うことで、従来の電熱炉で数分かかっていた加熱が数秒で均一に行えるようになった。

  • 加工機自動ナイロンコーティング設備金属下地処理設備
  • ロボットリニア走行ロボットハンド型6軸ロボット3台
  • 加工機高周波加熱炉

新しい製品・サービス:プライマー樹脂を介さずに金属とナイロン樹脂をダイレクトに接合する全自動コーティング装置

事業の効果

  • 設置面積 1従来比→0.05従来比
  • エネルギー消費 1従来比→0.33従来比

設置面積の大幅な縮小と加工作業の無人化を実現し、省スペース化の目標を達成した。プライマー塗布装置が不要になり、移動距離も短縮された。高周波加熱により加熱時間が数分から数秒に短縮され、エネルギー消費の削減目標も達成した。ユニット単位で全工程を行うため、受注増にもユニットを増やして素早く対応できる。既存のナイロンコーティング技術に加え、コスト減と生産性向上により国内シェア拡大と国際競争力の強化につながった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    過去の特許や既存技術の延長として自動ナイロンコーティング設備を開発したと読めるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    特許期限終了でシェアが減少したことが書かれ、受注拡大のため省エネ・省人化を目指したとあるが、競争優位の根拠は限定的。

  • 課題の認識と解決4

    作業と製品の移動に時間とコストがかかる課題を示し、設置面積1/20や生産性2倍以上の目標で解決を図っている。

事業の実現可能性72%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    設置面積を従来の1/20、生産性2倍以上、エネルギー消費1/3以下という数値目標を掲げ、達成したと記載されている。

  • 事業を進める体制3

    平成24年度からの補助事業として2年越しで開発を完了した経緯は書かれるが、体制や人材の詳細は記載がない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    ナイロン11の耐候性や耐摩耗性などの特徴と、消音性による製品寿命延長は書かれるが、顧客ターゲットは明示されていない。

  • 事業化までの道筋4

    平成24年度と25年度の段階的開発、平成28年春からの受注展開というスケジュールと課題解決の方法が具体的に書かれている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    ナイロンコーティングは一般的でない分野で、高付加価値性を示す記述はあるが、普及度の裏付けは限定的。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    国内シェア拡大や国際競争力向上への言及はあるが、経済波及や雇用創出など国が補助する理由は書かれていない。

  • 費用対効果3

    補助事業の成果として数値目標の達成が示されるが、補助金額と付加価値増加の関係は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    高周波加熱やロボットの組み合わせによる省力化は書かれるが、デジタル技術の活用やサプライチェーンへの貢献は明示されていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    茨城県高萩市に所在することは書かれるが、地域特性を活かした付加価値創出や雇用への言及は乏しい。

今後の展望

平成28年春頃から、導入した機械を使った製品受注を展開していく予定である。

業種と困りごとが近い成果事例

香川県製造業平成27年度

最新製版機の導入による効率化とコスト削減

生産能力が現有製版機の約3倍となる最新製版機を導入し、製版工程の生産性向上と、それに伴う製版作業の残業低減を図った。

効果:製版機の生産能力 1倍→3倍

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。