ものづくり補助金平成28年度製造業島根県

生産設備の導入による生産性の向上と高品質化

池月酒造株式会社

成果洗米時間 3時間→1時間

この事例のポイント

  • 酒米の仕込みと瓶詰め後の加熱殺菌を従来の方法で行っており、高品質化と生産性の向上が課題だった。
  • 補助事業では、瓶燗機を導入し、酒を詰めた瓶を水を張った釜に並べて水温を徐々に上げる方式で加熱殺菌を行えるようにした。
  • 洗米時間 3時間→1時間。瓶燗機による加熱殺菌で香りが保たれ、すっきりとなめらかな味わいの酒に仕上がるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名池月酒造株式会社
所在地島根県 邑南町
業種飲料・たばこ・飼料製造業
技術分野製造環境
従業員数6人
資本金1億円
設立1903年

事業の背景

池月酒造は中国山地の湧き水を仕込み水に使い、地元の契約農家が作る酒米で清酒を造っている。大学卒業後に戻った4代目の未田誠一社長が2008年以降、地元産の酒米を使う造りにこだわってきた。首都圏を中心に純米酒の受注が伸び、約10年間で生産量が大幅に増加し、現在は純米酒と純米吟醸酒が醸造量全体の約7割を占める。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力酒米の仕込みと瓶詰め後の加熱殺菌を従来の方法で行っており、高品質化と生産性の向上が課題だった。
  • 品質・精度急激に加熱する従来の殺菌方法では酒に負担がかかり、香りが失われる恐れがあった。
  • 人手・技能米の洗米に時間がかかり、シーズン中は1日平均約3時間を要していた。

やったこと

補助事業では、瓶燗機を導入し、酒を詰めた瓶を水を張った釜に並べて水温を徐々に上げる方式で加熱殺菌を行えるようにした。加熱後は急冷却も可能になり、香りが失われずすっきりとなめらかな味わいに仕上がるようになった。あわせてジェット気泡で米を洗えるステンレス製の洗米システムを導入し、糠や白水を素早く分離させて上質な蒸米に仕上げられるようにした。麹づくりと木槽での搾りは引き続き手作業で行っている。

  • 加工機瓶燗機洗米システムMJP洗米システムステンレス製醸造機器

事業の効果

  • 洗米時間 3時間→1時間
  • 洗米時間(1日あたり)の短縮率 3時間→1時間

瓶燗機による加熱殺菌で香りが保たれ、すっきりとなめらかな味わいの酒に仕上がるようになった。洗米時間が大幅に短縮され、生産性が著しく向上した。品質向上により2020年には島根県新酒品評会の吟醸酒部門と純米酒部門、出実杜氏自醸清酒品評会で最優秀賞を受賞した。売上も新型コロナ禍前より伸びる勢いだという。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均2.5 / 514観点のうち12観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

伸びしろがあった観点

  • 2
    課題の認識と解決洗米時間短縮や品質向上という改善は書かれているが、課題認識と高付加価値化につなげる事業計画の中身は読み取れない。
経営戦略との整合性2.7
  • これまでの取組との一貫性3

    地元契約農家の酒米を使う造りへのこだわりと、2008年以降の蔵元杜氏としての取組が一貫して書かれているが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    純米酒の受注増や全国のファンという需要動向と、超軟水の仕込み水・地元酒米という強みが書かれているが、競争優位の分析は具体的でない。

  • 課題の認識と解決2

    洗米時間短縮や品質向上という改善は書かれているが、課題認識と高付加価値化につなげる事業計画の中身は読み取れない。

事業の実現可能性2.4
  • 付加価値・賃上げの目標2

    洗米時間が約3時間から1時間に短縮と数字はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    社長が蔵元杜氏として造りを統括している様子はうかがえるが、従業員6名の体制や事務処理能力の記述は乏しい。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    超軟水の仕込み水や地元産酒米、テロワールという価値は具体的だが、顧客ターゲットやニーズの裏付けは書かれていない。

  • 事業化までの道筋2

    導入設備の効果は述べられているが、中長期の課題検証や遂行スケジュール、解決方法の記述はない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    純米酒と純米吟醸酒が全体の約7割を占めるなど高付加価値の特定名称酒だが、同分野での相対的水準は示されていない。

公的補助の必要性2.0
  • 波及効果・雇用2

    地元酒米の利用で地域の経済力アップにつながると述べられているが、波及効果の規模や雇用創出の数字はない。

  • 費用対効果2

    洗米時間が3分の1に短縮されたとあるが、補助金投入額に対する付加価値増加や費用対効果の数字はない。

  • イノベーションへの貢献ー

    公開情報では判断できません。

政策面3.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及3

    地域の酒米と湧き水を活かし、中国山地の地域経済発展を掲げる点は読み取れるが、雇用や成長への定量的効果は示されていない。

今後の展望

造り手にできることは美味しいものを生み出すことであり、小売店に売りたいと思ってもらえるような酒を造っていきたい。

事業者の声

造り手にできることは美味しいものを生み出すこと。小売店に売りたいと思ってもらえるような酒を造っていきたい

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。