ものづくり補助金平成28年度製造業佐賀県

幻の食材「相知高菜漬」を使用した高付加価値惣菜の開発

前田食品工業有限会社

この事例のポイント

  • 従来の殺菌設備は高菜漬の殺菌温度80〜90度にしか対応できず、多様な食材の殺菌に対応できなくなっていた。
  • 高菜漬の殺菌に使っていた設備では対応しきれなくなったため、自動殺菌機と自動乾燥機を導入した。
  • 自動殺菌機の導入により低温・中温・高温の温度設定が可能になり、あらゆる食材が入った惣菜や加工食品を殺菌できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名前田食品工業有限会社
所在地佐賀県 西松浦郡有田町
業種食料品製造業
従業員数40人
資本金1,500万円
設立1964年

事業の背景

日本三大菜漬のひとつである高菜漬に特化して製造してきた会社である。平成19年に少量の種子が発見された佐賀県の幻の高菜「相知高菜」を40年ぶりに復活させ、平成24年には「本場の本物」に認定された。有名料理人とのコラボで開発した商品が成功し、多くの企業から新商品展開の要望を受けるようになった。国内加工食品市場は堅調で、健康食品や品質に強みのある食品の成長も著しい。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力従来の殺菌設備は高菜漬の殺菌温度80〜90度にしか対応できず、多様な食材の殺菌に対応できなくなっていた。
  • 品質・精度大きな水槽の高温水で殺菌する方法では、水槽に入れる位置によって基準温度に届かず殺菌が不十分になる恐れがあった。
  • 品質・精度万一の事故を避けるため時間をかけて検査していたが、検査精度に不安があった。

やったこと

高菜漬の殺菌に使っていた設備では対応しきれなくなったため、自動殺菌機と自動乾燥機を導入した。自動殺菌機は食品ごとに最適な加熱温度をデジタルで設定でき、低温殺菌(65〜75度)、中温殺菌(80〜90度)、高温殺菌(90〜98度)を切り替えられるため、あらゆる素材に対応できる。自動乾燥機は殺菌機に連結させ、ボイル殺菌の後に水で冷却して熱風で乾燥させる一連の流れをスムーズにした。自動乾燥機は最適な乾燥温度と乾燥時間をデジタルで確実に設定でき、製品を均一にムラなく乾燥させる。

新しい製品・サービス:殺菌温度帯が異なる食材を含む惣菜などの新商品

事業の効果

自動殺菌機の導入により低温・中温・高温の温度設定が可能になり、あらゆる食材が入った惣菜や加工食品を殺菌できるようになった。自動乾燥機は製品を均一に乾燥させ、殺菌から乾燥までの流れがスムーズになった。その結果、食品の安全性と作業効率が高まった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    これまでの取組との一貫性高菜漬一筋で土づくりからこだわり、長年のブランド維持や昭和36年の農林大臣賞など過去の取組との一貫性が読み取れる。
  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性幻の食材「相知高菜」を本場の本物に認定され、国内外で高評価を得る強みを活かし、多様な食材対応の殺菌設備で競争力を高めている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け有名料理人とのコラボで商品が成功し多くの企業から要望を得ており、顧客ニーズの裏付けと選ばれる理由(品質・健康性)が整理されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標惣菜の賞味期限を高菜漬と同等の3ヶ月とする目標はあるが、付加価値額や賃上げの数値目標や実現根拠は示されていない。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性4

    高菜漬一筋で土づくりからこだわり、長年のブランド維持や昭和36年の農林大臣賞など過去の取組との一貫性が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    幻の食材「相知高菜」を本場の本物に認定され、国内外で高評価を得る強みを活かし、多様な食材対応の殺菌設備で競争力を高めている。

  • 課題の認識と解決3

    従来設備では多様な食材に対応できず殺菌が不十分になる恐れという課題を認識し、自動殺菌機・乾燥機の導入で解決を図っている。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標2

    惣菜の賞味期限を高菜漬と同等の3ヶ月とする目標はあるが、付加価値額や賃上げの数値目標や実現根拠は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    従業員40人規模で、コラボ先との調整や設備導入の判断を進めており、補助事業を遂行する体制は一定程度読み取れる。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    有名料理人とのコラボで商品が成功し多くの企業から要望を得ており、顧客ニーズの裏付けと選ばれる理由(品質・健康性)が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    殺菌温度帯の違う惣菜を開発・商品化する計画と、設備導入後の殺菌・乾燥の一連の流れが示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    幻の食材として40年ぶりに復活させた相知高菜を用い、高付加価値の惣菜を開発する点で高水準の高付加価値化を図っている。

公的補助の必要性2.3
  • 波及効果・雇用3

    地元佐賀の地域ブランド向上と高菜生産者の減少防止が課題として示され、地域経済への波及が読み取れる。

  • 費用対効果2

    補助金投入額に対する付加価値額増加や生産性向上の定量的な効果の記述が乏しく、費用対効果は薄い。

  • イノベーションへの貢献2

    自動殺菌機と乾燥機の連結による作業効率化は触れているが、デジタル技術の地域やサプライチェーン全体への貢献は弱い。

政策面3.0
  • 成長分野への進出2

    海外進出や健康食品市場の成長に触れているが、日本経済の構造転換に資する取組としての記述は薄い。

  • 地域経済への波及4

    佐賀の幻の高菜を地域特性として活かし、地域ブランドの向上と商圏拡大を目指す高付加価値事業として位置付けている。

今後の展望

殺菌温度帯の異なる食材を含む惣菜などの新商品を開発し商品化する計画である。惣菜の賞味期限を高菜漬単体と同じ3ヶ月にすることも目標としている。海外への販路と商圏の拡大を目指している。

事業者の声

良い製品は良い原料から、良い原料は土づくりから

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。