ものづくり補助金平成28年度製造業長崎県

最新設備(RO膜、遠心分離機)導入による製塩事業の生産性向上と売上拡大

株式会社やがため

成果塩の生産量 1倍→1.75倍

この事例のポイント

  • 直売所での塩の販売は観光客の増加に伴って増えていたが、生産が追いついていなかった。
  • これまでかん水濃縮では遠赤外線効果を利用するため薪で炊き上げていたが、1日に2トントラック2台分の薪が必要で、仕上がりまで5日間かかり、運搬を担う従業員の負担も大きかった。
  • 塩の生産量 1倍→1.75倍。2つの最新設備の導入により、約3日分の作業時間を短縮できた。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社やがため
所在地長崎県 新上五島町
業種食料品製造業
技術分野製造環境
従業員数6人
資本金100万円
設立2011年

事業の背景

五島列島の特産品として、美しい五島灘の海水塩を伝統の平釜製法で製造・販売している。製塩から加工、販売までの6次産業化を自社で実現し、地元の雇用や地域活性化にも大きく貢献している。用途ごとに塩を開発しており、現在は店頭で13種類の塩を販売している。観光客の増加に伴い直売所での塩の販売は増えている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力直売所での塩の販売は観光客の増加に伴って増えていたが、生産が追いついていなかった。
  • その他美しい五島の海を守るために、海水中の環境問題に向き合う必要があった。

やったこと

これまでかん水濃縮では遠赤外線効果を利用するため薪で炊き上げていたが、1日に2トントラック2台分の薪が必要で、仕上がりまで5日間かかり、運搬を担う従業員の負担も大きかった。今回導入した「RO膜(逆浸透膜)装置」は、水を通しイオンや塩類など水以外の不純物を透過しない性質を持つRO膜が搭載されており、熱源不要で塩分濃度を約8%まで上げられるようになった。原塩の脱水工程では、これまで家庭用洗濯機の脱水機能を利用していたが、「遠心分離機」の導入により短時間で水分を分離できるようになった。

事業の効果

  • 塩の生産量 1倍→1.75倍
  • 環境負荷(CO2) 100%→60%

2つの最新設備の導入により、約3日分の作業時間を短縮できた。熱源不要で塩分濃度を約8%まで上げられるようになり、薪による炊き上げや運搬の負担も減った。塩の生産量は約1.75倍に増え、環境負荷(CO2)も40%軽減された。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.1 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    課題の認識と解決生産が追いつかない課題と、RO膜・遠心分離機の導入で仕上がりまで5日を要した工程を約3日分短縮した点が具体的に書かれている。
  • 4
    付加価値・賃上げの目標約3日分の作業時間短縮、生産量の増加、CO2排出40%軽減、生産量約1.75倍と数値目標に近い成果が示されている。
  • 4
    費用対効果導入設備により作業時間が約3日分短縮され、塩の生産量が約1.75倍になったと費用対効果を示唆する成果が書かれている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    これまでの取組との一貫性地域の塩づくりや6次産業化への言及はあるが、過去の取組との一貫性や経営戦略上の位置付けは書かれていない。
経営戦略との整合性3.0
  • これまでの取組との一貫性2

    地域の塩づくりや6次産業化への言及はあるが、過去の取組との一貫性や経営戦略上の位置付けは書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    観光客増加で直売所の販売が増えたことや、用途ごとに塩を開発している特長は読み取れるが、競争優位の根拠は具体性が薄い。

  • 課題の認識と解決4

    生産が追いつかない課題と、RO膜・遠心分離機の導入で仕上がりまで5日を要した工程を約3日分短縮した点が具体的に書かれている。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標4

    約3日分の作業時間短縮、生産量の増加、CO2排出40%軽減、生産量約1.75倍と数値目標に近い成果が示されている。

  • 事業を進める体制2

    従業員6名で運搬を担う従業員の負担への言及はあるが、補助事業の遂行体制や事務処理能力は書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    用途ごとに塩を開発し店頭で13種類を販売しているとあり、顧客ターゲットは一部うかがえるが、選ばれる理由の整理は薄い。

  • 事業化までの道筋3

    今後は地域と役割分担し、展示会や商談会で販路拡大する方針が書かれているが、スケジュールや課題解決方法は具体的でない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    海水塩の平釜製法と用途別開発は特長として書かれているが、分野の普及度や高付加価値化の水準を示す記述は薄い。

公的補助の必要性3.0
  • 波及効果・雇用3

    地元の雇用や地域活性化への貢献、五島の塩の産地ブランド化への展望が書かれているが、波及効果の規模は示されていない。

  • 費用対効果4

    導入設備により作業時間が約3日分短縮され、塩の生産量が約1.75倍になったと費用対効果を示唆する成果が書かれている。

  • イノベーションへの貢献2

    RO膜や遠心分離機の導入は書かれているが、デジタル技術や新ビジネスモデルによるサプライチェーン貢献は読み取れない。

政策面4.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及4

    五島列島の特産品として6次産業化を地元で実現し、地元の雇用や地域活性化に貢献している点が具体的に書かれている。

今後の展望

今後は地域の人たちと役割分担をして「五島の塩」を売り出していきたい。夢は沖縄のように「五島といえば塩」と思ってもらえるようになることで、長崎県内の事業者とつながり、展示会や商談会でバイヤーや参加事業者とつながりながら販路を拡大していきたい。

事業者の声

ただ塩を作るのではなく、求められる塩を作りたい

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。