ものづくり補助金平成24年度奈良県

モニター高さ調整機能、折り畳み機能、モニター縦横90°回転機能により、視認性、可搬性、施工性、収納性を大幅に向上するディスプレイスタンドの試作開発

株式会社一ノ坪製作所

この事例のポイント

  • 大手取引先から、モニター高さ調整、折り畳み、縦横90°回転などの付加機能を備えたディスプレイスタンドへの要望が高まっていた。
  • 3Dプリンターを導入し、これまで外部に発注していた樹脂模型の制作を内製化した。
  • 樹脂模型の内製化によって試作開発のリードタイムが短縮され、試行錯誤を含む検証を全工程一貫体制で素早く行えるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社一ノ坪製作所
所在地奈良県 香芝市
業種家具・装備品製造業
技術分野高機能化学合成
従業員数80人
資本金4,500万円
設立1958年

事業の背景

当社は昭和33年の創業以来、事務用スチール製品のOEM製造を手がけてきた。自社製品として平成19年からテレビ会議やWEB会議用の大型モニターを据え付けるディスプレイスタンドの開発・製造・販売を始め、これまで通算15,000台を大手企業に販売してきた。市場の主流は大型モニターを据え付けるだけの単機能製品で、高さ調整や回転などの付加機能を備えた製品は少なかった。一方で、大手の取引先から利便性を高める付加機能への要望が高まっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術大手取引先から、モニター高さ調整、折り畳み、縦横90°回転などの付加機能を備えたディスプレイスタンドへの要望が高まっていた。
  • コスト・採算既に開発に取り組んでいたモニター高さ調整機能の動力伝達部について、コストダウンが必要だった。
  • 品質・精度モニター高さ調整機能の動力伝達部について、精度と機能の向上が必要だった。
  • 納期・工程試作品の製作を外部に発注しており、試作開発にかかるリードタイムが長く、試行錯誤による検証を素早く行えなかった。
  • 人手・技能製品仕様が多種多様化し、安全基準を満たすことを実証する試験の方法も、その都度工夫して対応しなければならなかった。既存設備ですべての試験に対応できるわけではなかった。

やったこと

3Dプリンターを導入し、これまで外部に発注していた樹脂模型の制作を内製化した。これにより試作開発のリードタイムを短縮し、スピーディな検証を可能にした。あわせて3次元測定器を導入し、多様な可動性を実現するための部品や治具を精密に測定できるようにした。これにより、設計から試作、測定までを全工程一貫体制で行えるようになった。さらに、製品仕様の多様化に対応するため、キャスターで段差を越える試験ではモーターでけん引する方法を考案し、安全基準の実証試験を当社内の試験設備で行う体制を整えた。

加工機3Dプリンター
検査測定3次元測定器

新しい製品・サービス:モニター高さ調整機能、折り畳み機能、モニター縦横90°回転機能を備えた付加機能付ディスプレイスタンド

事業の効果

樹脂模型の内製化によって試作開発のリードタイムが短縮され、試行錯誤を含む検証を全工程一貫体制で素早く行えるようになった。3次元測定器の導入により、多様な可動性を実現する部品や治具を精密に測定できるようになり、高精度かつ多様な可動性を備えた試作開発が可能になった。これにより、視認性、可搬性、施工性、収納性の向上を図れるようになった。付加機能付ディスプレイスタンドの市場は可搬式分野で300億円以上あり、当社のシェアアップを目指している。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    大型モニター据付けスタンドを通算15,000台販売してきた実績があり、付加機能製品への展開が既存事業の延長に位置付けられている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    従来市場は単機能型が主流で付加機能製品は少ないと分析し、大手取引先からの要望を背景に、可搬式分野300億円以上の市場でシェアアップを狙う。

  • 課題の認識と解決4

    単機能年間売上を1年目1,200万円から5年目1億円、付加機能付きを1年目800万円から5年目1億5,000万円と数値目標で示している。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    付加機能付き年間売上を1年目800万円、3年目5,000万円、5年目1億5,000万円と段階的な数値目標を設定している。ただし高付加価値化や賃上げの目標は示されていない。

  • 事業を進める体制4

    従業員80名の企業で、3Dプリンター導入や3次元測定器の導入により全工程一貫体制を構築し、試作開発を内製化している。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    視認性、可搬性、施工性、収納性の向上を掲げ、大手取引先からの要望もあるが、顧客ターゲットや選ばれる理由の整理は限定的である。

  • 事業化までの道筋3

    安全基準実証試験の課題に対し、キャスターで段差を越える試験をモーターでけん引する手法を考えたと記載があるが、スケジュールは示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    従来の単機能製品が主流の中で、高さ調整・折り畳み・90°回転を備えた付加機能製品として差別化し、高付加価値化を図っている。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    付加機能付きディスプレイスタンド市場が可搬式分野で300億円以上とうかがえるが、地域経済や雇用への波及効果は示されていない。

  • 費用対効果2

    投資に対する付加価値増加や生産性向上の数値は示されておらず、費用対効果はわずかにうかがえる程度である。

  • イノベーションへの貢献3

    3Dプリンターや3次元測定器を用いた試作開発の内製化が記載されているが、サプライチェーン全体への貢献は示されていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    市場の成長分野への進出とはうかがえるが、日本経済の構造転換に資する旨の記載はない。

  • 地域経済への波及2

    奈良県香芝市の企業であることは記載されているが、地域の特性を活かした付加価値や雇用創出への言及は乏しい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

付加機能付ディスプレイスタンドの年間売上を、1年目800万円、3年目5,000万円、5年目1億5,000万円と目標にしている。単機能ディスプレイスタンドについても、1年目1,200万円、3年目5,000万円、5年目1億円を目標としている。

事業者の声

「メーカー様のオーダーに高次元でお応えするのは当たり前、プラスαの付加価値を想像してこそ意義がある」

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。