ものづくり補助金平成29年度製造業京都府

精密部品に特化した回転スプレー塗装ロボットの導入

株式会社ナイスコート

この事例のポイント

  • 大口の新規受注に伴い増産が必要になったが、従来の生産体制では対応が難しかった。
  • 薄膜多重塗装方式の回転スプレー塗装ロボット「SWAN」と、コンベアラインへの移載ロボット「Co-SWAN」を導入した。
  • 生産性が大幅に向上し、取付・取外し作業の簡略化により省人化も実現した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社ナイスコート
所在地京都府 京都市
業種金属製品製造業
技術分野情報処理,精密加工,製造環境,機械制御
従業員数9人
資本金1.2億円
設立1966年

事業の背景

1950年創業の金属製品の表面処理・塗装業者で、60余年にわたり大手産業機器メーカーの下請けとして金属製品の塗装を手がけてきた。近年は顧客の関心が防錆から美観へと移り、塗装品質や意匠が最終製品の付加価値を高める時代になっている。当社売上の30%程度を占めるオムロンスイッチアンドデバイス社向けに、生産数量が従来の2.5倍見込みの大口のリミットスイッチ部品の新規受注を獲得し、新しい生産体制の構築が必要になった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力大口の新規受注に伴い増産が必要になったが、従来の生産体制では対応が難しかった。
  • 品質・精度小型・精密部品に対する顧客の品質要求が高まり、熟練職人の手作業では精密な塗装ができなくなりつつあった。
  • 人手・技能手作業中心の塗装では人手と熟練が必要で、省人化が課題であった。
  • コスト・採算塗料使用量や光熱費の削減が求められていた。

やったこと

薄膜多重塗装方式の回転スプレー塗装ロボット「SWAN」と、コンベアラインへの移載ロボット「Co-SWAN」を導入した。Co-SWANがコンベアを流れるワークをSWANに移載して塗装し、その後ベルトコンベアラインに戻す自動生産システムとした。専用スプレーガンとシリンジポンプの組み合わせにより1mL単位の超精密定量吐出を可能にし、塗装条件をロボット側で制御して数ミクロン単位の膜厚管理を実現した。回転するワークに対し小型軽量設計のスプレーガンで近距離かつ低圧で塗装し、オーバースプレーを抑えて塗着効率を高めた。本格導入までには約半年かかり、レールの角度変更や治具の軽量化などトライ&エラーを重ねた。

ロボット薄膜多重塗装方式の回転スプレー塗装ロボット(SWAN)
ロボット移載ロボット(Co-SWAN)
その他専用スプレーガンとシリンジポンプ

新しい製品・サービス:薄膜多重塗装方式の回転スプレー塗装ロボット「SWAN」を用いた精密部品への塗装

事業の効果

生産性が大幅に向上し、取付・取外し作業の簡略化により省人化も実現した。薄膜の重ね塗りにより圧倒的な美観品質を実現し、数ミクロン単位の膜厚管理も可能になった。塗料使用量を削減し、人員やスペースを増やさずに増産に対応できた。同業他社との差別化も進み、今後は精密部品への塗装技術を他分野にも展開していく。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の塗装下請けから美観品質へ付加価値を移す流れと、ロボット導入の背景が記載されている。具体的な経営戦略文書の言及はない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    売上の約30%を占める取引先の新規受注で生産数量が2.5倍見込みと記載され、独自の多重塗装技術を強みとして挙げている。

  • 課題の認識と解決4

    新規受注に伴う増産に対し、生産性・品質・コスト・省人化の課題を挙げ、ロボット導入で解決する流れが具体的に示されている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    生産性の大幅アップや省人化は述べられているが、付加価値額や賃上げの具体的な目標値は記載されていない。

  • 事業を進める体制4

    従業員9名の体制や、同業他社に先駆けたアーム式ロボット導入の実績、トライ&エラーを重ねた導入経験が記載されている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    数ミクロン単位の膜厚管理や薄膜多重塗装による美観品質、ユーザーの美観重視へのシフトなど、価値と選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    導入に約半年かかり、レール角度変更や治具軽量化など課題解決の方法が記載されているが、今後のスケジュールは明確でない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    回転スプレー式の塗装手法は工業塗装で比較的新しく、導入企業が限られると記載され、多品種少量対応の高付加価値化が示されている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    VOC削減や低エネルギー生産、職人確保の課題に触れているが、経済波及効果や雇用創出の数字は示されていない。

  • 費用対効果2

    塗料使用量の削減や生産性向上は述べられているが、補助金額に対する付加価値増加などの費用対効果の数値はない。

  • イノベーションへの貢献3

    ロボットとコンベア移載の連携による無人生産やDX推進が記載され、サプライチェーンへの貢献はうかがえるが程度は限定的。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    小型精密部品や半導体製造装置向けなど成長分野への展開がうかがえるが、日本経済の構造転換への言及は乏しい。

  • 地域経済への波及2

    京都市で中小企業が塗装を行う地域事業とうかがえるが、地域の雇用や経済成長への言及は限定的。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

産業機械の小型化に伴い部品の緻密化が進むため、リミットスイッチ以外の非接触センサー分野や工業塗装以外の分野にも幅広く展開する予定である。

  • 目標:数量の伸び 1倍→2.5倍

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。