ものづくり補助金平成25年度製造業富山県

高機能ロボットによる金属仕上げ加工の自動化で伝統産業の職人減少問題を解決

株式会社小泉製作所

成果当初の予想より20%多い生産量を達成

この事例のポイント

  • 磨き職人の減少と高齢化が進み、外注先の磨き業者の休業が生産工程の支障となっている。
  • 外注先の磨き職人から作業動作や手順などの「こつ」を伝授してもらい、システムの構成やロボットの動作に反映させた。
  • 当初の予想より20%多い生産量を達成。自動研磨システムは現在フル稼働し、当初の予想より20%多い生産量を達成した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社小泉製作所
所在地富山県 高岡市
業種金属製品製造業
技術分野情報処理,精密加工,立体造形
従業員数15人
資本金1,000万円
設立1889年

事業の背景

1889年に銅器・仏具鋳造の小泉鋳造所として創業した老舗メーカーで、現在は仏具、音響クラフト、精密バルブ、機械部品など銅合金の鋳造加工を行う。主力の仏具は仏壇の小型化などに伴い市場規模が縮小傾向にあるが、小型仏壇向けの「おりん」などが人気を集めている。高岡銅器の製造従事者は年々減少し、磨き職人は1990年の97人からピークを経て2012年には40人を切るまでになった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能磨き職人の減少と高齢化が進み、外注先の磨き業者の休業が生産工程の支障となっている。
  • 生産能力磨き作業を外注に頼る体質があり、売り上げの減少に直結するリスクがあった。
  • 品質・精度職人の技に依存して仕上がりの品質が安定せず、品質の向上と安定化が課題だった。

やったこと

外注先の磨き職人から作業動作や手順などの「こつ」を伝授してもらい、システムの構成やロボットの動作に反映させた。知能ロボットと周辺機器を組み合わせた仕上げシステムを導入し、ワックスを自動供給する機能を備えたバフホルダーを2基設置した。加工物はスイングアームで把持し、回転する2基のバフに順に押し当てて荒磨きと仕上げ磨きの2段階で磨く仕組みとした。バフの摩耗をセンサーで検知し、加工物を押し付ける力を一定に保つよう制御した。

ロボット知能ロボットと周辺機器を組み合わせた自動研磨システム
加工機ワックス自動供給機能付きバフホルダー(2基)

新しい製品・サービス:音響クラフト商品の開発と、自動研磨システムを活用した磨き作業の新たな事業展開の検討。

事業の効果

  • 当初の予想より20%多い生産量を達成
  • 受注から納品までのリードタイムが約40%短縮

自動研磨システムは現在フル稼働し、当初の予想より20%多い生産量を達成した。受注から納品までのリードタイムは約40%短縮され、生産能力の向上に大きく貢献した。職人の休業による売り上げ減少のリスクを回避し、主力製品の品質の安定化と生産力増強が達成できた。自動研磨システムを取り上げた新聞記事を見た企業から問い合わせがあり、磨き自体をビジネスとする展開も検討している。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    1889年創業の老舗で高岡銅器の伝統を基軸にすると書かれ、磨き職人減少への対応として外注依存の改善を目的に挙げている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    美しい鏡面仕上げ製品へのニーズが高いと述べ、外注依存と職人減少が強みを損なうリスクとして示されている。

  • 課題の認識と解決4

    職人減少による休業リスクを課題として挙げ、自動研磨で受注から納品までのリードタイムを約40%短縮し生産力増強に至ったと書かれている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    リードタイム約40%短縮、現在は当初予想より20%多い生産量を達成していると数字で示されており、実績ベースで読み取れる。

  • 事業を進める体制2

    外注先の磨き職人から『こつ』の伝授を受けたと書かれるのみで、事業遂行の人員や事務体制についての記述は乏しい。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    鏡面仕上げ製品へのニーズや外国人の人気に触れるが、顧客ターゲットや選ばれる理由の整理は具体性が薄い。

  • 事業化までの道筋3

    開発の経緯や技術的課題(力加減、温度変化、バフ摩耗のセンサー検知)が書かれ、遂行方法の大枠は読み取れる。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    職人の技を再現する自動研磨で、磨き作業の機械化は一般的ではなく、機械より2倍速い職人の仕上がりを再現する高水準の取組と読める。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    伝統産業である高岡銅器の職人減少という地域課題の解決と、新聞掲載後の問い合わせ、新事業展開の検討が書かれている。

  • 費用対効果2

    コストも低いと書かれるが、補助金投入額に対する付加価値増加や費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献4

    知能ロボットと周辺機器を組み合わせ、センサーで摩耗を検知して押し付け力を制御する先端的な技術利用が具体的に書かれている。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    ロボットによる自動化で職人減少に対応する点はうかがえるが、日本経済の構造転換への言及は見られない。

  • 地域経済への波及4

    高岡銅器の伝統を基軸とした地域産業の事業で、磨き作業の自動化により地域の職人技を支える取組と具体的に読める。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

自動研磨システムを取り上げた新聞記事を見た企業から問い合わせがあり、「磨き」自体をビジネスとする新たな事業展開も検討している。

  • 目標:職人の方が機械よりも2倍速く、コストも低い(機械が職人より遅いとの記述として、効果ではなく現状の比較)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。