ものづくり補助金平成29年度医療、福祉島根県

顎口腔系機能障害の治療に有効な歯科技工物への対応力強化

有限会社湖南ラボ

この事例のポイント

  • 顎口腔系機能障害の患者が増える一方、県内でデジタル歯科技工に対応できる技工所は少なく、歯科口腔外科の専門的なニーズに十分応えられていなかった。
  • 「3Dデンタルスキャナー DOF製フリーダムHD」で口腔内模型をスキャンしてデジタル化した。
  • 手作業が機械化されて作業時間が短縮し、数値に基づく正確な製作が可能になった。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社湖南ラボ
所在地島根県 松江市
業種医療業
技術分野デザイン,立体造形
従業員数5人
資本金3,000万円
設立1982年

事業の背景

有限会社湖南ラボは1982年設立で、歯科技工士10人が義歯部門とクラウン部門の複数体制をとり、島根県内では組織的な技工所体制を持つ。技術力が高く、大規模総合病院内の歯科口腔外科との取引が多数ある。島根県内では歯科技工所や歯科技工士が減少傾向にあり、デジタル歯科技工を取り入れている所は非常に少ない。一方、睡眠時無呼吸症候群や顎関節症などの顎口腔系機能障害の患者は増加傾向にある。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術顎口腔系機能障害の患者が増える一方、県内でデジタル歯科技工に対応できる技工所は少なく、歯科口腔外科の専門的なニーズに十分応えられていなかった。
  • 生産能力手作業中心の製作で時間がかかり、製品の厚みや維持力などの微妙な調整は歯科技工士個人の経験や勘に頼っていた。
  • 品質・精度石膏模型は加熱の工程で必ず破損し、保存もできないため、模型の復元や修正製作が難しかった。

やったこと

「3Dデンタルスキャナー DOF製フリーダムHD」で口腔内模型をスキャンしてデジタル化した。「CIMsystem CAMソフト MILLBOX」と「デンチャー専用CADソフト ディジステル」でパソコン上に各種スプリントの設計および製造支援データを作成した。「歯科用CAD/CAMマシン Roland製DWX-52D」でバイトアッププリントを削り出し、「歯科用3Dプリンタ Form2」で顎関節症および無呼吸症候群用スプリントを作製する。3つの機械と2つのソフトウェアを導入し、デジタル化を進めた。

加工機歯科用3Dプリンタ(Form2)
ソフトデンチャー専用CADソフト(ディジステル)
検査測定3Dデンタルスキャナー(DOF製フリーダムHD)
加工機歯科用CAD/CAMマシン(Roland製DWX-52D)
ソフトCIMsystem CAMソフト(MILLBOX)

新しい製品・サービス:顎口腔系機能障害の治療に使うスプリント(治療用マウスピース)などの歯科技工物

事業の効果

手作業が機械化されて作業時間が短縮し、数値に基づく正確な製作が可能になった。石膏模型が不要になり、患者データが残るため模型の復元や修正製作ができるようになった。取引先からは想定外の提案を受けており、下顎骨模型や顎態模型の作製など多様な展開が期待できる。今後は従来の取引先である総合病院の口腔外科を対象にスプリントを提供し、軌道に乗ったら県外へ販路を広げる計画である。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存の総合病院口腔外科との取引や歯科技工の技術力に言及があるが、経営戦略上の位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    県内の歯科技工所で対応できる所は殆どなく、口腔外科のニーズに十分応えられていないと外部環境と強みを具体的に示している。

  • 課題の認識と解決3

    手作業の調整が経験頼みで、石膏模型は破損し保存もできないという課題を挙げ、デジタル化で解決する方針を示している。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    作業時間短縮と高精度化は述べられているが、付加価値額や賃上げの具体的な目標値や数字は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    歯科技工士10人の義歯部門とクラウン部門の複数体制が示されており、体制面の記載がある。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    顎口腔系機能障害の患者増加、取引先からの想定外の提案など、ニーズの裏付けと対象顧客が示されている。

  • 事業化までの道筋3

    まず総合病院の口腔外科を対象にし、軌道に乗ったら県外へ販路を広げるという段階的な方針が書かれている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    県内でデジタル歯科技工は非常に少なく、西日本でも同業他社よりぬきんでていると、同分野での高水準性が述べられている。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    県内の歯科技工所減少という地域課題にわずかに触れるが、国が補助する理由としての波及効果や雇用創出は書かれていない。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献4

    歯科技工へのCAD/CAMやデジタルスキャナー導入で、口腔内データをデジタル化して製作する点は先端技術の活用と読み取れる。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    島根県の歯科技工所が減少する中で県内の対応力を高める取組と読め、地域の特性への言及がある。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

スプリントのデジタル作製は強みであり、県内だけでなく西日本でも同業他社の中で抜きんでている。まず既存の総合病院口腔外科向けに提供し、その後県外へ販路を求める。

  • 目標:従業員数:5名

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。