ものづくり補助金平成25年度医療、福祉岩手県

先進医療の歯冠補綴物製作装置(CAD/CAM)導入による地域歯科医療への貢献

株式会社上神田歯研

この事例のポイント

  • 保険適用となったCAD/CAM冠を製作するには国の施設基準に適合したCAD/CAM装置が必要だったが、当社には保険適用の要件を満たす装置がなかった。
  • 歯科用CAD/CAM装置として3Shape D900を導入し、歯科医院から預かった歯型を3次元データに変換して画面上でCAD/CAM冠を設計する体制を整えた。
  • 保険で白い歯を実現し、これまで不可能だった小臼歯の被覆冠を製作できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社上神田歯研
所在地岩手県 北上市
業種医療業
技術分野精密加工,立体造形
従業員数31人
資本金500万円
設立1978年

事業の背景

当社は歯科医療施設から委託を受けて歯科補綴物を製造・販売しており、受託エリアは県内全域、秋田県、青森県、関東地区に及ぶ。顧客は民間の歯科開業医院、県内外の公立歯科診療所、大学付属歯科医療センターである。平成26年4月に先進医療会議の提言を受けてCAD/CAM冠が新たに保険適用となり、患者の白い歯への需要増と歯科用貴金属の価格高騰を背景に、今後の需要増が確実と判断された。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術保険適用となったCAD/CAM冠を製作するには国の施設基準に適合したCAD/CAM装置が必要だったが、当社には保険適用の要件を満たす装置がなかった。
  • 販路・情報発信小臼歯の白い歯は自費治療では治療費が高額になり、一般的には審美性に劣る銀歯が使われることが多かった。
  • 生産能力金属冠(銀歯)製作部門は不採算部門であり、収益の改善が必要だった。

やったこと

歯科用CAD/CAM装置として3Shape D900を導入し、歯科医院から預かった歯型を3次元データに変換して画面上でCAD/CAM冠を設計する体制を整えた。あわせて5軸切削加工機(ローランドDG社製)を導入し、設計データからNCプログラムを作成して切削加工を行う。切削後に歯科技工士が最終仕上げを行い、CAD/CAM冠を完成させる。使用材料は、シリカ微粉末とそれ以外の無機質フィラーの合計が60%以上で、過酸化物を用いた加熱重合で作製されたハイブリッドレジンブロックとする。平成26年12月に最新装置の導入を終え、試運転を開始した。

検査測定3Shape D900(歯科用CAD/CAM装置)
加工機ローランドDG社製 5軸加工機
ソフト歯科用CADソフト

新しい製品・サービス:保険適用のCAD/CAM冠(ハイブリッドレジン製の小臼歯被覆冠)

事業の効果

保険で白い歯を実現し、これまで不可能だった小臼歯の被覆冠を製作できるようになった。同業他社との優位性が明確になり、営業力の向上が見込まれる。県内や北東北で歯科用CAD/CAM装置を持つ歯科技工所は少なく、現在の営業エリアからの受注増と新規地域からの受注が期待される。また、金属冠の製作部門の収益改善も見込まれる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    平成20年から保険外の補綴物でCAD/CAM技工の臨床実績を重ねてきたと書かれ、過去の取組との一貫性はうかがえるが、経営戦略上の位置付けの記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    白い歯への需要増と貴金属価格高騰を外部環境として挙げ、県内で導入が少ない点を優位性として具体的に述べている。

  • 課題の認識と解決3

    銀歯製作部門の不採算という課題と収益改善の見込みは書かれるが、高付加価値化の数値目標や計画の詳細は薄い。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    受注増や収益改善が見込まれると書かれるのみで、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制4

    操作スキルは既に習熟しており、導入システムの準備はできていたと具体的に書かれ、2026年12月の導入と試運転の開始も示されている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    保険適用で白い歯を1万円程度で提供できる点、3万〜6万円からの価格差、他社との優位性が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    若年技工士育成や労働環境改善といった今後の取組は書かれるが、スケジュールや課題の解決方法は明確でない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    保険適用前は自費で3万〜6万円だったCAD/CAM冠が、保険適用後は約1万円で治療可能になったと書かれ、高付加価値の分野であることがうかがえる。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    保険で白い歯を実現する社会的意義や医療先進国入りへの言及はあるが、経済波及や雇用創出の数字は書かれていない。

  • 費用対効果2

    投入額に対する付加価値増や費用対効果を示す数値は書かれておらず、わずかに収益改善がうかがえるのみ。

  • イノベーションへの貢献3

    3次元データと5軸加工によるデジタル技術の活用は書かれるが、サプライチェーン全体への貢献としての記述は薄い。

政策面60%
  • 成長分野への進出3

    歯科技工業界のデジタル化を進める取組として書かれるが、日本経済の構造転換への言及は具体性が薄い。

  • 地域経済への波及3

    県内最大手の歯科技工所として北東北全域から受注を見込むと書かれるが、地域雇用の数値は示されていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

歯科技工士の離職率の高さを課題と捉え、若年技工士にデジタル化への関心を持ってもらい、労働環境の改善と離職対策につなげたい。今後も設備増強を進め、県内最大手の歯科技工所として患者・歯科医療施設のニーズに応え、若年技工士の育成にも活用していく。

  • 目標:自費技工での費用 30,000円→10,000円

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。