ものづくり補助金平成29年度製造業島根県

新商品開発、販路拡大のための、衛生環境整備、生産ライン自動化の取組み

有限会社井上醤油店

成果900mlなら1時間で約430本の瓶詰めが可能になった

この事例のポイント

  • 天然醸造の醤油の人気が高まり生産量は年々増えたが、出荷が追い付かなくなっていた。
  • 夏油の充填からラベル貼りまでを全自動で行える機械を導入した。
  • 900mlなら1時間で約430本の瓶詰めが可能になった。瓶詰めのスピードが従来の2倍以上に向上し、生産効率が大きく高まった。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社井上醤油店
所在地島根県 奥出雲町
業種食料品製造業
従業員数15人
資本金500万円
設立1988年

事業の背景

江戸時代後期から奥出雲で天然醸造の醤油を造り続けており、国産丸大豆と自然の寒暖による発酵・熟成にこだわってきた。本物志向の醤油は都会の消費者にも浸透し、一般家庭のほか有名ホテルや寿司店、ニツ星レストランなどからも多くの引き合いがあった。一方で、近年は需要の増加に生産が追い付かない状況になっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力天然醸造の醤油の人気が高まり生産量は年々増えたが、出荷が追い付かなくなっていた。
  • コスト・採算卓上少量サイズの瓶詰めは原価に対して生産コストがかかり過ぎ、出荷が難しい状況だった。
  • 人手・技能従来の瓶詰め作業は人が瓶をセットする必要がある半自動システムで、需要増に対応しきれなくなっていた。

やったこと

夏油の充填からラベル貼りまでを全自動で行える機械を導入した。導入したのは全自動充填機、自動打栓機、ボトルコンベアである。充填からラベル張りまでの全自動システムにより、900mlなら1時間で約430本、360mlなら1時間で約800本の瓶詰めが可能になった。フル自動稼働により作業工程での異物混入の可能性を限りなく少なくし、衛生管理も強化した。

  • 加工機全自動充填機自動打栓機ボトルコンベア

新しい製品・サービス:奥出雲で育てた青唐辛子を使ったポン酢や、自社製の味噌と甘酒をブレンドした調味味噌などを企画している。

事業の効果

  • 900mlなら1時間で約430本の瓶詰めが可能になった
  • 360mlなら1時間で約800本の瓶詰めが可能になった
  • 瓶詰めスピード 1倍以上→2倍以上

瓶詰めのスピードが従来の2倍以上に向上し、生産効率が大きく高まった。ミニサイズの充填工賃も下がったため、従来は商品化していなかった200mlや150mlの製造販売も始められるようになった。フル自動化により衛生管理も強化された。省力化と生産能力の向上により、新商品開発や市場拡大に注げる力も生まれ、在庫の確保が可能になって待たせずに届けられるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性ホテルや寿司店、ネット通販ランキング上位など販路が示され、奥出雲の風土を生かした天然醸造が強みとして描かれている。
  • 4
    課題の認識と解決出荷が追い付かず月末に売り切れる課題を認識し、全自動化で900mlを1時間約430本と従来の2倍以上に高めたと書かれている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け卓上ミニボトルや900mlへの引き合い、ネット通販での売り上げ上位など、ニーズの裏付けと顧客層が具体的に書かれている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標生産スピードの向上は数字で示されているが、付加価値額や賃上げの目標値は記載されていない。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    創業150年、国産丸大豆による天然醸造にこだわってきた歴史が書かれ、今後は新商品開発や輸出へ注力する方針が示されている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    ホテルや寿司店、ネット通販ランキング上位など販路が示され、奥出雲の風土を生かした天然醸造が強みとして描かれている。

  • 課題の認識と解決4

    出荷が追い付かず月末に売り切れる課題を認識し、全自動化で900mlを1時間約430本と従来の2倍以上に高めたと書かれている。

事業の実現可能性2.8
  • 付加価値・賃上げの目標2

    生産スピードの向上は数字で示されているが、付加価値額や賃上げの目標値は記載されていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員15人や取締役の存在は書かれているが、補助事業を遂行する体制や事務処理能力の記述はない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    卓上ミニボトルや900mlへの引き合い、ネット通販での売り上げ上位など、ニーズの裏付けと顧客層が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    今後は客層に応じた商品提案や輸出、業務用展開を進める予定と書かれているが、スケジュールや解決方法は具体的でない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    脱脂大豆が主流となる中で天然醸造を続けている点や、200mlなど従来なかった小容量の商品化が書かれている。

公的補助の必要性2.3
  • 波及効果・雇用3

    奥出雲で育てた青唐辛子や仁多米など地域の原材料と人を生かした取組が書かれ、地域への波及が一定程度うかがえる。

  • 費用対効果2

    充填工賃の低下や生産性向上はうかがえるが、投入額に対する付加価値額の増加などの費用対効果は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    全自動充填やラベル貼りの導入は書かれているが、先端的なデジタル技術や新しいビジネスモデルの記述はない。

政策面3.0
  • 成長分野への進出2

    輸出の展開予定はあるが、成長分野への進出や日本経済の構造転換との関係は書かれていない。

  • 地域経済への波及4

    奥出雲の風土を生かした醸造や地域の人と続けてきた麹・味噌造りが書かれ、地域の特性を活かした事業であることが読み取れる。

今後の展望

今後は客層に応じた商品提案に加え、輸出や高級総菜業務用なども積極的に推し進めていく予定。

事業者の声

奥出雲は仁多米の産地です。昔から地域の人と共に風土を生かした麹造りや味噌造りも続けてきたからこそ、今もなお天然醸造を続けられるのです

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。