ものづくり補助金平成29年度製造業山口県

冷蔵仕込み蔵の設営、洗米機等の設備導入による伝統製法を用いた新分野の日本酒の開発

新谷酒造株式会社

成果洗米時間が1/3に短縮

この事例のポイント

  • 手作業に頼る部分が多く発酵に長時間を要するため、通常の2倍以上の時間と労力がかかり、仕込み蔵は生産量のキャパシティーを超えていた。
  • 洗米機を導入したところ、洗米時間が従来の1/3に短縮された。
  • 洗米時間が1/3に短縮。洗米時間が1/3に短縮し、水や電気の使用量も1/5に減った。

事業者のプロフィール

事業者名新谷酒造株式会社
所在地山口県 山口市
業種飲料・たばこ・飼料製造業
技術分野製造環境

事業の背景

平成19年(2007年)に蔵の一部を四季醸造蔵へ転換し、全量を純米・原酒とする新たなスタートを切った。しかし平成30年(2018年)に蔵の柱が損傷し、同年12月に仕込み蔵を移設した。代表銘柄は和歌にちなんだ「わかむすめ(和可娘)」で、少量仕込みにより毎月搾り立ての新酒を原酒のまま出荷している。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力手作業に頼る部分が多く発酵に長時間を要するため、通常の2倍以上の時間と労力がかかり、仕込み蔵は生産量のキャパシティーを超えていた。
  • 新製品・新技術新たに高付加価値商品を製造したくても、当時の仕込み蔵では生産量に限界があり、新商品の開発時間を捻出できなかった。

やったこと

洗米機を導入したところ、洗米時間が従来の1/3に短縮された。また水や電気の使用量も1/5に減り、大幅な節水・節電につながった。瓶燗火入れ機を導入して品質が安定し、従来の2倍の生産量が可能になった。さらに冷蔵パネルを更新したことで、全体的な品質が向上した。

  • その他洗米機瓶燗火入れ機冷蔵パネル

新しい製品・サービス:令和2年(2020年)に同社初の純米大吟醸「わかおむすめ 燕子花(かきつばた)」を製造し、フランスの日本酒品評会でトップ5入りを果たした。

事業の効果

  • 洗米時間が1/3に短縮
  • 水や電気の使用量が1/5に
  • 従来の2倍の生産量が可能に
  • 売上は約2.5倍にアップ

洗米時間が1/3に短縮し、水や電気の使用量も1/5に減った。瓶燗火入れ機の導入で品質が安定し、生産量は従来の2倍になった。冷蔵パネルの更新も含めて全体的な品質が向上し、売上は約2.5倍に伸びた。国内の鑑評会でも高い評価を得ている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 5
    課題の認識と解決仕込み蔵のキャパシティ超過や作業に2倍の時間を要する課題を明示し、洗米機や火入れ機の導入で生産量2倍、売上約2.5倍という数字で解決を示している。
  • 4
    これまでの取組との一貫性2007年の四季醸造蔵への転換や全量純米・原酒化など創業来の方針を継承し、生産量増と売上4倍という目標を掲げている点から一貫性がうかがえる。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け少量仕込みによる毎月搾り立ての原酒出荷や、品評会でのトップ5入りなど、製品の特徴と評価が具体的に整理されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    イノベーションへの貢献オンライン販売の開始は触れられているが、先端的なデジタル技術の活用や地域・サプライチェーンへの革新的な貢献はうかがえない。
経営戦略との整合性4.0
  • これまでの取組との一貫性4

    2007年の四季醸造蔵への転換や全量純米・原酒化など創業来の方針を継承し、生産量増と売上4倍という目標を掲げている点から一貫性がうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    国内外の品評会での高評価や海外需要を視野に入れる姿勢は書かれているが、市場動向と自社の強み・弱みの分析は具体的に示されていない。

  • 課題の認識と解決5

    仕込み蔵のキャパシティ超過や作業に2倍の時間を要する課題を明示し、洗米機や火入れ機の導入で生産量2倍、売上約2.5倍という数字で解決を示している。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標3

    売上4倍という目標値は示されているが、その実現に向けた付加価値や生産量の積み上げ根拠の説明は少ない。

  • 事業を進める体制3

    夫婦二人で杜氏のバトンを妻へ受け渡した経緯と、新たな雇用や技術承継の計画は書かれているが、体制の具体的な整備内容は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    少量仕込みによる毎月搾り立ての原酒出荷や、品評会でのトップ5入りなど、製品の特徴と評価が具体的に整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    自社田での米作りやリキュールなど新カテゴリーへの挑戦は示されているが、スケジュールや課題解決の方法は明確に書かれていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    純米大吟醸の品評会トップ5入りや原酒での高付加価値化など、同分野で高水準の価値化を図る取組が具体的に読み取れる。

公的補助の必要性3.3
  • 波及効果・雇用4

    新たな雇用の創出や地元山田錦の利用、地域の休耕田問題の解決につなげる構想が示され、地域への波及効果が読み取れる。

  • 費用対効果4

    洗米時間が1/3、水や電気の使用量が1/5や1/3、売上約2.5倍など費用に対する効果の数字が示されているが、投入額との比較は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    オンライン販売の開始は触れられているが、先端的なデジタル技術の活用や地域・サプライチェーンへの革新的な貢献はうかがえない。

政策面3.0
  • 成長分野への進出2

    海外市場の開拓やリキュールなど新カテゴリーへの意欲はうかがえるが、日本経済の構造転換に資する成長分野への進出とは明示されていない。

  • 地域経済への波及4

    山口市徳地の自然や佐波川の恩恵を活かした酒造りで、地域の農産物利用や雇用、休耕田の活用を通じた地域貢献が示されている。

今後の展望

目下の目標は生産量を増やして売上を4倍にすること。そのために新たに人を雇用し、技術承継や経営基盤の強化を進める。将来は地元産うるち米を使った日本酒造りや自社田での米作りに取り組み、地域の休耕田問題の解決につなげたいと考えている。また、リキュールなど新たなカテゴリーや海外需要を視野に入れた市場開拓も検討している。

事業者の声

以前から日本酒造りの新しいスタイルを築いていきたいという強い思いがあり、ものづくり補助金が後押ししてくれる形になりました。単に生産性が向上しただけでなく、新たな気持ちでスタートを切ることができたのは大きな収穫でした。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。