ものづくり補助金平成24年度和歌山県

市場ニーズの変化に柔軟に対応する製造一貫体制の追求計画

原田織物株式会社

この事例のポイント

  • 製版工程の外注比率が高まり、支払金額が増えて利益率が下がっていた。
  • 従来外注していたシルクスクリーニングに代わり、平面精度に優れたダイレクト製版機を導入して製版の内製化を図り、内製比率の向上を目指した。
  • 製版を内製化したことで外注費が削減され、その分、これまで製版代がネックで受注できなかった小規模の卸問屋や少店舗展開のチェーンストアへのアプローチが可能になった。

事業者のプロフィール

事業者名原田織物株式会社
所在地和歌山県 橋本市
業種繊維工業
技術分野プラスチック成形加工
従業員数150人
資本金1,000万円
設立1949年

事業の背景

1949年に和歌山県橋本市でキッチンクロスやディッシュクロスの製造業者として創業し、ランチョンマットなども手掛けて事業を拡大してきた。現代表の就任後は為替が円高で推移した影響もあり、国内向けの製品販売が増えた。現在は体を洗うためのボディータオルが売上の3分の1程度を占めて主力製品となっており、ハンカチ、キッチン雑貨、スカーフ、マフラーなど繊維生活雑貨全般も販売している。商社経由で大手百貨店や大手インテリア雑貨店にも納入している。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算製版工程の外注比率が高まり、支払金額が増えて利益率が下がっていた。
  • 納期・工程外注先とのやりとりが増えるため、納期遅れの一因となる可能性があった。
  • 販路・情報発信製版代がネックとなり、小口受注の企業へのアプローチを断念せざるを得ない場面が出ていた。営業先での仮受注もできず、提案から受注まで相応の時間がかかっていた。
  • 品質・精度繊細なデザインが増え、高解像度印刷が求められる場面が多くなっていた。
  • その他製版を外注することで、顧客企業の大手が多い中でデザインデータが社外に流出するリスクがあった。

やったこと

従来外注していたシルクスクリーニングに代わり、平面精度に優れたダイレクト製版機を導入して製版の内製化を図り、内製比率の向上を目指した。導入後はいち早く本格稼働できるよう、デザインデータ処理の研修を繰り返し実施した。かねてさまざまな機器を導入してきた同社でも、想定通りの製版物を作り上げるまでには試行錯誤を重ねた。

事業の効果

製版を内製化したことで外注費が削減され、その分、これまで製版代がネックで受注できなかった小規模の卸問屋や少店舗展開のチェーンストアへのアプローチが可能になった。自社工場内での一貫体制により、より厳しい納期にも対応できるようになった。デザインデータの社外流出も防げるようになり、情報セキュリティー面を打ち出した営業活動も可能になりつつある。製造工程の自動化とあわせ、品質レベルの向上やノウハウ蓄積の面でも一定の成果が得られた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性編立てから梱包まで一貫生産でき、同社仕様の専用機器を持つことや小ロット・短納期に対応できる点が強みとして具体的に書かれている。
  • 4
    課題の認識と解決製版の外注比率が高く支払い増と納期遅れの恐れがあるという課題を示し、製版代で断念していた小規模卸などへの販路拡大につなげる内容になっている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け小規模卸問屋や少店舗展開のチェーンストアを顧客ターゲットとし、小ロット・短納期に対応できることが選ばれる理由として整理されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標外注費の削減や納期短縮の効果は書かれているが、付加価値額や賃上げに関する数値目標は示されていない。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    1949年創業以来、欧米向け製造から事業を拡大してきた経緯があり、一貫生産体制の構築と内製比率向上を目指す流れは読み取れるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    編立てから梱包まで一貫生産でき、同社仕様の専用機器を持つことや小ロット・短納期に対応できる点が強みとして具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    製版の外注比率が高く支払い増と納期遅れの恐れがあるという課題を示し、製版代で断念していた小規模卸などへの販路拡大につなげる内容になっている。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標2

    外注費の削減や納期短縮の効果は書かれているが、付加価値額や賃上げに関する数値目標は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    若手従業員中心の現場で、導入後にデータ処理の研修を繰り返し試行錯誤したと書かれており、運用体制の一端はうかがえる。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    小規模卸問屋や少店舗展開のチェーンストアを顧客ターゲットとし、小ロット・短納期に対応できることが選ばれる理由として整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    今後は機能性を打ち出した製品の企画・製造や海外販売の拡大に重点を置くという方針が示されているが、スケジュールは具体的でない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性2.0
  • 新しさ・高付加価値2

    自動車ボディー用の拭き布など機能性を重視した製品を産業用に広げる方針が書かれているが、同分野での高付加価値化の水準は具体的でない。

公的補助の必要性2.0
  • 波及効果・雇用2

    大手企業との取引や海外販売の広がりに触れているが、川上川下への波及効果や雇用創出などの国が補助する理由は書かれていない。

  • 費用対効果2

    外注費の削減や納期短縮への寄与は書かれているが、補助金投入額に対する付加価値増加などの数値による費用対効果は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    製版を内製化してデザインデータの社外流出を防いだと書かれているが、先端的なデジタル技術や新ビジネスモデルの活用による地域への貢献は読み取れない。

政策面2.0
  • 成長分野への進出2

    機能性素材を用いた製品を産業用に展開する方針はあるが、成長分野への進出や日本経済の構造転換に資する点は明示されていない。

  • 地域経済への波及2

    和歌山県橋本市高野口町で創業したことは書かれているが、地域の特性を活かして雇用や地域経済を牽引する内容は具体的に示されていない。

今後の展望

製造工程の自動化により生産能力に余力があり、機械の自動化で若手従業員が効率よく学習でき、技術の伝達も早まっている。今後は生地の機能性を打ち出した製品の企画・製造・販売に重点を置き、産業用途への販売も進める方針である。海外では欧米の百貨店での販売実績を生かし、商社経由の販売を広げ、国内市場のシェア拡大にも挑戦する予定である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。