ものづくり補助金平成30年度製造業奈良県

蛍光X線膜厚測定器により鍍金膜厚の測定精度向上と、主導的薬液管理体制を確立する

株式会社岸本製作所

成果鍍金薬液の濃度測定時間 70分→5分

この事例のポイント

  • 電磁式膜厚測定器は塗膜内の異物・キズを含めて測定するため、実際の膜厚より3〜5ミクロン厚い数値を返す精度の甘いものだった。
  • 課題解決のため、蛍光X線膜厚測定器を導入した。
  • 鍍金薬液の濃度測定時間 70分→5分。蛍光X線膜厚測定器の導入により、膜厚測定の精度が大幅に向上し、異物・キズや操作者による誤差がなくなった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社岸本製作所
所在地奈良県 奈良県北葛城郡広陵町
業種輸送用機械器具製造業
技術分野測定計測
設立1976年

事業の背景

当社は昭和51年創業で、創業当時から金属プレス加工を主領域としており、バレル研磨・スポット溶接・切削加工・電気亜鉛鍍金・電着塗装・樹脂コーティング等の付随工程まで自社内で内製化している。主要顧客は自動車業界で、シートベルト部品、エアバッグ部品、電動シェード部品、センサー部品などの重要保安部品の製造・加工・表面処理を請け負っている。近年、電気亜鉛鍍金において要求される膜厚は非常に高度化しており、部品精度が高まって遊びが小さくなったことで、防錆効果や勘合部品との組立に影響するミクロン単位の膜厚誤差が問題視されている。当社も他の鍍金加工業者と同様に電磁式膜厚測定器を使用していた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度電磁式膜厚測定器は塗膜内の異物・キズを含めて測定するため、実際の膜厚より3〜5ミクロン厚い数値を返す精度の甘いものだった。
  • 品質・精度膜厚範囲の指定がある製品で要求膜厚に対し約4ミクロン不足するという事態が起きた。
  • 品質・精度鍍金薬液の品質管理が受動的で、濃度測定に70〜80分かかり、異常発生時に測定する後手の対応だった。

やったこと

課題解決のため、蛍光X線膜厚測定器を導入した。この測定器は電磁式とは測定方式が異なり、異物やキズ、操作者による誤差がなく、遥かに高精度で正確な膜厚測定を実現する。鍍金薬液の濃度測定にも同測定器を用いることで、従来の測定に代えて短時間で管理できる体制とした。

検査測定蛍光X線膜厚測定器

事業の効果

  • 鍍金薬液の濃度測定時間 70分→5分

蛍光X線膜厚測定器の導入により、膜厚測定の精度が大幅に向上し、異物・キズや操作者による誤差がなくなった。これにより、顧客企業にも納得してもらえる品質保証のエビデンスが得られ、仕上げの鍍金品質に対する顧客からの評価・信頼度も高まった。また、薬液濃度測定が5〜6分で完了するため、毎朝ライン起動前に測定でき、異常に対して先手を打つ品質管理体制を構築できるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.5 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の金属プレス加工や内製化、基本に忠実な品質管理という一貫した方針が読み取れるが、経営戦略上の明確な位置づけは書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    顧客から品質と納期の信頼を得ており、内製化による横持ち費用削減が強みとして具体的に示されている。

  • 課題の認識と解決4

    測定誤差が約4ミクロン不足した事態を課題と認識し、測定精度強化と薬液管理改善を解決策として挙げている。

事業の実現可能性40%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    測定時間が70〜80分から5〜6分に短縮されたと示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    社内の品質管理体制や人材、事務処理能力について説明はあるが、補助事業の遂行体制は具体的に書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    重要保安部品の品質保証の需要や顧客評価は読み取れるが、ターゲットや選ばれる理由の数値的裏付けは薄い。

  • 事業化までの道筋2

    今後の展望として製造品目の領域拡大を挙げるが、遂行方法やスケジュールは書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    蛍光X線膜厚測定器による高精度化が同分野で高水準の品質確保につながると読めるが、普及度や価格の数値は示されていない。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    重要保安部品が人命保護に関わるという社会的意義が示されているが、雇用や波及効果の具体的数値は書かれていない。

  • 費用対効果2

    従来70〜80分の測定が5〜6分になった時間短縮はわかるが、投入額に対する付加価値増加の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    蛍光X線測定器による先進的な品質管理が示されるが、デジタル技術の活用やサプライチェーン全体への貢献は具体的ではない。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    奈良県の本社工場と香芝工場を拠点に自動車部品を製造する地域事業とわかるが、地域特性を活かした成長の記述は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

蛍光X線膜厚測定器を軸に万全の品質保証体制を整え、重要保安部品と、さらには重要保安部品以外の製造・加工の受注を目指し、引き続き品質管理を徹底していく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成30年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。