ものづくり補助金平成30年度製造業静岡県

人命を預かるシートベルト部品の生産体制・品質管理体制の高度化

カツヤマファインテック株式会社

成果金型部品の形状精度 1倍→2倍

この事例のポイント

  • 金型部品の摩耗が早く、金型交換のため生産ラインの稼働停止が頻繁に発生していた。
  • 金型部品を製造するワイヤ放電加工機を導入し、金型部品の形状精度と面粗度を向上させた。
  • 金型部品の形状精度 1倍→2倍。金型部品の形状精度と面粗度が向上し、プレス加工の不良品発生がゼロになった。

事業者のプロフィール

事業者名カツヤマファインテック株式会社
所在地静岡県 浜松市
業種輸送用機械器具製造業
技術分野精密加工,測定計測
資本金3.87億円
設立1954年

事業の背景

昭和29年に塗装工場として創業し、昭和44年から人命を守る重要保安部品である自動車用シートベルト部品の加工を開始した。これが今日の主力製品となっており、金型の設計・開発からプレス加工までの一貫生産体制を構築している。ショルダーアジャスターの構成部品である「スライダー」は同社が工法改善を提案して生産を開始したもので、国内では同社のみが製造している。採用するメーカーや車種が徐々に増加しているが、現在の生産体制・品質検査体制では顧客の納期や生産量に対応しきれなくなっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力金型部品の摩耗が早く、金型交換のため生産ラインの稼働停止が頻繁に発生していた。
  • 品質・精度金型部品の面粗度と形状精度が十分でなく、プレス加工時の不良品発生の要因となっていた。
  • コスト・採算金型部品の寿命が短く、予備の金型部品を製作する必要があり、余分な時間とコストが掛かっていた。
  • 品質・精度製品検査は製品を切断して画像測定機で断面を測定しており、同一製品で一断面しか確認できず、切断に要する時間のロスなど検査・品質保証や効率性に問題があった。
  • 生産能力顧客が求める納期や生産量に対応できない状況になっていた。

やったこと

金型部品を製造するワイヤ放電加工機を導入し、金型部品の形状精度と面粗度を向上させた。放電加工された金型部品は、従来製品と比べて形状精度が約2~4倍、表面粗さが約14倍の精度に向上した。また金型部品にラップコーティング処理を施し、さらなる長寿命化を図った。検査にはワンショット3D形状測定機を導入し、製品を切断せずに形状を測定できるようにした。

加工機ワイヤ放電加工機
検査測定ワンショット3D形状測定機

事業の効果

  • 金型部品の形状精度 1倍→2倍
  • 金型部品の表面粗さ 1倍→14倍
  • プレス加工の不良品発生 20個中→0個中
  • 検査時間 30分/製品→5分/製品

金型部品の形状精度と面粗度が向上し、プレス加工の不良品発生がゼロになった。金型の寿命が2倍に延び、金型要因によるプレス機の稼働停止時間が減ってスライダーの製造工程の生産性が向上した。検査は切断が不要になり、1製品あたり30分の検査時間が5分に短縮された。増産要請に対応できる生産能力を確保して受注量が拡大し、品質管理の向上により自社の信用力も高まった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の自動車用シートベルト部品加工と一貫生産体制を背景に、スライダー生産の高度化を図った流れが読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    スライダーは国内で同社のみが製造する部品と書かれ、安全性評価を強みとする点がうかがえるが、市場動向との対比は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    金型摩耗や面粗度、検査時間30分などの課題を挙げ、ワイヤ放電加工機と3D形状測定機で対応した具体的な流れが書かれている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    形状精度2~4倍、表面粗さ約14倍、不良品20個中1~2個から0、検査30分から5分など数値目標と結果が示されている。

  • 事業を進める体制2

    人材や事務処理体制について事例文中に記述がなく、設備導入の話にとどまる。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    安全性や軽量化が評価されている点、顧客からの納期と品質の要求が書かれているが、顧客ターゲットの整理は薄い。

  • 事業化までの道筋3

    設備導入と検査体制の改善という手順は読み取れるが、スケジュールや中長期の検証内容は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    国内で唯一同社のみが製造するスライダーという点や、同分野で高精度化を図った取組が具体的に書かれている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    人命にかかわる重要保安部品の安全性向上という社会的意義はうかがえるが、経済波及や雇用創出の記述は見当たらない。

  • 費用対効果4

    不良品削減、寿命2倍、検査時間短縮など投資効果の数値が示されており、費用対効果の観点が読み取れる。

  • イノベーションへの貢献2

    ワイヤ放電加工機と3D形状測定機の導入はうかがえるが、デジタル技術の活用や地域・サプライチェーンへの貢献は薄い。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    浜松市に所在する企業で地域の製造業としての位置づけはうかがえるが、地域特性を活かした雇用創出の記述は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成30年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。