ものづくり補助金平成30年度製造業佐賀県

全自動製あん設備の導入で、あんづくりのこだわりを伝承

有限会社菓心まるいち

成果あんづくりの作業時間 3時間→2時間

この事例のポイント

  • 製あんは全て手作業で重労働のうえ時間もかかり、後継者となる職人が定着しないことが不安だった。
  • 従来は小豆の手水洗い、沸騰後の冷水さし、渋切り、本煮、蒸らしと冷却、製あん機での皮と中身の分離、冷水による晒しの2回繰り返し、水抜きを職人1人が張り付いて約3時間かけて行っていた。
  • あんづくりの作業時間 3時間→2時間。あんづくりの作業時間が約3時間から2時間に短縮され、タイマーをセットしておけば翌朝には生あんが仕上がるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社菓心まるいち
所在地佐賀県 佐賀市
業種食料品製造業
技術分野製造環境
従業員数18人
資本金500万円
設立1950年

事業の背景

1950年に餅と饅頭の製造小売業として創業し、現在は本店(佐賀市)と直営店3店舗で製造直売を行っている。和菓子にとってあんは命であり、北海道産の小豆や大手亡豆を使い、50年以上のキャリアを持つ職人が時間をかけてあんを作っている。和菓子の生産額は1993年をピークに減少し、コロナ禍によるギフト需要の減少も見られた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能製あんは全て手作業で重労働のうえ時間もかかり、後継者となる職人が定着しないことが不安だった。
  • コスト・採算原材料と人件費が高騰しており、製造業全体が厳しい状況に直面している。
  • 販路・情報発信若者の和菓子離れや、コンビニエンスストア・大手菓子専門店の店舗拡大により競争が激化している。
  • 新製品・新技術地方和菓子専門店として製品づくり・店づくりのユニークさを追求することが急務であり、商品戦略の見直しと新商品の開発が必要だった。

やったこと

従来は小豆の手水洗い、沸騰後の冷水さし、渋切り、本煮、蒸らしと冷却、製あん機での皮と中身の分離、冷水による晒しの2回繰り返し、水抜きを職人1人が張り付いて約3時間かけて行っていた。今回、操作盤、豆煮釜、分離機、晒し機の5点からなる小型無人化製あんシステムを導入した。小豆を機械に入れてタイマーをセットすれば、あとは全自動で生あんが完成する。職人は部分的な機械化により、本来の技が生きるあん練り業務に集中できるようになった。

その他操作盤
加工機豆煮釜
加工機分離機
加工機晒し機

新しい製品・サービス:完全無添加の飲めるあんこ「餡MMu」

事業の効果

  • あんづくりの作業時間 3時間→2時間

あんづくりの作業時間が約3時間から2時間に短縮され、タイマーをセットしておけば翌朝には生あんが仕上がるようになった。水の使用量も最大50%削減され、経費削減にもつながった。部分的な機械化により職人は本来の技に集中でき、労働生産性の向上と長時間労働の是正にもつながった。全自動製あんシステムの構築により、あんづくりの技術を継承するハードルも下がった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性4

    商品戦略を見直し、広域販売と新商品開発を掲げ、最先端設備によるあん製造環境の整備を位置付けている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    和菓子市場は競争が激化し地方専門店のユニークさの追求が急務と分析しているが、自社の強みの定量的な裏付けは薄い。

  • 課題の認識と解決4

    後継者難や人件費高騰を課題と認識し、あん作りに約3時間かかり職人1人が張り付く重労働の状況を具体的に示している。

事業の実現可能性64%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    あんづくりを約3時間から2時間へ短縮し、水の使用量を最大50%削減と数値で目標と成果を示している。

  • 事業を進める体制3

    従業員18人と職人の技に触れているが、補助事業を遂行する事務処理や管理の体制についての記載は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    完全無添加の飲めるあんこ「餡MMu」を新商品とし、若い世代や新たな客層の取り込みを期待すると具体的に記している。

  • 事業化までの道筋3

    自社農園や体験場、カフェを本社に備える構想はあるが、スケジュールや課題の解決方法は示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    飲めるあんこという新感覚の商品を開発したと記載があるが、市場の普及度や高水準の高価格化を裏付ける情報は薄い。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    職人の技術継承のハードルが下がると述べるが、新たな雇用や川上川下への経済波及効果については記載が少ない。

  • 費用対効果3

    水使用量の最大50%削減と経費削減への貢献は示されるが、補助金投入額に対する付加価値増加の数値は記載がない。

  • イノベーションへの貢献2

    全自動製あんシステムの導入は示されるが、先端的なデジタル技術の活用や新ビジネスモデルへの言及は見られない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    和菓子の生産額減少や若者の和菓子離れに触れているが、成長分野への進出や構造転換との関係は明示されていない。

  • 地域経済への波及3

    佐賀のブランドいちごや地産地消へのこだわりが示され、地域の特性を活かした事業と読めるが、雇用創出の記載は乏しい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

安心安全な国産原料を使用し、おいしさを追求したまるいちの菓子を伝承していく。自社農園や体験場、カフェなどを本社に備え、みんなが集うランドマークのような存在にしていきたいと考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成30年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。