ものづくり補助金平成30年度製造業佐賀県

競争力強化に向け切断工程を刷新して短納期を実現

有限会社ワールドサービス

成果切断可能な鋼板の厚さ 4.5mm→6mm

この事例のポイント

  • 既存設備では薄物鋼板の切断精度が低く、バリの発生が常態化していて、バリ取りや研磨などの後処理に時間を取られていた。
  • 鳥栖工場に、コンピュータ制御のスイング式油圧シャー(シャーリング)を設置した。
  • 切断可能な鋼板の厚さ 4.5mm→6mm。新設備の導入で、スケールによる測定の手間がなくなり、加工精度が向上したことでバリ取りなど後処理が必要な製品の割合は数%…

事業者のプロフィール

事業者名有限会社ワールドサービス
所在地佐賀県 鳥栖市
業種輸送用機械器具製造業
技術分野精密加工
従業員数9人
資本金500万円
設立1993年

事業の背景

トラック全般の鈑金、整備、自動車架装、中古車販売を行っており、商圏は佐賀県や福岡県の筑後地方が中心で、大手トラックディーラーと運送会社が主な取引先である。車体後部の架装に専門的な技術を持ち、大型トラックの架装はすべてオーダーメイドで、大型トラックの架装ができる工場は商圏内で当社のみである。補助を申請した当時は排ガス規制の影響で運送会社のトラック買い替え需要が高まり、架装依頼が増加していた。運送会社はトラックの稼働日数が売上に直結するため、平均14日かかっていた納品を10日前後にしてほしいという要請が増えていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度既存設備では薄物鋼板の切断精度が低く、バリの発生が常態化していて、バリ取りや研磨などの後処理に時間を取られていた。
  • 生産能力高収益な架装分野を強化するには長尺物の加工を内製化する必要があったが、既存設備では精度が出しにくく時間もかかるため他社に外注していた。
  • 納期・工程架装の需要が高まって取引先から納品期間の短縮を求められたが、今以上の納期短縮が難しく、月に2〜5件ほどは依頼を断らざるを得なかった。

やったこと

鳥栖工場に、コンピュータ制御のスイング式油圧シャー(シャーリング)を設置した。製造プロセス内の薄物鋼板の切断工程に導入し、切断精度の向上と所要時間の大幅な短縮による納期面の強化を図った。既存機械では厚さ4.5mm以上の鋼板の切断は外注するしかなかったが、新設備では6mmまでの切断が可能になった。

加工機スイング式油圧シャー(シャーリング)

事業の効果

  • 切断可能な鋼板の厚さ 4.5mm→6mm

新設備の導入で、スケールによる測定の手間がなくなり、加工精度が向上したことでバリ取りなど後処理が必要な製品の割合は数%に低減した。作業時間が大幅に短縮され、品質の向上と納期の短縮につながった。6mmまでの鋼板切断が可能になったことで外注品の待ち時間が削減され、外注費も削減された。作業時間の短縮により残業時間が減って人件費の削減が実現し、その分を取引先への還元として販売価格を抑えることにつながった。さらに鉄板の切断作業などで発生していた手指のけがも減り、安全性が飛躍的に向上した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性3

    従来の切断工程の課題と架装分野の強化方針が書かれ、既存の事業活動との連続性はうかがえるが、経営戦略上の位置付けの明示は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    大型トラックの架装ができる工場は商圏内で自社のみ、短納期対応で信頼を得ていると具体的に書かれ、強みと外部環境が読み取れる。

  • 課題の認識と解決5

    取引先から納品期間を14日から10日前後に求められ、月2~5件の依頼を断っていたという課題が数字で示され、切断工程刷新で解決する計画が明確。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    バリ残存製品の割合を数%に低減、切断可能厚さを4.5mmから6mmへ、納期短縮を具体的に示しているが、付加価値や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員9人で多能工体制、資格取得やOFF-JTを進めるとあるが、補助事業を遂行する事務体制や人材配置の記述はわずかにとどまる。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    大型トラック架装の短納期対応と多能工による高精度加工が選ばれる理由として具体的に整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    設備導入後の効果や内製化の方向は書かれているが、スケジュールや中長期の課題検証の方法は記述がなく、遂行方法は読み取りにくい。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性40%
  • 新しさ・高付加価値2

    架装分野の高付加価値化や高収益化を目指す記述はあるが、ジャンルの普及度や高水準の価格設定に関する具体的な記述はない。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    排ガス規制による運送会社のトラック買い替え需要増加が背景にあると書かれるが、地域経済波及や雇用創出への言及は乏しい。

  • 費用対効果4

    外注費削減、残業時間減少、作業時間短縮、手指のけが減少など効果が具体的に示されており費用対効果の方向性は読み取れるが、投入額との比較はない。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    佐賀県・福岡県の筑後地方を商圏とし地域の運送会社と取引する点は書かれるが、地域成長を牽引する記述は具体性が薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

新しい機器は使い勝手がよく、コンピュータ制御なので操作を覚えれば熟練工でなくても高精度な加工ができる。今後は切断や曲げ、溶接、塗装などの基礎技術の向上にも取り組み、資格取得やジョブローテーション、OFF-JT(職場外や業務外で行う研修)を積極的に取り入れて熟練工の育成に注力し、競争力を高めて事業の存続を目指す。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成30年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。