ものづくり補助金平成30年度製造業佐賀県

麹製造の工程改善で生産能力と酒質、作業効率の向上に

東鶴酒造株式会社

成果製麹量(2日間あたり) 60kg→180kg

この事例のポイント

  • 麹を造る大掛かりな装置が昭和初期のもので、1回に造れる麹量が工程上のボトルネックになっていた。
  • 温度と湿度を保つ「麹製造恒温恒湿装置」を導入した。
  • 製麹量(2日間あたり) 60kg→180kg。麹製造の作業回数が週4回から2回に減り、製麹量は3倍に増えた。

事業者のプロフィール

事業者名東鶴酒造株式会社
所在地佐賀県 多久市
業種飲料・たばこ・飼料製造業
技術分野製造環境
従業員数2人
資本金1,000万円
設立1956年

事業の背景

江戸時代末期の1830年creation以来、多久市で酒造りを続ける家族経営の蔵元。純米酒「東鶴」などを主力とする。日本酒は嗜好性の高い清酒として認知が広がり、割烹料理店やフレンチレストランでも取り扱われるようになった。日本酒ブームは世界に広がり、シンガポールや台湾へ輸出しており、今後は東アジアを中心に流通を拡大して収益性を高めたいと考えている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力麹を造る大掛かりな装置が昭和初期のもので、1回に造れる麹量が工程上のボトルネックになっていた。
  • 品質・精度麹製造装置は温度・湿度のセンサー感度が弱く、装置自体の保温性と保湿性が劣化していたため、麹菌の培養が計画通りに進まなかった。
  • コスト・採算浸水被害を受けた1階の装置は気候変動による被災リスクがあり、2階に設置し直す必要があった。

やったこと

温度と湿度を保つ「麹製造恒温恒湿装置」を導入した。グラスウール素材を使い保湿性を高め、扉は防熱性の高いものとして、最適な室温と湿度に制御・維持管理できるようにした。麹を素早く乾燥させるため、扇風機に代えて「出麹温風装置」を導入した。新しい機械は水害リスクを下げるため2階に設置した。

その他麹製造恒温恒湿装置
その他出麹温風装置

事業の効果

  • 製麹量(2日間あたり) 60kg→180kg
  • 麹製造の作業回数(週あたり) 4回→2回
  • 年間製造可能数量(一升瓶換算) 20,000本→60,000本

麹製造の作業回数が週4回から2回に減り、製麹量は3倍に増えた。年間の製造可能数量も一升瓶換算で3倍になった。麹の保存性が良くなって作り置きも可能になり、安定して良質な酒を造れるようになった。作業効率が上がって働き方改革や人件費削減にもつながった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.5 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    昭和初期の装置更新の必要性と、東アジア輸出拡大に向けて生産能力を上げる経緯が書かれ、過去からの一貫性はうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    シンガポールや台湾への輸出や東アジア拡大への言及はあるが、自社の強みを競争優位として示す記述は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    麹製造量が1回の工程上のボトルネックだったと課題を示し、製麹量60kgから180kgへ3倍、年間2万本から6万本への増加を記載している。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    製麹量3倍、年間製造可能数量2万本から6万本と数値目標が示され、導入後の成果として記載されている。賃上げ目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員2人の家族経営であることは書かれるが、補助事業を遂行する体制の具体的な記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    麹の品質安定と良質な酒造りへの効果、輸出先への言及はあるが、顧客ターゲットやニーズの裏付けは限定的。

  • 事業化までの道筋2

    導入後の成果は書かれるが、遂行方法やスケジュール、中長期の課題解決の方法は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性40%
  • 新しさ・高付加価値2

    日本酒の嗜好性向上や東アジアでの需要拡大に触れるが、同分野での高付加価値化の水準は具体的に示されていない。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    地域資源として人口増加や観光振興に寄与したいとあるが、波及効果を数字で示す記述はない。

  • 費用対効果3

    製麹量3倍、製造可能数量3倍、作業時間の短縮など効果は数字で示されるが、補助金額に対する費用対効果は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    麹製造の機械化と2階設置による水害リスク低減は書かれるが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    多久市の地域資源として地域の人口増加や観光振興に寄与したいとあり、地域性は読み取れるが雇用創出の数字は示されていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

新しい機械を2階に設置したことで水害による被災リスクが低くなり、安定的な日本酒の提供が可能になった。今後は韓国をはじめ東アジアへの進出を進め、国際的な衛生管理基準HACCPの厳格化にも対応していく考えである。

  • 目標:麹菌を培養する時間は従来48時間かかっていた。

事業者の声

日本酒は、ゆっくりと味わいながら飲むものだと思っています。おしゃれなグラスに入れたりして、雰囲気も楽しんでほしいですね。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成30年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。