ものづくり補助金平成24年度岡山県

レトルト殺菌技術の活用による新商品開発への取り組み

鷹取醤油株式会社

この事例のポイント

  • 大手レトルト加工メーカーでは対応が困難な多品種小ロット生産で、レトルトPB商品を開発する必要があった。
  • 協力企業と連携してレトルト殺菌装置、食材充填装置等の仕様を決定し、製造場外での設置場所を検討して工場レイアウトを設計した。
  • 多段階昇温加熱方式によるレトルト商品の製造が可能になった。

事業者のプロフィール

事業者名鷹取醤油株式会社
所在地岡山県 備前市
業種食料品製造業
技術分野めっき
従業員数10人
資本金1,000万円
設立1951年

事業の背景

全国の飲食店や小売店などの取引先に、それぞれのオリジナル調味料約200種類をオーダーメイドの多品種小ロットで生産し、広く全国に顧客を獲得している。近年はPB(プライベートブランド)によるレトルト食品市場が大手スーパーマーケットやコンビニエンスストアの牽引により拡大しており、取引先から主力メニューのレトルトPB商品の開発依頼が増えている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術大手レトルト加工メーカーでは対応が困難な多品種小ロット生産で、レトルトPB商品を開発する必要があった。
  • 生産能力塩分濃度が低いと長期保存ができず、塩こうじは限られた量しか生産・出荷できなかった。
  • 新製品・新技術加熱処理により食感の低下、熱変性、レトルト臭、レトルト焼けなどの課題があり、味を保つ殺菌方法が必要だった。

やったこと

協力企業と連携してレトルト殺菌装置、食材充填装置等の仕様を決定し、製造場外での設置場所を検討して工場レイアウトを設計した。装置を導入して試験運転を行い、原料検査から前処理、調合、充填包装、加圧加熱処理、包装までの一連の工程をサンプル食材でテストし、低温域から高温域まで均一に加熱されるよう調整した。120度程度の高温域滞留時間を4〜6分間に抑え、多段階昇温加熱方式による味付け調理殺菌を研究して食感の老化と素材の過剰調理を防いだ。製造基準の120度・4分以上の条件を満たしつつ、他団体と連携して殺菌効果と生菌数を測定し、良好な結果を得た。塩分濃度5%の塩こうじでレトルトPB塩こうじを試作し、褐変や色・香りの変化を防ぐために試行錯誤を繰り返して保存料無添加の製品を完成させた。取引先に試作品を提供してフィードバックを受け、改良を加えた。

  • 加工機レトルト殺菌装置食材充填装置

新しい製品・サービス:保存料無添加のレトルトPB塩こうじ、および多段階昇温加熱方式によるレトルトPB調味料商品

事業の効果

多段階昇温加熱方式によるレトルト商品の製造が可能になった。取引先が提案したレトルトPB商品が採用され、試作を終えて生産・出荷を開始している。今後は製造ノウハウを蓄積して開発期間を短縮し、大手が対応しにくい通常の5分の1から10分の1の多品種小ロット生産に積極的に対応して売上拡大に取り組む。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均2.8 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    顧客とニーズの裏付け保存料無添加で本来の味を再現するレトルトPB塩こうじを開発し、取引先の要望を反映して改良したと具体的に書かれ、顧客ニーズへの対応が読み取れる。
  • 4
    新しさ・高付加価値レトルトPB市場の拡大は示されるが、保存料無添加・塩分5%の塩こうじで高付加価値化を図る点が具体的に述べられている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標通常の5分の1から10分の1の多品種小ロット生産という表現はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。
経営戦略との整合性3.0
  • これまでの取組との一貫性3

    オーダーメイド多品種小ロット生産と発酵・醸造技術の蓄積が記載され、レトルトPB開発への延長は読み取れるが、経営戦略上の明確な位置づけは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    PB市場拡大や取引先からの開発依頼増加が記述され、大手が対応困難な多品種小ロットに強みがあるとうかがえるが、競争優位の定量的根拠は薄い。

  • 課題の認識と解決3

    高温長時間殺菌による食感低下などの課題と、多段階昇温加熱方式による解決策が示されており、課題認識は具体的だが付加価値・成長の数値目標は乏しい。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標2

    通常の5分の1から10分の1の多品種小ロット生産という表現はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    協力企業や他団体と連携して装置導入・試験運転・殺菌効果測定を行ったと記載され、体制はうかがえるが、人材や事務体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    保存料無添加で本来の味を再現するレトルトPB塩こうじを開発し、取引先の要望を反映して改良したと具体的に書かれ、顧客ニーズへの対応が読み取れる。

  • 事業化までの道筋3

    試作、サンプル提供、フィードバック改良、採用後の生産開始という段階が示されているが、中長期の検証計画やスケジュールは明示されていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    レトルトPB市場の拡大は示されるが、保存料無添加・塩分5%の塩こうじで高付加価値化を図る点が具体的に述べられている。

公的補助の必要性2.0
  • 波及効果・雇用2

    PB市場の拡大と取引先の依頼増加に触れるが、経済波及や雇用創出など国が補助する積極的理由は記載されていない。

  • 費用対効果2

    開発期間短縮や小ロット対応による売上拡大の方向性は示されるが、補助金額に対する付加価値増加の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献ー

    公開情報では判断できません。

政策面2.5
  • 成長分野への進出2

    レトルト食品市場の成長に乗って新商品を展開する点はうかがえるが、日本経済の構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及3

    岡山県備前市の醸造・発酵技術を活かした商品開発と記載され地域特性は読み取れるが、地域経済への波及効果は具体的に書かれていない。

今後の展望

レトルトPB商品の提案・開発を進め、多品種小ロット生産に積極対応して売上拡大に取り組んでいく。

  • 目標:塩分濃度 10.6%→5%
  • 目標:今後、製造ノウハウの蓄積により開発期間を短縮する

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。