ものづくり補助金平成24年度広島県

より微細な欠陥の検出と過剰判定の抑制を可能にする複数波長レーザーの多次元データ処理による傷検査装置の試作開発

シグマ株式会社

成果ビーム径をφ60μmまで最小化

この事例のポイント

  • 従来の赤色単波長レーザー検査装置では、傷と洗浄痕等の選別が困難である。
  • 事前の共同研究により、複数波長レーザーを使うと欠陥と洗浄痕等で反射光の変化量に差があるとの見通しを得た。
  • ビーム径をφ60μmまで最小化。紫外線レーザーにより鋳巣と洗浄痕を判別する新傷検査装置を開発し、微細な欠陥検出と過剰判定抑制を同時に満たした。

事業者のプロフィール

事業者名シグマ株式会社
所在地広島県 呉市
業種はん用機械器具
技術分野組込みソフトウェア
従業員数200人
資本金4,500万円
設立1937年

事業の背景

当社はレーザー光を利用した非破壊・非接触の検査の自動化・データ管理を強みとし、円筒形状内外壁検査用レーザー傷検査装置を独自開発・製造・販売してきた。レーザーを活用した内壁傷検査装置の生産は、補助事業実施時点では当社のみで、2014年に1社が参入した。顧客からは高精度な検査装置へのニーズがあった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度従来の赤色単波長レーザー検査装置では、傷と洗浄痕等の選別が困難である。
  • 品質・精度微細な欠陥の検出と過剰判定の抑制はトレードオフの関係にある。

やったこと

事前の共同研究により、複数波長レーザーを使うと欠陥と洗浄痕等で反射光の変化量に差があるとの見通しを得た。光の波長による散乱光量の変化をシミュレーションし、鋳巣と洗浄痕の分離実験で検証して最適なレーザー波長を選定した。3波長レーザーでは判別に課題があったため、紫外レーザー光による散乱(鋳巣)と蛍光(洗浄痕)を用いる検査方法を導出した。実用的な焦点深度(±5mm)を確保できるようビーム径を最小化(φ60μm)し、プローブ上部の限られた空間に収まるコンパクトな光学系を設計した。スピンドルは立上げと回転安定性に優位なサーボモーターで設計・試作し、筐体・コントローラーも設計・試作した。実際のエンジン部品を使ってデータ取得と分析を行い、鋳巣と洗浄痕の分離検出に必要な検査アルゴリズムを検証した。

  • 検査測定複数波長レーザー照射機構・反射光受光・波長分離光学系
  • 加工機スピンドルサーボモーター
  • その他装置筐体・コントローラー

新しい製品・サービス:紫外線レーザーにより鋳巣と洗浄痕を判別する新傷検査装置「穴ライザーIV(ANALYZER IV)」(2015年6月発売、周辺装置も含めた価格は約1,000万円)

事業の効果

  • ビーム径をφ60μmまで最小化
  • 実用的に十分な焦点深度(±5mm)を確保

紫外線レーザーにより鋳巣と洗浄痕を判別する新傷検査装置を開発し、微細な欠陥検出と過剰判定抑制を同時に満たした。焦点深度±5mm、ビーム径φ60μmを確保し、疑似鋳巣と周辺の洗浄痕を明確に分離できることを確認した。今後は国内市場に加え、自動車関連の海外工場や他業種からの受注を見込み、次期モデル「穴ライザーV」の開発を進める。年間100台程度の販売を目指す。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.2 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    これまでの取組との一貫性1947年の指定工場指定、1982年の品質認定取得、円筒形状内外壁検査装置の独自開発・製造・販売実績があり、本取組はその延長線上の次期モデル開発として位置付けられている。
  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性レーザー内壁傷検査装置の生産は2社のみと具体的に示され、自動車関連の海外工場や他業種からの受注を見込むなど、強みを市場機会に結び付けている。
  • 4
    課題の認識と解決微細な欠陥検出と過剰判定抑制はトレードオフという課題を明示し、複数波長レーザーで解決する方針と、年間100台程度の販売目標を示している。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標年間100台程度の販売目標はあるが、付加価値額の目標や賃上げ目標の数値は書かれておらず、実現可能性を判断する材料が乏しい。
経営戦略との整合性4.0
  • これまでの取組との一貫性4

    1947年の指定工場指定、1982年の品質認定取得、円筒形状内外壁検査装置の独自開発・製造・販売実績があり、本取組はその延長線上の次期モデル開発として位置付けられている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    レーザー内壁傷検査装置の生産は2社のみと具体的に示され、自動車関連の海外工場や他業種からの受注を見込むなど、強みを市場機会に結び付けている。

  • 課題の認識と解決4

    微細な欠陥検出と過剰判定抑制はトレードオフという課題を明示し、複数波長レーザーで解決する方針と、年間100台程度の販売目標を示している。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標2

    年間100台程度の販売目標はあるが、付加価値額の目標や賃上げ目標の数値は書かれておらず、実現可能性を判断する材料が乏しい。

  • 事業を進める体制4

    産業技術総合研究所、阿波スピンドル株式会社、日本システムデザイン株式会社との協力体制を明記し、従業員200人の企業であることも示されている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    顧客の高精度な検査装置へのニーズ、自動車関連の受注先、製品価格約1,000万円など、製品の価値と顧客ターゲットが具体的に整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    光学系設計、スピンドル設計・試作、筐体設計、実機データ取得など工程は示されているが、各工程の期間や次期モデルの投入時期は記載がなく、スケジュールは読み取りにくい。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    複数波長レーザーによる傷と洗浄痕の分離は従来の単波長検査装置にない方式で、周辺装置込みで約1,000万円の高単価製品として位置付けられている。

公的補助の必要性3.0
  • 波及効果・雇用2

    潜在市場を含めた大きな市場拡大が期待されると記載があるが、川上・川下への波及効果や雇用創出など国が補助する積極的理由は具体的に書かれていない。

  • 費用対効果ー

    公開情報では判断できません。

  • イノベーションへの貢献4

    複数波長レーザーと紫外線による散乱・蛍光の検出、サーボモーターの採用、データ管理を含む自動化など、先端的な技術による検査の高度化が具体的に示されている。

政策面2.0
  • 成長分野への進出2

    潜在市場の拡大という市場成長への言及はあるが、日本経済の構造転換に資する内容としての記述は乏しく、政策面の位置付けは弱い。

  • 地域経済への波及2

    本社所在地は広島県呉市と示されているが、地域の特性を活かして雇用や地域経済を牽引するという記述は事例中に見当たらない。

今後の展望

国内市場のほか、自動車関連の海外工場、さらに他業種からの受注を見込む。傷検査と同時に内径や表面の加工具合も測定できる次期モデル「穴ライザーV」を開発中で、既存主力機「穴ライザーIV」、新開発の「穴ライザーIIIV」、次期モデルの投入で年間100台程度の販売を目指す。

  • 目標:新モデルの投入で年間100台程度の販売を目指す

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。