ものづくり補助金平成24年度東京都

ミクロから天体まで観測を可能にする光学機器の専門メーカー

株式会社ルケオ

この事例のポイント

  • 波長板は天体望遠鏡や光学顕微鏡に搭載するため高い面精度が求められるが、3層または5層を一分の狂いもなく重ねて貼り合わせることが非常に難しかった。
  • 京都大学と国立天文台の研究者からの要請を受け、天体観測に必要な超広帯域波長板を試作開発した。
  • 1枚の波長板で超広帯域の波長をすべて同一位相差に変えられるようになり、太陽フレアなどの瞬間的な現象も1枚で観測できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社ルケオ
所在地東京都 東京都板橋区
業種業務用機械器具
技術分野組込みソフトウェア
従業員数30人
資本金4,000万円
設立1966年

事業の背景

昭和41年に設立した当社は、カメラ用偏光板の製造・販売からスタートし、顕微鏡用偏光板や食品機器用光学センサーユニットの開発を経て、昭和57年に自社ブランドの円偏光板を発売した。現在は偏光板が主力のラインアップで、カメラや顕微鏡の国内外大手メーカー、企業の研究機関や大学に納めている。現在、海外メーカーへの売上は売上高の3割程度にまで増えている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度波長板は天体望遠鏡や光学顕微鏡に搭載するため高い面精度が求められるが、3層または5層を一分の狂いもなく重ねて貼り合わせることが非常に難しかった。
  • 新製品・新技術新技術のため専用の測定器も自社で開発する必要があった。

やったこと

京都大学と国立天文台の研究者からの要請を受け、天体観測に必要な超広帯域波長板を試作開発した。従来は波長帯ごとにフィルターが必要で設定が煩瑣だったが、光学設計に基づき複数の波長フィルムを重ね、1枚の波長板で超広帯域の波長をすべて同一位相差に変えられるようにした。ガラス板とガラス板の間に樹脂フィルムを挟んで接着する構造とし、3層または5層を重ねて貼り合わせた。標準品は1/2波長板(1/2λ)と1/4波長板(1/4λ)で、その他の位相差は特注品として製作可能とした。フィルターを通った光のずれを測定するため、遅延量測定器を京都大学の研究者の技術支援を受けながら独自に完成させた。

検査測定遅延量測定器

新しい製品・サービス:超広帯域波長板SB-RETAX

事業の効果

1枚の波長板で超広帯域の波長をすべて同一位相差に変えられるようになり、太陽フレアなどの瞬間的な現象も1枚で観測できるようになった。天体観測という新しい分野へ進出できたことに加え、世界でもほとんど類比できる商品がないオンリーワンの技術を獲得した。この波長板を搭載した歪測定器は海外進出への自信につながり、欧米の光学関連の展示会では好感触を得ている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    光学ひとすじの技術積み上げと、偏光板から波長板・歪検査器への事業展開が書かれ、過去の取組との一貫性は読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    自社の偏光板技術を核に、京都大学・国立天文台の要請を受け天体観測分野へ進出し、世界でほぼ類比製品がないと述べている。

  • 課題の認識と解決3

    従来は波長帯ごとのフィルターが必要で設定が煩瑣だった課題を、1枚で超広帯域に対応させて解決した点が書かれている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    海外売上が売上高の3割程度とあるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    測定器を京都大学の研究者の技術支援を受けて独自に完成させたとあり、体制の一端はうかがえるが人材や事務体制は具体的でない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    天体望遠鏡や光学顕微鏡向けに高い面精度が求められる点、アメリカ大気研究センターから実用に耐えるとの評価を得た点が書かれている。

  • 事業化までの道筋2

    今後の展望は海外展開として述べられているが、遂行方法やスケジュール、課題解決方法の詳細は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性100%
  • 新しさ・高付加価値5

    超広帯域波長板は世界を見渡してもほとんど類比できる商品がないオンリーワンの技術と明記され、新市場性が高い。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用3

    天体観測や太陽フレアの観測など学術・社会インフラへの貢献がうかがえるが、雇用や波及効果の数字は示されていない。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献2

    光学設計に基づき複数の波長フィルムを重ねる技術は書かれるが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は述べられていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    天体観測分野への進出や海外進出が書かれ、成長分野への進出はうかがえるが、日本経済の構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及2

    板橋で光学ひとすじに技術を積み上げてきたと述べられるが、地域の雇用や経済成長への言及は具体的でない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

天体観測分野への進出が可能になり、アメリカ大気研究センターから実用に耐えるとの回答を受けている。欧米の光学関連展示会での好感触を背景に、海外進出をさらに進める方針である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。