ものづくり補助金平成24年度山口県

高品質厚付無電解ニッケルめっき装置の開発

下関鍍金株式会社

成果ザラの発生数(めっき厚25μm) 25個→5個

この事例のポイント

  • 厚膜の無電解ニッケルめっきでは、めっき浴中に被めっき物からの離脱片や分解生成物、水酸化物などが蓄積し、めっき面に付着してザラが発生し不良品になっていた。
  • めっき浴中に発生するザラを分析し、要因を調べた。
  • ザラの発生数(めっき厚25μm) 25個→5個。ザラの発生数と大きさが改善され、改良槽では発生数が5〜10個、大きさが20〜50μmまで減った。

事業者のプロフィール

事業者名下関鍍金株式会社
所在地山口県 下関市
業種金属製品製造業
技術分野めっき
従業員数69人
資本金5,000万円
設立1954年

事業の背景

当社は昭和29年創業のめっき専門メーカーで、電気めっきのほか湿式研磨、陽極酸化、無電解めっきなど多様な製造を行い、顧客ニーズに合わせた小回りの効く高度な技術を強みとしている。厚付け無電解ニッケルめっきはポンプ、攪拌機、エアーブロアーなどの精密機械分野で使われ、市場規模は年250億円と推計される。当社は薄付け用無電解ニッケルめっき槽を3機保有していた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度厚膜の無電解ニッケルめっきでは、めっき浴中に被めっき物からの離脱片や分解生成物、水酸化物などが蓄積し、めっき面に付着してザラが発生し不良品になっていた。

やったこと

めっき浴中に発生するザラを分析し、要因を調べた。その結果、被めっき物から離脱して付着したものが主因と推測され、大型鋳物への処理で素材の表面脱離片や穴部から溶出した鋳物材料が付着すること、搬送クレーンからの金属片や錆が落下して付着することも考えられた。対策として、めっき槽にオーバーフローを設置し、処理温度90℃に対応できる無電解ニッケルめっき専用濾過器を用いる設計とし、製作は外部の専門メーカーに委託した。設置後はめっき槽全体を攪拌するエアー管を取り付けて液循環の悪い部分を改善し、ザラの発生数と大きさを抑えた。

  • その他オーバーフロー付きめっき槽無電解ニッケルめっき専用濾過器高温対応めっき槽全体を攪拌するエアー管

新しい製品・サービス:厚付け無電解ニッケルめっき装置(異物等を除去するろ過循環システム)

事業の効果

  • ザラの発生数(めっき厚25μm) 25個→5個

ザラの発生数と大きさが改善され、改良槽では発生数が5〜10個、大きさが20〜50μmまで減った。目標の5個にはなお若干届いていない。現在の新設槽は多品種の施工に使われており、ザラを基準値以下にするには厚付け専用槽として使う必要がある。薄付け製品の受注は拡大し、当初の売上目標は達成できた。厚付け製品はまだ受注に至っていない。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.1 / 514観点のうち12観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    課題の認識と解決ザラの発生原因を分析し、浴中の循環不良の改良や厚付け専用槽化などの具体策を示している。課題認識と対策は具体的である。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け厚付け製品の用途としてポンプ・自動車ピストン・医療モーター部品などが具体的に挙げられ、顧客ニーズへの対応が示されている。
  • 4
    新しさ・高付加価値厚膜無電解ニッケルめっきの品質向上により、精密機械分野で高品質品を扱う方向が示され、高付加価値化を狙う内容である。

伸びしろがあった観点

  • 2
    波及効果・雇用自動車・航空機・医療など複数分野への波及が示唆されるが、国が補助する積極的理由は読み取れない。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    無電解ニッケルめっきを主力とする既存の多様な製造技術の延長として、厚付けめっき強化が位置付けられている。経営戦略上の明確な位置付けは記述が薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    薄付け製品の受注拡大や、市場規模250億円/年、ポンプ・提振機等の精密機械分野が示されている。自社の強みとの関係は一般的な記述にとどまる。

  • 課題の認識と解決4

    ザラの発生原因を分析し、浴中の循環不良の改良や厚付け専用槽化などの具体策を示している。課題認識と対策は具体的である。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標3

    ザラ発生数の目標(5個)と現状の比較は示されているが、付加価値額や賃上げの目標値は記載がない。

  • 事業を進める体制3

    設計は自社、製作は専門業者へ委託したと記載があり、体制の一部は読み取れる。人材や事務処理能力の詳細は書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    厚付け製品の用途としてポンプ・自動車ピストン・医療モーター部品などが具体的に挙げられ、顧客ニーズへの対応が示されている。

  • 事業化までの道筋3

    ろ過能力向上、ろ過回数増加、専用槽化など今後の改善方針は示されているが、スケジュールは記載されていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    厚膜無電解ニッケルめっきの品質向上により、精密機械分野で高品質品を扱う方向が示され、高付加価値化を狙う内容である。

公的補助の必要性2.0
  • 波及効果・雇用2

    自動車・航空機・医療など複数分野への波及が示唆されるが、国が補助する積極的理由は読み取れない。

  • 費用対効果2

    ザラ不良削減による品質向上は述べられているが、補助金投入額に対する費用対効果の数値は記載されていない。

  • イノベーションへの貢献ー

    公開情報では判断できません。

政策面3.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及3

    山口県下関市の地域企業としての事業が示されているが、地域の雇用や経済成長への波及は具体的に書かれていない。

今後の展望

ザラの少ない厚付け無電解ニッケルめっきを、ポンプ、攪拌機、エアーブロアーなどの精密機械部品分野で展開し、新規顧客の開拓と既存取引先の売上拡大を目指す。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。