ものづくり補助金平成24年度山口県

鉄道車両用精密ボルト工程集約加工ライン(NC旋盤,自動穴明け機)の導入

兵庫ボルト株式会社

成果加工時間 346分→257分

この事例のポイント

  • 工程上のボトルネックとなっている旋盤による加工工程と、ボルト脱落防止用の穴加工工程が生産効率を制限していた。
  • 生産ラインは素材切断、熱間鍛造、鍛造バリ除去、軸部加工、全長決め加工、センター穴除去加工、脱落防止用穴加工、ネジ転造加工の8工程からなる。
  • 加工時間 346分→257分。380個/ロットの製作で従来工法に比べ加工時間が25%短縮し、工程数も16から10へ減った。

事業者のプロフィール

事業者名兵庫ボルト株式会社
所在地山口県 下松市
業種金属製品製造業
技術分野切削加工
従業員数31人
資本金2,000万円
設立1944年

事業の背景

大正7年に神戸市で鉄道車両用ボルト・ナット類の製造業として創業した。昭和60年の国鉄分割民営化で鉄道車両部品の受注が激減し、経営が悪化したため、神戸工場を閉じ本社工場(山口県下松市)に生産を集約した。新幹線300系への精密ボルト採用を契機に業績が回復し、現在は新幹線の床下機器取り付けに同社のボルトが使われている。一方で大手や海外メーカーの参入が進み、品質を保ちつつ短納期を実現する必要が高まっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力工程上のボトルネックとなっている旋盤による加工工程と、ボルト脱落防止用の穴加工工程が生産効率を制限していた。
  • 納期・工程ボルト1本からの多品種少量生産で非効率になりやすく、短納期の要請に応えるには製造工程の効率化が欠かせなかった。
  • 人手・技能若返りが進んで従業員の経験年数が短くなっており、標準化された精度の高い製品を安定して作るための体制づくりが必要だった。

やったこと

生産ラインは素材切断、熱間鍛造、鍛造バリ除去、軸部加工、全長決め加工、センター穴除去加工、脱落防止用穴加工、ネジ転造加工の8工程からなる。このうち全長決め加工までの旋盤加工工程をNC旋盤2台に集約し、脱落防止用穴加工を自動穴あけ機1台に置き換えた。導入に先立ち工程分析と作業者の動きの時間分析を行い、機械レイアウトを変更した。その結果、自動機3台を二人作業で行える見通しを得た。導入後は工作機械メーカーの講師による実機トレーニングを行い、NCデータを作成して従来工法との加工時間短縮効果を検証した。

事業の効果

  • 加工時間 346分→257分
  • 工程数 16工程→10工程

380個/ロットの製作で従来工法に比べ加工時間が25%短縮し、工程数も16から10へ減った。これにより短納期の生産要請にも柔軟に対応できるようになった。製造コストは25%低減した。これまで熟練技能者でなければ対応できなかった工程を若手技能者でもこなせるようになり、人員配置の効率化につながった。多工程持ち作業と多台持ち作業を二人で行えるようになり、高品質・低コスト・短納期による製品の高付加価値化が実現した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.5 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 5
    付加価値・賃上げの目標加工時間5時間46分から4時間17分へ25%短縮、製造コスト25%低減、工程数16から10への減少という数値目標と結果が示されている。
  • 5
    費用対効果投資に対し加工時間25%短縮、製造コスト25%低減、人員配置の効率化という費用対効果の数値が示されている。
  • 4
    これまでの取組との一貫性創業以来の鉄道車両用ボルト製造と新幹線向け採用の実績を挙げ、過去の取組との一貫性が読み取れる。

伸びしろがあった観点

  • 2
    波及効果・雇用新幹線の安全を支える部品という記述はあるが、波及効果や雇用創出など国が補助する理由は示されていない。
経営戦略との整合性4.0
  • これまでの取組との一貫性4

    創業以来の鉄道車両用ボルト製造と新幹線向け採用の実績を挙げ、過去の取組との一貫性が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    大手や海外メーカーの参入に対抗するため、高品質と短納期の強みを維持する必要性が具体的に述べられている。

  • 課題の認識と解決4

    ボトルネック工程への自動機導入を課題として特定し、高付加価値化と短納期につながる計画が示されている。

事業の実現可能性3.8
  • 付加価値・賃上げの目標5

    加工時間5時間46分から4時間17分へ25%短縮、製造コスト25%低減、工程数16から10への減少という数値目標と結果が示されている。

  • 事業を進める体制4

    工作機械メーカーの講師によるトレーニングや工程分析を行い、若手技能者でも対応できる体制を整えたと書かれている。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    1~50個/ロットの多品種少量生産とボルト1本からの対応が強みとして示されるが、顧客ターゲットの裏付けは薄い。

  • 事業化までの道筋4

    工程分析、レイアウト変更、効果検証の順序が示され、導入後の運用と検証方法が具体的に書かれている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    鉄道車両用精密ボルトは普及分野ではないと読めるが、高水準の高付加価値化を示す記述は限定的である。

公的補助の必要性3.0
  • 波及効果・雇用2

    新幹線の安全を支える部品という記述はあるが、波及効果や雇用創出など国が補助する理由は示されていない。

  • 費用対効果5

    投資に対し加工時間25%短縮、製造コスト25%低減、人員配置の効率化という費用対効果の数値が示されている。

  • イノベーションへの貢献2

    自動機導入による効率化はあるが、先端デジタル技術や新ビジネスモデルへの言及は見られない。

政策面3.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及3

    山口県下松市の本社工場で事業を行う地域企業と読めるが、地域特性を活かした雇用創出などの記述は薄い。

今後の展望

今後も熟練職人の技能を生かしつつ、できるだけ機械化を進める。最新鋭の設備を使いこなす現代の職人の育成に力を注ぎ、現場の一人ひとりが自分で問題を見つけてムダをなくし生産性を向上させ続ける人材を育てる。品質第一の思いを込め、さらなる製品の高付加価値化と納期厳守に努める。

業種と困りごとが近い成果事例

岡山県平成24年度

多品種小ロット、短納期の生産体制を実現

生産工程を改善するため、高性能の研磨設備を2台導入し、消耗品・部品を共通化するとともに、1台に不具合が生じても生産に影響が出ないようにした。

効果:塗装の乾燥時間 2日→0.67日

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。