ものづくり補助金平成24年度愛媛県

難削材を精密加工製品に適用するための新規研削加工技術の開発

株式会社フラスコ

成果工具1本あたりの加工枚数 1枚→1,000枚

この事例のポイント

  • 航空機など新たな産業分野の高度な品質要求をクリアするため、タングステンやモリブデンなどの難削材を精密加工製品に適用する新規加工技術が必要だった。
  • まず、設置から30年以上経過した従来型の研削装置に代えて、最新型の精密研削盤を導入した。
  • 工具1本あたりの加工枚数 1枚→1,000枚。研削加工の応用により加工ビビリが低減し、表面粗さの加工精度が大幅に向上した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社フラスコ
所在地愛媛県 愛媛県西条市
業種精密機械器具製造業
技術分野切削加工
従業員数25人
資本金1,000万円
設立1982年

事業の背景

同社は昭和48年創業の精密機械部品メーカーで、難削材加工を得意とし、JIS規格外を含む約200種の素材を扱ってきた。現在は半導体製造装置・真空関連機器の部品などを主力とし、1個からの試作品を短納期で提供している。国内では微細加工・超精密加工の試作品ニーズが依然として高く、製品ライフサイクルの短縮や海外勢との競争により、試作品市場の需要はあらゆる分野で高まっている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度航空機など新たな産業分野の高度な品質要求をクリアするため、タングステンやモリブデンなどの難削材を精密加工製品に適用する新規加工技術が必要だった。
  • 納期・工程製品ライフサイクルの短縮により試作用部品の短納期要請が強まる一方、難削材の精密加工は職人の経験や技術に頼るところが多く製作期間が長かった。
  • コスト・採算難削材は加工の難しさから仕損による材料ロスが大きく、加工技術の高度化によるコスト圧縮が課題だった。

やったこと

まず、設置から30年以上経過した従来型の研削装置に代えて、最新型の精密研削盤を導入した。装置の選定と導入計画は、社長や製造課長、研削オペレーターなど複数人のチーム体制で策定した。タングステンとモリブデンを対象に、切削と研削それぞれの加工方法による表面粗さを、①中心線平均粗さ、②最大5点の山谷の平均の和の2項目で比較し、研削加工の方が加工表面の品質に優ることを確認した。次に、普通砥石とCBN砥石を比べ、切削時間と表面粗さの2種類のデータを取得して評価したところ、砥石の違いによる研削効果への影響は認められなかった。さらに、研削液に加え研削台周辺の温度を一定に保つチラーユニットを導入し、稼働状況や環境温度の影響を受けない安定した加工を可能にした。

事業の効果

  • 工具1本あたりの加工枚数 1枚→1,000枚
  • 加工時間 1従来比→0.5従来比
  • 総加工コスト 100%→50%

研削加工の応用により加工ビビリが低減し、表面粗さの加工精度が大幅に向上した。加工工程での材料欠けなどの仕損率が大幅に低下し、作り直しのリスクと加工作業の信頼性が高まった。砥石の使用寿命が延びたことで工具費と原材料費が改善し、総加工コストは目標を上回る削減を達成した。加工効率の改善により作り直しによる時間ロスや製作時間が短縮され、短納期対応力の強化につながった。

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均3.4 / 5

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性200種超の素材加工実績と、タングステン・モリブデンなど上難削材で他社が断る加工を受けられる技術力が、市場ニーズと結びつく強みとして書かれている。
  • 4
    課題の認識と解決切削は超硬工具1本あたり1枚が限界だったが研削では砥石1個で約1,000枚加工でき、加工時間も1/2程度に短縮するなど、課題に対する効果が数字で示されている。
  • 4
    付加価値・賃上げの目標加工時間を1/2程度に短縮し総加工コストを1/2以上削減した、と目標を上回る結果が示されており、実現性の根拠が具体的である。

伸びしろがあった観点

  • 2
    地域経済への波及愛媛県西条市の地域企業として技術を磨いている記載はあるが、地域の経済成長や雇用創出を牽引する具体的な記述は薄い。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の難削材加工の蓄積や、研削装置の更新と研削加工への展開が既存の事業の延長線上にあり、一貫性が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    200種超の素材加工実績と、タングステン・モリブデンなど上難削材で他社が断る加工を受けられる技術力が、市場ニーズと結びつく強みとして書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    切削は超硬工具1本あたり1枚が限界だったが研削では砥石1個で約1,000枚加工でき、加工時間も1/2程度に短縮するなど、課題に対する効果が数字で示されている。

事業の実現可能性3.6
  • 付加価値・賃上げの目標4

    加工時間を1/2程度に短縮し総加工コストを1/2以上削減した、と目標を上回る結果が示されており、実現性の根拠が具体的である。

  • 事業を進める体制4

    装置選定を社長や製造課長、現場オペレーターによるチーム体制で実施し、展示会参加などで社員の能力開発も行っている点が書かれている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    試作品市場で製品ライフサイクル短縮に伴う短納期ニーズが高まっており、顧客と現場の双方が求める機能を満たす導入計画とした点が明確である。

  • 事業化までの道筋3

    今後の活動として平面研削盤導入に続きワイヤー放電加工機の充実や自動化推進を掲げ、無人運転化の障壁も認識した上で段階的な方針が示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    タングステン・モリブデンなど上難削材の精密加工で他社にない高度な技術を持ち、航空機など新分野向けの加工を目指す点が高付加価値性を示す。

公的補助の必要性3.3
  • 波及効果・雇用3

    航空宇宙や燃料電池など新たな産業分野で難削材ニーズが拡大しており、産業全体の発展に寄与する加工技術の確立という国が補助する理由が読み取れる。

  • 費用対効果4

    投資により仕損率低下、加工コスト大幅削減、総加工コスト1/2以上削減など、補助投入に対する費用対効果の高さが数字で示されている。

  • イノベーションへの貢献3

    高度なIT化による自動化推進や難削材加工技術の追求が掲げられ、加工技術の高度化が業界全体に広がる可能性はあるが、明確な波及の記述は限定的である。

政策面2.5
  • 成長分野への進出3

    航空宇宙、ハイブリッド自動車、燃料電池などの成長分野への難削材加工の展開が示されており、製造業の高度化に資する方向性が読み取れる。

  • 地域経済への波及2

    愛媛県西条市の地域企業として技術を磨いている記載はあるが、地域の経済成長や雇用創出を牽引する具体的な記述は薄い。

今後の展望

今後は最新鋭のワイヤー放電加工機などの設備群をさらに充実させ、薄物を高精度でカットするなど付加価値向上と顧客ニーズへの対応を追求する方針である。また、高度なIT化による自動化を推進して製作時間短縮とコストダウンにつなげ、航空宇宙や自動車、燃料電池などで高まる難削材の素材ニーズに応えるため加工技術の追求を続ける予定である。

業種と困りごとが近い成果事例

岡山県平成24年度

多品種小ロット、短納期の生産体制を実現

生産工程を改善するため、高性能の研磨設備を2台導入し、消耗品・部品を共通化するとともに、1台に不具合が生じても生産に影響が出ないようにした。

効果:塗装の乾燥時間 2日→0.67日

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。