ものづくり補助金平成24年度愛媛県

多品種鋳物製品における品質向上・安定化と新分野進出へ向けた品質管理体制の強化

愛媛銑鉄鋳物工業団地協同組合

この事例のポイント

  • 従来の試験・検査は人の手や判断による作業が多く時間がかかり、感覚による誤差も生じ、コストと品質の課題となっていた。
  • 組合共同事業である試験・分析事業で、発光分光分析用の発光分析装置を新たに導入した。
  • 数値による判定が可能になったことで、作業者ごとの感覚差や疲労による誤差がなくなり、試験の品質が向上した。

事業者のプロフィール

事業者名愛媛銑鉄鋳物工業団地協同組合
所在地愛媛県 西条市
業種鉄鋼業
技術分野切削加工
従業員数310人
資本金7,594万円
設立1972年

事業の背景

同組合は1972年設立の鋳物工業団地で、農業機械部品、建設機械部品、一般産業機械部品、自動車部品などの鉄系鋳物を製造している。顧客は機械メーカーが多く、海外シフトによる国内需要の減少が近年大きな問題となっている。海外勢との競争は価格から品質へ移りつつあり、品質管理の一層の高度化が求められていた。業界全体では高齢化と人手不足が課題となっている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度従来の試験・検査は人の手や判断による作業が多く時間がかかり、感覚による誤差も生じ、コストと品質の課題となっていた。
  • 品質・精度顧客の高度な品質要求に応えるには、試験・検査設備を高度化して品質管理体制を強化する必要があった。
  • 新製品・新技術軽量化の要望に応えるため微量元素を添加した特殊材質への対応力を高める必要があり、それが営業面の課題となっていた。

やったこと

組合共同事業である試験・分析事業で、発光分光分析用の発光分析装置を新たに導入した。金属試料は溶湯から採取し、グラインダー等で下処理をしてから分析する。従来型の油圧式万能試験機は設置から40年が経過していたため、IT化された新型の油圧式万能試験機に更新した。金属組織の観察には、従来のポラロイド撮影と手作業による判定に代えて、新型の倒立型金属顕微鏡を導入し、連動するソフトで球状化率を自動判定できるようにした。

  • 検査測定発光分析機 PDA-7020万能試験機 VH-F300KNXh倒立型金属顕微鏡 MA-100
  • ソフト倒立型顕微鏡連動の球状化率判定ソフト

事業の効果

数値による判定が可能になったことで、作業者ごとの感覚差や疲労による誤差がなくなり、試験の品質が向上した。試験結果の出力が自動化されたことで、取引先への情報提供が早く正確になった。倒立型顕微鏡の導入により球状化率が自動で判定され、試料製作の作業が大幅に省力化された。新型の油圧式万能試験機は従来型に比べ消費電力と作動油量が大幅に減り、省エネルギーと環境対応性が向上した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性国内自動車メーカー向け重要保安部品など高品質製品の実績と、海外勢との競争が価格から品質へ移る中での品質管理強化が示されている。
  • 4
    課題の認識と解決人手と感覚による試験の誤差・時間が課題と認識され、発光分析装置や自動判定顕微鏡の導入で数値判定に切り替える具体策が示されている。
  • 4
    事業を進める体制組合の共同事業として試験室を運営し、中堅技術者層が厚く技能を支えている体制が示されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標品質向上や作業時間短縮は述べられているが、付加価値額や賃上げの具体的な目標数値は示されていない。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    組合の共同事業である試験・分析事業の設備高度化と位置付けられ、共同受電や共同倉庫など過去からの協同体制との一貫性が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    国内自動車メーカー向け重要保安部品など高品質製品の実績と、海外勢との競争が価格から品質へ移る中での品質管理強化が示されている。

  • 課題の認識と解決4

    人手と感覚による試験の誤差・時間が課題と認識され、発光分析装置や自動判定顕微鏡の導入で数値判定に切り替える具体策が示されている。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標2

    品質向上や作業時間短縮は述べられているが、付加価値額や賃上げの具体的な目標数値は示されていない。

  • 事業を進める体制4

    組合の共同事業として試験室を運営し、中堅技術者層が厚く技能を支えている体制が示されている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    軽量化に不可欠な微量元素添加の特殊材質対応が顧客ニーズと明記され、航空機等の新規顧客の期待も示されている。

  • 事業化までの道筋3

    今後の活動として新素材の材質展開拡大や試料研磨の自動化を段階的に進める方針が示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    球状黒鉛鋳鉄の特殊材質や高品質鋳造製品を展開し、一般的な鋳物と比べ高水準の品質を求められる分野であることが示されている。

公的補助の必要性2.7
  • 波及効果・雇用3

    海外シフトによる国内需要減少の中で、新素材対応により航空機等の新規顧客を開拓し市場を広げる効果が示されている。

  • 費用対効果2

    消費電力や作動油量の削減など省エネ効果は触れられているが、補助金投入額に対する付加価値増加などの費用対効果の数値はない。

  • イノベーションへの貢献3

    発光分析や自動判定など自動化・IT化により試験を高度化し、組合全体の品質管理と取引先への情報提供を効率化している。

政策面2.5
  • 成長分野への進出2

    軽量化ニーズに応じた特殊材質や航空機分野への進出が示されるが、日本経済の構造転換への言及は弱い。

  • 地域経済への波及3

    地元高専からの人材採用により中堅技術者層を育て、工業団地として地域の鋳物産業の雇用と技能を支えている。

今後の展望

今後は微量元素を添加した特殊材質への対応力を高め、新素材の材質展開を広げて新たな販路開拓を目指す。さらに研磨や試験機への設置までを自動化し、精度・品質の向上と短納期への対応力強化を図る方針である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。