ものづくり補助金平成27年度製造業大阪府

伸線技術の高付加価値化に挑戦、工具用棒鋼の生産効率2倍に

木ノ本伸線 株式会社

成果加工速度 20m/分→50m/分

この事例のポイント

  • 国内メーカーは従業員一人あたりの生産量を上げつつ、品質も向上させる必要があった。
  • 補助事業では、本社工場の老朽化した生産ラインに代えて、最新の連続抽伸機を含む新しい磨き棒鋼生産ラインを導入し、約1億1,000万円を投じて平成29年1月に稼働させた。
  • 加工速度 20m/分→50m/分。新生産ラインにより時間あたりの生産能力が従来比で約2倍に向上し、加工速度も毎分20mから50mに上がった。

事業者のプロフィール

事業者名木ノ本伸線 株式会社
所在地大阪府 東大阪市
業種鉄鋼業
技術分野精密加工
従業員数73人
資本金1,800万円

事業の背景

大阪府東大阪市の枚岡地区は日本の伸線業の発祥地とされ、同社は明治初期の創業で、主力は業務用や自動機械用の高級工具用棒鋼である。工具用棒鋼の国内市場規模は年間約10億円程度と推定される。数年前までは同社がこの市場の50%以上のシェアを占めていたが、中国・台湾製の汎用工具鋼を使った海外製品がコスト・品質ともに競争力を付け、現在のシェアは30%程度まで下がっている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 集客・繁閑国内メーカーは従業員一人あたりの生産量を上げつつ、品質も向上させる必要があった。
  • 品質・精度老朽化した本社工場の生産ラインを更新し、海外製品との差別化につながる高付加価値の工具用棒鋼を製造する必要があった。
  • 品質・精度目視で行っていた表面傷の検査では、長さや深さが0.1mmを超えるキズの付いた製品が2〜3%発生していた。
  • 生産能力海外製品の価格攻勢により、主力の工具用棒鋼のシェアが50%以上から30%程度まで低下していた。

やったこと

補助事業では、本社工場の老朽化した生産ラインに代えて、最新の連続抽伸機を含む新しい磨き棒鋼生産ラインを導入し、約1億1,000万円を投じて平成29年1月に稼働させた。連続抽伸機の出力を増やしたことで、引き抜き工程の加工速度は毎分20mから毎分50mに上がり、時間あたりの生産能力は従来比で約2倍になった。六角形状の棒材は、対辺の寸法が従来の6〜8mmから4〜10mmまで加工できるようになった。製品寸法の精度は公差0.01〜0.02mmを実現し、工具を固定するための磁石も不要になった。さらに渦流探傷装置を組み込み、目視検査を自動化した。

加工機連続抽伸機
検査測定渦流探傷装置

新しい製品・サービス:MIG溶接用マグネシウム合金ワイヤ(直径1.2mmの細径で長さ300m以上に伸ばす量産技術を開発済み)

事業の効果

  • 加工速度 20m/分→50m/分
  • キズ付き製品の発生率 2%→0%

新生産ラインにより時間あたりの生産能力が従来比で約2倍に向上し、加工速度も毎分20mから50mに上がった。目視検査を渦流探傷装置による自動検査に替えたことで、キズ付き製品の発生率はほぼ0%に近づき、品質クレームも減少した。生産効率の向上と品質クレームの減少により、顧客への納入価格も低減が期待できる見通しである。製品寸法の精度向上や磁石が不要になったことにより、エンドユーザーの作業性向上にもつながった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    工具用棒鋼の生産が主力で、平成27年のものづくり補助金活用による老朽化ラインの更新と、今後のマグネシウム合金ワイヤ事業化が具体的に述べられている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    国内シェアが50%以上から約30%に低下した事実と、中国・台湾製の汎用工具鋼製品の競争力向上が外部環境として示されている。

  • 課題の認識と解決4

    抽伸速度毎分20mから50m、生産能力約2倍、検査で不良発生率2-3%がほぼ0%など、課題と解決策が数値で示されている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    平成30年末のシェアを50%程度に高めるという目標値が示されているが、達成の裏付けは限定的である。

  • 事業を進める体制2

    従業員73名、生産管理システム整備への取組はうかがえるが、補助事業を遂行する人材や事務体制の具体的記述は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    公差0.01~0.02mmの精度、六角棒材の加工範囲拡大、磁石不要による作業性向上など、選ばれる理由が具体的に整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    新ライン導入の時期(平成29年1月稼働)や次世代製品の開発段階は読めるが、遂行スケジュールや課題解決の方法は詳述されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    工具用棒鋼は国内市場規模が年間約10億円程度と推定され、高級品として差別化を図る高付加価値化の方向性が示されている。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    マグネシウム合金ワイヤが自動車・鉄道・航空機の軽量化に寄与する点は示されるが、波及効果や雇用創出の記述は薄い。

  • 費用対効果3

    約1億1,000万円の投資で生産能力が約2倍になったとあるが、補助金額に対する付加価値増加の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    渦流探傷装置による検査自動化とマグネシウム合金ワイヤの次世代開発が述べられるが、サプライチェーン全体への貢献は具体的でない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    軽量化が進む自動車・鉄道・航空機分野へのマグネシウム合金ワイヤ展開がうかがえるが、構造転換への言及は限定的である。

  • 地域経済への波及3

    大阪府東大阪市枚岡地区の日本の伸線業の発祥地という地域特性が述べられているが、地域経済成長への言及は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

新ラインで生み出したコスト・品質・作業性の向上を顧客に周知し、シェアの奪回を図る。平成30年末のシェアを50%程度まで高める目標である。次世代製品のマグネシウム合金ワイヤの事業化も進める。

事業者の声

投資の効果は十分にあった

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。