ものづくり補助金平成24年度愛媛県

多様化する顧客ニーズに応えるための発酵調味料の多品種少量生産設備導入

仙味エキス株式会社

成果殺菌プレート内の滞留液量(1生産当たり) 40kg→10kg

この事例のポイント

  • コンビニ・宅配食業界からの多品種少量・短サイクル・小口生産の依頼が増え、既存設備では対応が困難になっていた。
  • 平成27年に竣工した第三工場内に、天然調味料の多品種少量生産設備として小ロット専用ラインを設置した。
  • 殺菌プレート内の滞留液量(1生産当たり) 40kg→10kg。小容量の製品をタイムリーに供給できるようになり、コンビニ・宅配食業界に加え、加工食品メーカーや外食チェーンからの1kg…

事業者のプロフィール

事業者名仙味エキス株式会社
所在地愛媛県 愛媛県大洲市
業種食料品製造業
技術分野切削加工
従業員数140人
資本金9,000万円
設立1976年

事業の背景

同社は昭和51年に設立され、魚介類の自己消化酵素を活用した技術で業務用の液体調味料を製造し、水産練り製品や冷凍食品の加工食品メーカーに販売してきた。拡大を続けるコンビニ・宅配食業界への販路拡大を目指し、短い周期で変化する顧客ニーズに対応する新たな生産・販売体制にも取り組んできた。コンビニ向け弁当・惣菜の調味料はベンダーが全国各地に分散しており、店舗からの発注数量だけを製造する必要があるため、需要予測の困難さや在庫、納期遅れのリスクを抱えていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力コンビニ・宅配食業界からの多品種少量・短サイクル・小口生産の依頼が増え、既存設備では対応が困難になっていた。
  • 生産能力既存の製造設備は生産対応可能品種が130品目に限られていた。
  • 生産能力既存設備は充填容量20kgの業務用形態のため、コンビニや宅配食業界が求める300gから3kgの容量に適さなかった。
  • コスト・採算1生産品目当たりの製造ロスが40kgと多く、生産効率と製造コストの面で問題となっていた。
  • 納期・工程原料・調味料が1品でも欠品すると製造できず、納期遅れはペナルティの対象となるリスクがあった。
  • その他弁当・惣菜は売れ行きの予測が難しく、急な大量発注や最短1週間での商品カットによる在庫が生じるリスクがあった。

やったこと

平成27年に竣工した第三工場内に、天然調味料の多品種少量生産設備として小ロット専用ラインを設置した。小ロット調味液殺菌設備は、少量生産に必要な殺菌性能と温度管理の精度に優れ、殺菌プレートの枚数が少なく、プレート内の滞留液量が少ない特徴をもつ。小容量充填機は1分間当たり10パックの能力で、300gから3kgまでの容量の充填を可能にし、既存の130品目の制約も解消した。あわせて、凸版印刷が開発した液体調味料用のエアホールドパウチ容器を採用し、自立性と持ちやすさ、注ぎやすさを実現した。この容器は使用後に空気を抜いて小さく折りたためるため、廃棄しやすいとユーザーから高い評価を得ている。

  • 加工機小ロット調味液殺菌設備小容量充填機

新しい製品・サービス:300g~3kgの小容量調味料、1kgタイプの新商品、大手食品商社向けの一般消費者向け300g鍋つゆ3品目(OEM)

事業の効果

  • 殺菌プレート内の滞留液量(1生産当たり) 40kg→10kg

小容量の製品をタイムリーに供給できるようになり、コンビニ・宅配食業界に加え、加工食品メーカーや外食チェーンからの1kgタイプ商品への引き合いが増えた。味噌やぜんざい、オイスターソースなど粘度の高い商品の充填も可能になった。殺菌プレート内の滞留液量の低減と小容量充填機による充填ロスの削減により、廃棄ロスと産業廃棄物処理費用を削減でき、環境負荷の低減にもつながると期待される。さらに、製造業従事者の作業負荷軽減効果も得られた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.0 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    課題の認識と解決130品目制限や20kg形態、ロス40kg/ロットという課題を明示し、300g-3kg対応とロス削減で解決する構成になっている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付けコンビニ・宅配食・1kgタイプ需要の高まりや鍋つゆのOEM受託など、顧客ニーズと選ばれる理由が具体的に書かれている。
  • 4
    新しさ・高付加価値調味料業界で初めてエアホールドパウチを採用し、小容量充填で粘度の高い商品も扱える点など、高付加価値化の具体性がある。

伸びしろがあった観点

  • 2
    事業を進める体制従業員数140名と社歴は書かれるが、本補助事業の遂行体制や人材配置についての記述はわずかである。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    既存の業務用液体調味料とコンビニ向け濃縮調味料の供給開始という経緯は読めるが、経営戦略上の位置づけは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    独自の自己消化技術や業界先駆けの実績、コンビニ・宅配食への需要拡大は読み取れるが、競争優位の定量的な裏付けは乏しい。

  • 課題の認識と解決4

    130品目制限や20kg形態、ロス40kg/ロットという課題を明示し、300g-3kg対応とロス削減で解決する構成になっている。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標3

    ロス40kgから10kgへの低減や充填ロス40%削減など数値はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員数140名と社歴は書かれるが、本補助事業の遂行体制や人材配置についての記述はわずかである。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    コンビニ・宅配食・1kgタイプ需要の高まりや鍋つゆのOEM受託など、顧客ニーズと選ばれる理由が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    平成27年9月からの供給開始や今後の販路開拓の方向は示されるが、スケジュールや課題解決方法の詳細は薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    調味料業界で初めてエアホールドパウチを採用し、小容量充填で粘度の高い商品も扱える点など、高付加価値化の具体性がある。

公的補助の必要性2.7
  • 波及効果・雇用2

    食品産業の活性化や新規需要創出は掲げられているが、波及効果や雇用創出の具体的数字は示されていない。

  • 費用対効果4

    殺菌設備で1生産当たり40kgを10kgに、充填ロスを40%削減するなど、投資に対する効果の数字が示されている。

  • イノベーションへの貢献2

    容器の採用や小ロット生産の工夫はあるが、デジタル技術やサプライチェーン全体のイノベーションへの言及は少ない。

政策面2.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及2

    愛媛県大洲市の本社・工場立地は書かれるが、地域の特性を活かした雇用創出や地域成長への具体的言及は少ない。

今後の展望

同社の強みである多様なエキス原料の調達ルート、ユーザーの要望に個別対応できる柔軟な開発・生産体制、ユーザー商品のグレードアップに寄与する提案力を武器に新商品の開発を強化する。病院・介護施設や高齢者向け宅配弁当業者の販路を新たに開拓し、既存の調味料分野でも、市場開拓が進んでいなかった販売先やニッチャー企業への売込みを強化する。当面は加工食品メーカーや食品商社からのOEM受託生産を行い、将来的には自社ブランドで一般消費者向け商品を展開することを考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。