ものづくり補助金平成24年度高知県

トンネル剥落対策メッシュシート(フィットメッシュVer.2仮称)の開発および設備導入

株式会社西宮産業

この事例のポイント

  • 東北地方の顧客から寒冷地仕様のフィットメッシュの開発要望があったが、既存製品には凍結による氷柱対策がなかった。
  • 既存のフィットメッシュを改良し、導水層を持つ剥落対策メッシュシートの開発を行った。
  • 強度は規格を満たしたが、導水機能は止水性能に問題があることが分かった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社西宮産業
所在地高知県 高知市
業種プラスチック製品
技術分野プラスチック成形加工
従業員数8人
資本金1,000万円
設立1996年

事業の背景

コンクリート構造物は高度経済成長期以降に築30〜50年を経過し、老朽化が社会問題になっている。当社は平成24年度からトンネル剥落対策ネット「フィットメッシュ」を量産化し、四国内の高速道路トンネルに適用してきた。東日本へ販路を広げた際、四国など温暖な地域にはない寒冷地特有の課題があることが分かった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術東北地方の顧客から寒冷地仕様のフィットメッシュの開発要望があったが、既存製品には凍結による氷柱対策がなかった。
  • 納期・工程導水層に使う素材の選定、シート面材とMRPの一体化、異種材を接合する接着剤の選定に、当初計画より時間がかかる見込みだった。

やったこと

既存のフィットメッシュを改良し、導水層を持つ剥落対策メッシュシートの開発を行った。導水層に使う素材は既存規格と同等の性能が必要で、シート面材とMRP(格子状の形状保持体)の一体化方法や接着剤の選定に時間を要した。高速道路トンネルに実際に施工し、外観、機能、施工性を確認した。さらに高知県工業技術センターに協力を依頼し、氷柱回避の試験を繰り返した。導入設備は、ワイドサンダーの稼働に必要な補助装置としてコンプレッサー SPIN を導入予定だったが、稼働できないことが判明したため、2台導入予定を1台に減らした。

新しい製品・サービス:導水機能と寒冷地仕様の氷柱融解機能を備えたフィットメッシュ(Ver.2)

事業の効果

強度は規格を満たしたが、導水機能は止水性能に問題があることが分かった。寒冷地仕様の氷柱を溶かす機能は方式を含めて再検討が必要になった。施工性は従来品に比べ非常に良好で、外観や強度も実用上問題ないと評価された。一方で水勾配がない構造物では止水パッキンが不十分で、新たな水勾配とパッキンの開発が必要との回答を得た。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.0 / 514観点のうち12観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    これまでの取組との一貫性平成24年度からフィットメッシュを量産し四国の高速道路トンネルに適用した実績があり、全国展開の延長として寒冷地仕様を開発している。
  • 4
    事業化までの道筋2015年中に試験レベルで製品化、1シーズン試験導入後2年を目処に製品化と、時期と段階が示されている。
  • 4
    新しさ・高付加価値類似品は高価で緊急箇所に限られ、導水と剥落の性能を併用した製品は市場に出ていないと記載されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    イノベーションへの貢献寒冷地向けの氷柱融解機能の開発に取り組んでいるが、デジタル技術や地域サプライチェーンへの貢献は書かれていない。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性4

    平成24年度からフィットメッシュを量産し四国の高速道路トンネルに適用した実績があり、全国展開の延長として寒冷地仕様を開発している。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    東日本で寒冷地特有の課題が分かったとの記載はあるが、競合比較や自社経営資源との関係は具体的に書かれていない。

  • 課題の認識と解決3

    寒冷地の氷柱発生という課題は認識されているが、高付加価値化や成長に直結する数値目標は示されていない。

事業の実現可能性3.3
  • 付加価値・賃上げの目標ー

    公開情報では判断できません。

  • 事業を進める体制3

    高知県工業技術センターへの協力依頼や外部試験機関の利用は書かれているが、体制や人材の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    耐久性や施工の単純化、低コストという特徴は書かれているが、顧客ターゲットや需要の数値的裏付けは薄い。

  • 事業化までの道筋4

    2015年中に試験レベルで製品化、1シーズン試験導入後2年を目処に製品化と、時期と段階が示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    類似品は高価で緊急箇所に限られ、導水と剥落の性能を併用した製品は市場に出ていないと記載されている。

公的補助の必要性2.5
  • 波及効果・雇用3

    老朽化したコンクリート構造物の社会問題化に触れ、高速道路や国道・県道のトンネルへの適用拡大が述べられている。

  • 費用対効果ー

    公開情報では判断できません。

  • イノベーションへの貢献2

    寒冷地向けの氷柱融解機能の開発に取り組んでいるが、デジタル技術や地域サプライチェーンへの貢献は書かれていない。

政策面2.0
  • 成長分野への進出2

    老朽化インフラの維持という文脈はうかがえるが、日本経済の構造転換への言及は書かれていない。

  • 地域経済への波及2

    四国から東北へ販路を広げた点はうかがえるが、地域の雇用や経済成長への効果は書かれていない。

今後の展望

導水と剥落防止の両方の性能を持つ製品は市場に出ておらず、本製品の開発により対応が必要なトンネルが今後増えると考えられる。従来のフィットメッシュも公的審査を取得すれば、四国の高速道路だけでなく全国の国道や県道のトンネルに適用できる見込みである。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。