ものづくり補助金平成24年度高知県

世界で拡大する海水淡水化市場の受注獲得を目指した、海水淡水化プラント用高精度部品の開発と短納期の実現

四国スッピル工業有限会社

この事例のポイント

  • 建設需要の低迷を受け、建設機械用部品以外の成長産業分野で主力商品を新規に開拓する必要があった。
  • 対向単動型油圧四爪チャックを搭載した特殊仕様のNC旋盤機を導入した。
  • 雌ネジを旋盤加工にしたことで雄ネジとの形状差が小さくなり、エンドマークやバリの発生が大幅に抑えられた。

事業者のプロフィール

事業者名四国スッピル工業有限会社
所在地高知県 南国市
業種生産用機械器具製造業
技術分野塗装
従業員数16人
資本金1,000万円
設立1979年

事業の背景

創業以来、工作機械部品の製作で試作実績と技術力を培ってきたが、建設需要の低迷により建設機械用部品以外の分野での主力商品開拓が急務となっていた。環境に配慮した水圧シリンダー部品の試作開発が量産受注につながり始めていた。高知県の商談会で大手産業機械メーカーからスーパー二相ステンレスの加工を依頼され、類似素材の加工経験を活かして受注に至った。これを契機に、世界的に需要が拡大している海水淡水化プラント部品の試作を完成させ、大手からの量産受注獲得を図った。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 販路・情報発信建設需要の低迷を受け、建設機械用部品以外の成長産業分野で主力商品を新規に開拓する必要があった。
  • コスト・採算雌ネジのタップ加工では、エンドマークやバリが生じ、内側に張り付いたバリの除去に手間がかかり、後工程のコストを押し上げていた。
  • 品質・精度雌ネジは雄ネジと加工方法が異なるため形状に微妙な差が生じ、品質面でも課題となっていた。
  • 納期・工程海水淡水化プラント向けポンプ部品の量産化に向け、治具を使わずに加工して生産工程を効率化し、納期を大幅に短縮する必要があった。

やったこと

対向単動型油圧四爪チャックを搭載した特殊仕様のNC旋盤機を導入した。従来のタップ加工で行っていた雌ネジ加工を、雄ネジと同じ旋盤加工に切り替えた。対向単動油圧四爪チャックにより、旋盤加工で固定しにくい形状の部品も治具を介さずに固定できるようにした。治具の製作・調整、治具の着脱の各工程を簡素化した。NC装置によって作業者ごとに設定していたプログラム加工条件を標準化し、一元管理するようにした。

  • 加工機対向単動型油圧四爪チャック搭載NC旋盤機特殊仕様

新しい製品・サービス:海水淡水化プラント向けポンプに用いる、スーパー二相ステンレス製の特殊ステンレス部品(管用ネジ穴加工の高精度化品)

事業の効果

雌ネジを旋盤加工にしたことで雄ネジとの形状差が小さくなり、エンドマークやバリの発生が大幅に抑えられた。これによりネックだったバリ取り工程をカットでき、後工程に割く時間・人員を減らしてトータルコストを削減するとともに品質も向上した。治具を使わない加工により治具の製作・調整・着脱が不要になり、工程全体の時間が短縮された。加工条件の標準化によってプログラム時間が短縮され、プログラムミスも防止できるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性水圧ステンレス部品や大手メーカーからの受注、既存のステンレス加工経験など強みが具体的に示されている。
  • 4
    課題の認識と解決タップ加工のバリ取り工程を後工程として圧縮し、治具を使わない加工でトータルコストを削減する課題解決策が示されている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け海水淡水化部品の需要拡大、大手からの量産受注、市場規模の数値など顧客ニーズの裏付けが具体的に示されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標量産受注獲得や高い評価は書かれるが、付加価値額や賃上げの数値目標は示されていない。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    創業当初からの試作実績と建設機械部品の取組から一貫性はうかがえるが、経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    水圧ステンレス部品や大手メーカーからの受注、既存のステンレス加工経験など強みが具体的に示されている。

  • 課題の認識と解決4

    タップ加工のバリ取り工程を後工程として圧縮し、治具を使わない加工でトータルコストを削減する課題解決策が示されている。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標2

    量産受注獲得や高い評価は書かれるが、付加価値額や賃上げの数値目標は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    余剰機械の設置や瞬発性の高い体制整備に言及があるが、人材や事務処理能力の具体的な記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    海水淡水化部品の需要拡大、大手からの量産受注、市場規模の数値など顧客ニーズの裏付けが具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋3

    1年目の大手売上見込みや2年目以降の展開は示されるが、スケジュールや課題解決の方法は簡略にとどまる。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    海水淡水化部品は需要が拡大中で、同分野の中で高品質・短納期を図る取組として具体的に示されている。

公的補助の必要性2.3
  • 波及効果・雇用3

    水ビジネス市場の拡大や水不足の課題に触れるが、雇用創出や波及効果への言及は具体性が薄い。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値額の増加など費用対効果を示す数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    NC装置による加工条件の標準化・一元管理に触れるが、サプライチェーンへの貢献は明確に書かれていない。

政策面2.0
  • 成長分野への進出2

    水ビジネス市場の成長に言及があるが、日本経済の構造転換との関係は直接示されていない。

  • 地域経済への波及2

    高知県の商談会で大手と取引した経緯はあるが、地域の経済成長を牽引する記述は限定的である。

今後の展望

1年目は大手産業機械メーカーの海水淡水化プラント向け高圧ポンプの部品売上を見込む。2年目以降は、環境設備メーカーが途上国向けに展開を予定している浄水ユニット搭載コンテナ関連部品の受注を見込む。環境設備メーカーの環境配慮型介護系水圧ステンレスシリンダーの受注拡大や、特殊液体気体シール製造機器メーカーの薬品系流体制御装置部品の受注拡大も見込む。水ビジネス市場は今後も拡大が見込まれ、海水淡水化分野は成長ドライバーとして位置づけられている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。