ものづくり補助金平成25年度製造業山口県

立体形状を含む医療機器部品の生産性向上を実現するための複合加工機導入

株式会社 サン精機

成果工程集約効果:約57%削減

この事例のポイント

  • 半導体関係の取引先の受注が激減する中で、医療機器部品は品質・価格面で熾烈な競争にさらされていた。
  • 医療機器部品の生産性向上のため、精度向上と工程集約が可能な複合加工機(MULTUS U 3000)を導入した。
  • 工程集約効果:約57%削減。導入前と比べ、製品の脱着をせずに機内で測定でき、連続して精密立体形状加工が可能となった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社 サン精機
所在地山口県 萩市
業種生産用機械器具製造業
技術分野機械制御,精密加工
従業員数30人
資本金1,000万円
設立1973年

事業の背景

当社は昭和48年に工作機械部品の製造工場として創業し、金型設計製作や半導体関係の治具設計製作を中心とした機械加工業を営んできた。現在の事業構成は搾油機が3割、医療器が3割、残りの4割がその他・半導体関係冶具等となっている。医療機器部品の製作は十数年前に協力企業からの打診で始まり、リーマンショック以降は半導体関連の取引先の受注が激減する中で、これを補完できるまでに育ってきた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度半導体関係の取引先の受注が激減する中で、医療機器部品は品質・価格面で熾烈な競争にさらされていた。
  • コスト・採算高度化する品質を確保するために多くの加工工程を組み込まざるを得ず、短納期の案件に対応できず高価格の製品となっていた。
  • 生産能力現状のままでは価格・品質・納期面での競争力を失う恐れがあった。

やったこと

医療機器部品の生産性向上のため、精度向上と工程集約が可能な複合加工機(MULTUS U 3000)を導入した。導入後、人工関節サンプルを試作し、導入前の設備による加工方法と比較できるようになるべく同じ加工プログラムを使用した。製品作成用の素材形状は、マシニングセンタベースではなく旋盤ベースの基本構造の工作機械を選定したことから、従来の四角形状から丸棒形状の材料使用に変更した。3軸制御に回転方向軸を追加したことで、一度に多面的な加工が可能となり、機械制御で次の加工工程への移動ができるため、繰り返し精度を1/1000mm単位以下に抑えられるようになった。製作工程等の評価・調整を行った後、本格的な設備の運用に入った。

加工機複合加工機(MULTUS U 3000)

事業の効果

  • 工程集約効果:約57%削減
  • 生産リードタイム削減:約30%削減
  • コストダウン:約21%削減

導入前と比べ、製品の脱着をせずに機内で測定でき、連続して精密立体形状加工が可能となった。工程集約により加工工程が大幅に減り、生産リードタイムとコストも削減された。これらを総合し「高品質高付加価値」の効果が得られたと当社は整理している。今後は医療機器部品製作部門が大きな柱になると見込み、高度なニーズに対応できる機械設備・人材の充実を目指している。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性3

    従来の少量多品種の機械加工技術を基に医療機器部品へ進出した経緯が書かれ、一貫性はうかがえるが、経営戦略上の明確な位置付けの記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    医療機器市場の拡大と価格・品質・納期競争の激化に触れ、半導体関連の受注激減後に医療部品事業が補完していることが書かれている。

  • 課題の認識と解決5

    工程集約により工程集約効果約57%削減、生産リードタイム約30%削減、コスト約21%削減と数値で課題解決の効果が示されている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    導入後の効果として生産リードタイム約30%削減やコスト約21%削減が数値で示されているが、賃上げ目標や付加価値額の目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員数30人や従来の機械加工実績は書かれているが、補助事業の遂行体制や人材確保に関する具体的記述はない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    医療機器部品の価格・品質・納期への対応が明示され、顧客ニーズへの対応方針は読み取れるが、ターゲットや選ばれる理由は整理が薄い。

  • 事業化までの道筋3

    導入後に機上測定や試作による評価・調整を行い本格運用に入ったことが書かれるが、中長期の検証や詳細スケジュールは薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    医療機器部品は成長分野とされるが、同分野内で高付加価値化・高価格化を図る具体的記述は限定的で、一般的な認知度の情報は薄い。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    医療機器を日本再興戦略の成長分野とする点や、アジアでの需要拡大に触れ、国が支援する理由の一端はうかがえる。

  • 費用対効果4

    工程集約効果約57%、リードタイム約30%、コスト約21%削減といった数値が示され、費用対効果の高さが読み取れる。

  • イノベーションへの貢献2

    複合加工機による工程集約は示されるが、先端的デジタル技術や新ビジネスモデルの活用は書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    医療機器を成長分野とする政策方針に触れるが、日本経済の構造転換への寄与の記述は限定的である。

  • 地域経済への波及2

    萩市の企業であることは書かれるが、地域の特性を活かした雇用創出や地域経済成長への効果の記述は乏しい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

世界の医療機器市場は急速に拡大し、特にアジアは際立った伸びが予測されている。国は医療機器産業を成長分野に指定しており、既存企業の強化支援に加え新規参入支援も見込まれる。一方で医療ニーズに応じた価格・品質・納期を巡る競争も激化していくと考えられている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。