ものづくり補助金平成24年度岩手県

カラフル全面ホーロー処理厨房用南部鉄器の試作開発

有限会社及春鋳造所

成果ショットブラスト処理により鋳肌表面の黒鉛開口が閉塞し、泡欠陥の発生が低下した。

この事例のポイント

  • ヨーロッパ製の全面ホーロー仕上げ鋳鉄厨房用品が国内市場を占有し始めており、国内消費者の好みの変化に対応するホーロー鋳鉄製品の開発が急務となっていた。
  • 厨房用鉄器を高周波電気炉で溶製し、片状黒鉛鋳鉄の炭素量を3.5%から4.0%に、ケイ素量を2.4%から3.3%に変更して黒鉛形状がA型、C型、D型となる試料を作成し、全面ホーロー…
  • ショットブラスト処理により鋳肌表面の黒鉛開口が閉塞し、泡欠陥の発生が低下した。ショットブラスト機によるショット処理で鋳肌表面に開口した黒鉛が塑性流動により閉塞し、全面ホーロー仕上げ南部鉄器厨房用品…

事業者のプロフィール

事業者名有限会社及春鋳造所
所在地岩手県 奥州市
業種金属製品製造業
技術分野鋳造
資本金500万円
設立1952年

事業の背景

当社は鉄瓶、急須、風鈴などの工芸鋳物と機械部品の機械鋳物部品を鋳造している。鋳鉄器は中国経済の台頭などで輸出が好調だが、国内市場は縮小傾向にある。一方、耐食性・耐熱性に優れたヨーロッパ製のカラフルな全面ホーロー鋳鉄厨房用品が国内需要を伸ばし、急速に売り上げを伸ばしている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術ヨーロッパ製の全面ホーロー仕上げ鋳鉄厨房用品が国内市場を占有し始めており、国内消費者の好みの変化に対応するホーロー鋳鉄製品の開発が急務となっていた。
  • 品質・精度南部鉄器にホーロー処理を施すと泡欠陥が多く発生し、全面ホーロー処理を施す技術が確立されていなかった。
  • 品質・精度鋳鉄製厨房用品は高炭素・高ケイ素の組成になりやすく、表面に開口した黒鉛がホーロー釉薬と反応して泡欠陥を生じていた。

やったこと

厨房用鉄器を高周波電気炉で溶製し、片状黒鉛鋳鉄の炭素量を3.5%から4.0%に、ケイ素量を2.4%から3.3%に変更して黒鉛形状がA型、C型、D型となる試料を作成し、全面ホーロー処理を行って泡欠陥を5段階で評価した。その結果、D型黒鉛が泡欠陥防止に最適と判明した。黒鉛形態の観察では、A型は黒鉛が表面に開口しガスや炭素との反応で泡欠陥が生じ、D型は黒鉛が閉塞していた。本事業でショットブラスト機を導入し、ブレードで投射材を高速投射して鋳肌表面の黒鉛開口を塑性流動により閉塞させた。その後、工場内の1tコークス炉で溶解し試作品を製造、ホーローを塗布して700度で20分間焼成した。

新しい製品・サービス:全面ホーロー仕上げの南部鉄器厨房用品の試作品

事業の効果

  • ショットブラスト処理により鋳肌表面の黒鉛開口が閉塞し、泡欠陥の発生が低下した。

ショットブラスト機によるショット処理で鋳肌表面に開口した黒鉛が塑性流動により閉塞し、全面ホーロー仕上げ南部鉄器厨房用品の泡欠陥の発生が低下することが確認された。これにより全面ホーロー仕上げ南部鉄器厨房用品の試作品が完成し、商品化の可能性が見えてきた。今後は若年層を対象とした商品購買調査を行い、ニーズの高いホーロー商品の実現と中国市場への参入を目指す。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    鉄瓶・急須など工芸鋳物を手がけてきた鋳造業者が、全面ホーロー鉄器の開発に取り組む流れが記載されており、既存事業との関連は読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    ヨーロッパ製ホーロー鋳鉄品が国内市場を占有し始めた外部環境と、南部鉄器の鋳造技術という自社の資源が具体的に示されている。

  • 課題の認識と解決4

    泡欠陥の原因を黒鉛の開口と特定し、ショット処理で抑制できることを確認したと記載され、課題と解決の方向が明確に示されている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標1

    公開されている事例からは読み取れません。付加価値額や賃上げの目標値の記載はありません。

  • 事業を進める体制3

    専務が岩手大学の社会人学生として鋳鉄研究に取り組み、工場内で試作品を製造したことは書かれているが、体制の全体像は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    カラフルな全面ホーロー仕上げ、耐食・耐熱性、若年層を有力な購買層と想定する記載はあるが、ニーズの裏付けは今後の調査とされている。

  • 事業化までの道筋3

    若年層への商品購買調査や中国市場への参入を今後の取り組みとして挙げているが、時期や手順などの具体的なスケジュールはない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    国内の南部鉄器では全面ホーロー処理の技術が確立されていなかったと記載され、同分野で高付加価値の新製品を狙う内容が読み取れる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    南部鉄器製造業者によるホーロー鋳鉄製品の開発が急務とされる記載はあるが、経済波及や雇用創出の数字や説明はほぼない。

  • 費用対効果2

    試作品の完成と泡欠陥抑制の効果は確認されたが、補助金額に対する付加価値増加や生産性向上の数字は記載されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    黒鉛組織の検証とショット処理による表面改質という技術的な取り組みがあるが、デジタル技術や業界全体への波及は書かれていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    国内市場の縮小と中国への輸出拡大に触れているが、成長分野への進出や構造転換に関する記載は薄い。

  • 地域経済への波及3

    岩手県で製造される南部鉄器の技術を活かす事業であることは読み取れるが、地域の雇用や経済成長への効果は記載されていない。

今後の展望

若年層を対象とした商品購買調査を行い、その結果に基づいてニーズの高いホーロー商品の実現を目指す。また、南部鉄器の輸出案件の引き合いが多い中国市場へさらなる参入を図る。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。