ものづくり補助金平成26年度製造業岩手県

レーザーめっき工法を用いた成形回路部品への量産めっきプロセスの構築

株式会社東亜電化

この事例のポイント

  • 樹脂成形品への回路パターンのライン細線化は、樹脂マスキングによる従来の2回成形では限界があり、ライン&スペースが150/150μm程度に留まっていた。
  • 無電解銅めっき設備と蛍光X線膜厚計を導入し、液晶ポリマー材を対象にめっき条件を検討した。
  • レーザーめっき工法(SKW-L2)のめっきプロセスが確立され、回路パターンへのめっき未着と外析出を抑えて高い良品率を得られるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社東亜電化
所在地岩手県 盛岡市
業種金属製品製造業
技術分野表面処理
従業員数106人
資本金3,500万円
設立1959年

事業の背景

当社は電子部品や機械部品へのめっきや化成処理を主力とする表面処理メーカーである。今後の安定成長には、樹脂成形品に電気回路や電極を自由に形成できるMID技術による安定的な売上の確保が重要だと考えていた。そのため医療機器、精密機械、自動車関連分野にMID技術で製造した部品を供給する必要があった。従来のMID技術によるめっき部品は三共化成株式会社の「SKW法」で製造していた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術樹脂成形品への回路パターンのライン細線化は、樹脂マスキングによる従来の2回成形では限界があり、ライン&スペースが150/150μm程度に留まっていた。
  • 品質・精度レーザーで回路パターンを描画して無電解めっきを行う工法では、回路パターン部へのめっき未着と回路パターン外への析出が同時に発生し、ショートや断線の原因となって出荷できなかった。
  • 新製品・新技術需要の多い液晶ポリマー材(LCP)に対応するめっきプロセスが確立されておらず、量産に向けた条件設定が課題だった。

やったこと

無電解銅めっき設備と蛍光X線膜厚計を導入し、液晶ポリマー材を対象にめっき条件を検討した。液晶ポリマー材では銅めっき液の成分濃度や液温の条件設定を行い、銅めっき後に後工程を追加することでパターン外析出を抑える独自の量産工程を確立した。レーザー非加工部に付着した触媒の洗浄除去能力を高めるため新規の前処理液を導入し、ほぼ100%の良品が得られるプロセスを構築した。レーザー加工条件を変えると未着と外析出の発生状況が変わることを見つけ、加工条件の適正化につなげた。デジタルマイクロスコープで回路パターン幅のバラツキ、蛍光X線膜厚計でめっき厚のバラツキを測定し、めっき条件にフィードバックした。めっき液の成分濃度や温度、めっき時間、更新頻度などの管理範囲を設定し、「管理工程表」を作成した。

加工機無電解銅めっき設備
検査測定蛍光X線膜厚計
検査測定デジタルマイクロスコープ

新しい製品・サービス:レーザーめっき工法(SKW-L2)によるMID部品

事業の効果

レーザーめっき工法(SKW-L2)のめっきプロセスが確立され、回路パターンへのめっき未着と外析出を抑えて高い良品率を得られるようになった。細線パターンの形成、薄型化、小型化を強みとした営業展開を図る基盤ができた。めっき条件や前処理工程の管理範囲を定めたことで、量産体制を構築できた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性4

    表面処理メーカーとして従来のSKW法を用いてMID部品を製造してきた経緯があり、その延長で医療・精密・自動車向けのMID量産を位置付けている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    医療機器・精密機器で要求される小型部品化への対応が課題とされるが、市場動向や自社の競争優位性を数値で示す記述は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    ショートや断線による不良が出荷不可となる課題を明示し、前処理液導入で良品率ほぼ100%を得たと具体的に示している。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    目標値として数値は示されていない。付加価値や賃上げに関する目標は記載されていない。

  • 事業を進める体制4

    開発技術部の千葉裕部長が開発を指揮したと記載され、本事業の推進体制が具体的に読み取れる。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    医療機器・精密機械・自動車向けに細線化、薄型化、小型化を打ち出す販路拡大の方針が示され、顧客とニーズは明確。

  • 事業化までの道筋4

    めっき条件の検討、管理範囲の設定、管理工程表の作成、今後の材料拡大の研究開発という段階的な進め方が示されている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    従来のSKW法では細線化に限界があったが、SKW-L2でライン&スペース150/150μm程度からの細線化を実現する高付加価値化を示している。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    MID技術による部品の軽量化・小型化への貢献や、地域に根差した雇用創出に触れているが、経済波及効果の数値は示されていない。

  • 費用対効果2

    費用対効果を示す補助金額や付加価値増加額などの数値は記載されておらず、わずかにうかがえるにとどまる。

  • イノベーションへの貢献3

    新しい工法によるMID部品製造プロセスを確立し、サプライチェーンの医療・自動車分野への供給に関わるが、イノベーションの波及の記述は限定的。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    MID技術による医療機器・自動車など成長分野への進出が示されるが、日本経済の構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及2

    地域に根差した企業活動や雇用創出に触れるのみで、地域特性を活かした付加価値創出の具体性は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

現在量産している精密部品で実績を積み重ね、液晶ポリマー以外の材料にも対応できるよう研究開発に注力する。あわせて雇用創出を実現し、地域に根差した企業活動を続けていく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。