ものづくり補助金平成24年度岩手県

コバルトクロムモリブデン(CCM)合金の医療用人工股関節(骨頭、ライナー)の超精密切削方法を用いた試作

品川光学株式会社

成果真球度(ボール) 70μm→5.1μm

この事例のポイント

  • 人工股関節の真球度を測る際は技術者の勘や感覚に頼る部分があり、精度に不確実性が残っていた。
  • 医療用人工股関節のボールとライナーに使うコバルトクロムモリブデン合金(コバリオン)の丸棒から球状に加工した。
  • 真球度(ボール) 70μm→5.1μm。非接触球面形状測定器の導入により、技術者の勘に頼らず誤差の範囲を定量的に計測できるようになり、高品質の製品を提供できる…

事業者のプロフィール

事業者名品川光学株式会社
所在地岩手県 奥州市
業種業務用機械器具製造業
技術分野切削加工
従業員数16人
資本金2,450万円
設立1965年

事業の背景

当社は高精度小径レンズの研磨を得意としており、その精度の高さが評価されて、異分野である医療機器の人工股関節骨頭部分の切削・研磨の試作・開発の依頼を受けた。骨頭部分は強度に加え真球に近い精度が求められるため、高精度の研削用機器または真球度や粗度を測定する3次元測定機の購入が必須であった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度人工股関節の真球度を測る際は技術者の勘や感覚に頼る部分があり、精度に不確実性が残っていた。
  • 生産能力切削加工を外部に委託したのち当社で超精密切削を行っても、真球度は70〜80μmにとどまっていた。
  • 納期・工程切削や研磨に多くの時間を要していた。
  • 品質・精度レーザー用小径レンズにおいても測定誤差が多いことが課題だった。

やったこと

医療用人工股関節のボールとライナーに使うコバルトクロムモリブデン合金(コバリオン)の丸棒から球状に加工した。岩手県工業技術センターのNC旋盤と5軸マシニングセンターで切削を試み、5軸マシニングセンターでの切削で目標真球度40μm以内に入った。その後、当社の超精密切削加工で研磨した試作品を非接触球面形状測定器で測定し、ボールは真球度5.1μm・真円度4.7μm、ライナーは真球度1.5μm・真円度4.6μmまで精度を高めた。非接触球面形状測定器は、レーザー用小径レンズの表面粗度測定にも活用し、研磨剤や加工条件を変えながら測定を繰り返して、メーカーが求める0.5〜0.7nmの表面粗度を達成した。

  • 検査測定非接触球面形状測定器アメリカ製3次元プロファイラーシステム芯取測定器

新しい製品・サービス:医療用人工股関節(ボール・ライナー)

事業の効果

  • 真球度(ボール) 70μm→5.1μm

非接触球面形状測定器の導入により、技術者の勘に頼らず誤差の範囲を定量的に計測できるようになり、高品質の製品を提供できるようになった。納品後の再測定が不要となったことで納期が短縮し、効率も向上した。レーザー用小径レンズでは芯取測定器により測定が自動化され、クライアントとのトラブル軽減が期待される。医療用インプラントへの活用や医療機器メーカーからの受託開発の可能性も高まった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    光学分野で培った切削・研磨技術を医療用人工股関節へ応用すると書かれ、既存事業との関連は読めるが、経営戦略上の位置付けまでは書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    高精度小径レンズ研磨の評価から依頼を受け、他社が4時間かかる工程を45分で実現するなど、強みを活かした競争優位性がうかがえる。

  • 課題の認識と解決4

    真球度70〜80μmにとどまる課題を、5軸マシニングセンターと非接触球面形状測定器で40μm以内・真球度1.5μmに改善した具体的な解決策が書かれている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    真球度や加工時間の目標達成数値は示されているが、付加価値額の増加や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員16名と記載があるのみで、補助事業を遂行する人材や事務処理体制についての記述は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    真球度を定量的に測れる点が高品質の商品提供につながり、医療機器メーカーからの受託開発の可能性が高いとの見込みが書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    今後は市場調査を行い試作品の売り込み先を探し、試作を重ねて商品完成を目指すという流れは示されているが、期限や具体的な方法は薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    人工股関節の真球度を高精度に管理する点や、レーザー用小径レンズの表面粗度0.5〜0.7nmを達成する高付加価値化が具体的に書かれている。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    メイド・イン・岩手の人工股関節開発や地元素材の活用が書かれ地域性はうかがえるが、国が補助する波及効果の記述は限定的。

  • 費用対効果3

    加工時間が4時間から45分に短縮されコスト面の優位性があると書かれているが、補助金額に対する付加価値増加の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    非接触球面形状測定器でのデジタル計測と切削・研磨へのフィードバックが書かれ、新しい技術活用は読み取れるが、サプライチェーンへの貢献までは述べられていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    医療機器分野への進出がうかがえるが、日本経済の構造転換に資するとの記述はない。

  • 地域経済への波及3

    岩手県の地元素材や県工業技術センターとの連携が書かれ、地域特性を活かした事業であることは読み取れる。

今後の展望

今後は市場調査を行いながら、人工股関節の試作品の売り込み先を探し、さらに試作加工を積み重ねて商品の完成を目指す。

事業者の声

真球の精度を継続的に高め、将来的には製品化を目指す

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。