ものづくり補助金平成24年度岩手県

VaRTM工法及び接着工法を用いたエアデフレクターの試作開発

ハイプラ化成株式会社

成果樹脂注入時間 60分/個→10分/個

この事例のポイント

  • スプレーアップ工法は作業者の熟練度によって製品品質や成形時間にばらつきが出る。
  • VaRTM工法の一種であるLight RTM工法(簡易的VaRTM)でエアデフレクターを試作し、提案予定メーカーの要望を取り入れて新たなマスター型を製作した。
  • 樹脂注入時間 60分/個→10分/個。Light RTM成形により、作業者の技能に関係なく品質の安定した製品を生産できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名ハイプラ化成株式会社
所在地岩手県 北上市
業種プラスチック製品製造業
技術分野溶射・蒸着
従業員数37人
資本金1,200万円
設立1979年

事業の背景

当社はトラック用エアデフレクター(風除け)などのFRP製品を手がけている。現在はスプレーアップ工法で受注生産しているトラック用エアデフレクターを、既存の発注メーカーから継続受注することが重要な課題だった。次期モデルの提案に向けて、製造方法の見直しが求められていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度スプレーアップ工法は作業者の熟練度によって製品品質や成形時間にばらつきが出る。
  • 人手・技能スプレーアップ工法は作業時間が長く、多くの人手を要する。
  • コスト・採算手作業中心の工程のため製造コストが高く、受注生産品の価格競争力に課題がある。

やったこと

VaRTM工法の一種であるLight RTM工法(簡易的VaRTM)でエアデフレクターを試作し、提案予定メーカーの要望を取り入れて新たなマスター型を製作した。キャビティ型とコア型を作り、4種類の樹脂を比較して粘性度や浸透性、硬化時間に優位性のあるものを選定した。コア型の樹脂注入口を4カ所、真空吸引口を両サイドに各1カ所とし、40個以上の試作を繰り返して位置を決めた。最適樹脂温度25度、型締め圧力-0.8気圧、樹脂吸引圧力-0.7気圧、樹脂注入圧力3気圧に設定し、樹脂注入時間を60分以上から10分に短縮した。補強部材の取り付けはオーバーレイ工法から接着工法に変更し、強度に不足がないことを確認した。

  • 金型Light RTM成形用キャビティ型下型Light RTM成形用コア型上型新たなマスター型

新しい製品・サービス:Light RTM成形によるトラック用エアデフレクター

事業の効果

  • 樹脂注入時間 60分/個→10分/個
  • 成形工程の作業時間(型整備から脱型まで) 225分/個→175分/個
  • 積層工程の作業時間 180分/個→90分/個
  • 1型あたりの成形サイクル 1回転/日→3回転/日

Light RTM成形により、作業者の技能に関係なく品質の安定した製品を生産できるようになった。製品の表裏とも滑らかで美観が良くなり、板厚と重量のばらつきも抑えられた。作業時間は全工程で50分/個短縮され、従来工法より約5,000円/個の成形コストを削減した。また有害ガスの揮発が抑えられ作業環境が改善し、若手や女性社員も作業に携われるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    既存のスプレーアップ工法からVaRTM(Light RTM)へ転換し、同社のFRP製品の主軸と位置付けると明記。過去の受注生産品を起点にしている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    品質ばらつきや作業時間の課題は示されるが、市場動向や競合に対する自社の強みは具体的に書かれていない。

  • 課題の認識と解決5

    スプレーアップの課題を明示し、作業時間を175分/個に短縮、約5,000円/個のコスト削減と数字で示す。

事業の実現可能性68%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    作業時間50分/個短縮、成形サイクルを1回転/日から3回転/日へ向上と目標数値があり、受注先の次期モデル検討も得ている。

  • 事業を進める体制2

    試作の実施体制は触れられるが、人材や事務処理能力を確保できているかは具体的に書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    品質の安定、美観の向上、若手や女性の作業参加を示し、既存発注メーカーからの評価を得ていると書かれている。

  • 事業化までの道筋4

    試作、量産性の実証、今後の受注提案や自動車内外装パネルへの展開など、段階的な進め方が示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    FRP成形の一般的な普及度には触れていないが、従来工法より高品質化を図る点は読み取れる。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    作業環境の改善や若手・女性の参加はうかがえるが、経済波及や雇用創出の国の関与理由は明確ではない。

  • 費用対効果4

    約5,000円/個のコスト削減、50分/個の時間短縮と数字で費用対効果が示されている。

  • イノベーションへの貢献2

    新しい成形法の採用は示されるが、デジタル技術やサプライチェーン全体のイノベーションへの言及は乏しい。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    岩手県北上市の地域企業である点は示されるが、地域の特性を活かした雇用創出の記述は薄い。

今後の展望

試作品のデータを従来製法で納品している発注メーカーに示したところ評価を得て、次期モデルの成形方法として検討されることになった。今後は既存発注メーカーへの提案を続けるとともに、自動車の内外装パネルや機械カバーなど他製品への展開も見込んでいる。現在スプレーアップ工法の製品をLight RTM成形へ順次転換する予定である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。