ものづくり補助金平成24年度宮城県

可搬型プローブ式振動粘度計の開発、商品化

東北電子産業株式会社

この事例のポイント

  • 振動粘度計は優位性が知られているものの、可搬型で製品化されているものはほとんどなかった。
  • 若月教授が発明したリチウムタンタレート単結晶を使ったすべり波振動子による振動粘度計を商品化した上で、新しいプローブ式電圧振動子を開発した。
  • 新開発したプローブにより、2種類の圧電振動子を用途に応じて選べるようになり、液体試料の温度も同時に測定できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名東北電子産業株式会社
所在地宮城県 仙台市
業種電気機械器具製造業
技術分野電子部品・デバイスの実装
従業員数50人
資本金6,000万円
設立1968年

事業の背景

一般的な回転式粘度計は、測定に数十ccの試料が必要で、試料粘度に応じてレンジを設定する必要があった。振動粘度計はセンサー振動子を液体に浸して測定する方式だが、数十KHzの振動子を使うためセンサーが大きく、可搬型の製品は少なかった。同社は平成23年から石巻専修大学の若月教授の指導を受け、メガヘルツ帯の振動子を使った可搬型製品の開発に着手していた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術振動粘度計は優位性が知られているものの、可搬型で製品化されているものはほとんどなかった。
  • 品質・精度従来のインピーダンス計測装置では、粘度が高いほど誤差が生じていた。
  • 新製品・新技術既存の製品は測定できる用途が限られ、固形化する試料の測定や温度の影響を考慮した測定に課題が残っていた。

やったこと

若月教授が発明したリチウムタンタレート単結晶を使ったすべり波振動子による振動粘度計を商品化した上で、新しいプローブ式電圧振動子を開発した。このプローブには、すべり波振動子と長さ振動子の2種類の圧電振動子を装着でき、プローブ先端の圧電振動子の近くに温度センサーを設置して液体試料の温度も同時に測定できるようにした。圧電振動子やガードは脱着可能とし、固形化した試料からプローブ本体を容易に引き抜き、新品を装着して再測定できる仕様とした。また、可搬型の直列抵抗測定装置を試作し、現場での計測を可能にするとともに、開発済みの恒温槽装置と接続して試料温度を任意に設定して測定できるようにした。さらに測定結果をグラフ表示するソフトウェアを開発した。

検査測定可搬型プローブ式振動粘度計
検査測定可搬型直列抵抗測定装置
ソフト測定結果のグラフ表示ソフトウェア

新しい製品・サービス:可搬型プローブ式振動粘度計

事業の効果

新開発したプローブにより、2種類の圧電振動子を用途に応じて選べるようになり、液体試料の温度も同時に測定できるようになった。固形化する接着剤や塗料なども、完全に固化するまで測定でき、固化後の温度変化も測定できるなど使用用途が広がった。可搬型化により現場での測定も可能となり、恒温槽と組み合わせて温度を任意に設定した粘度測定もできるようになった。これらは他社にない特徴で、営業面でも優位に立てると期待されている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存の振動粘度計を商品化した経緯と、若月教授の指導による継続開発が書かれ、事業の一貫性はうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    従来の回転式粘度計との差や他社にない製品という優位性は書かれるが、市場規模や競合の数値は示されていない。

  • 課題の認識と解決3

    可搬型で計測誤差や固形化後の測定という課題の解決が書かれるが、高付加価値化の具体的な目標は示されていない。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    年間1000万円の売上目標が示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員50人や研究開発の実績はうかがえるが、補助事業を遂行する体制の具体的な記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    エポキシ系接着剤や塗料、CFRPなどの研究開発分野でニーズが高いとし、顧客ターゲットと選ばれる理由が示されている。

  • 事業化までの道筋3

    平成28年の学会発表予定や導電性液体対応の追加開発が書かれ、今後の進め方はあるが期間やスケジュールは明確でない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    回転式粘度計が主流の中で、可搬型で固形化まで測れる振動粘度計を商品化しており、高付加価値の製品とうかがえる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    新素材分野の研究開発ニーズは示されるが、雇用創出や波及効果など国が補助する理由は書かれていない。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値増加の数値がなく、費用対効果は読み取れない。

  • イノベーションへの貢献3

    新たな測定手法による研究開発分野への貢献はうかがえるが、サプライチェーン全体への波及は書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    新素材分野や海外展開に触れるが、日本経済の構造転換に資する記述は薄い。

  • 地域経済への波及2

    宮城県仙台市の企業だが、地域の特性を活かした事業としての記述は読み取れない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

事業終了後に可搬型プローブ式振動粘度計を「スマート・レオメーターGmax」として商品化し、すでに販売実績も得ている。エポキシ系接着剤や塗料、CFRPなどの研究開発分野での需要を見込み、年間1000万円の売上を目指す。平成28年の成形加工学会での発表も予定している。今後は導電性液体試料に対応する圧電振動子の開発など追加開発を行い、製品のシリーズ化を図る。

事業者の声

開発なくして成長なし

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。