ものづくり補助金平成24年度神奈川県

革新的自動車用CNT蓄電池の開発

スペースリンク株式会社

この事例のポイント

  • CNTキャパシタは大型の容量を持たせることが難しいという技術的課題があった。
  • CNTキャパシタの実用化に向けた試作開発に取り組んだ。
  • ハイブリッド蓄電装置の提供を開始し、複数の引き合いを得ている。

事業者のプロフィール

事業者名スペースリンク株式会社
所在地神奈川県 藤沢市
業種電気機械器具製造業
技術分野組込みソフトウェア
従業員数17人
資本金3,500万円
設立2004年

事業の背景

当社はカーボンナノチューブ(CNT)のエネルギー分野への応用を世界に先駆けて研究してきた。CNTは日本で発見された素材で銅の100倍の高導電性を持つが、技術の応用は中国や台湾が先行し日本は遅れを取っていた。また人工衛星向け機器の開発も行い、搭載されるリチウムイオン電池の寿命が短いことを課題としていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術CNTキャパシタは大型の容量を持たせることが難しいという技術的課題があった。
  • 生産能力実験段階のサンプルはほぼ手作りだったため、製品として実用化するには専門の設備投資が必要だった。
  • コスト・採算専門的な機器の導入はベンチャー企業にとって経済的負担が大きく、開発の足かせになっていた。

やったこと

CNTキャパシタの実用化に向けた試作開発に取り組んだ。当社独自の技術により大型化の実験には成功していたが、サンプルはほとんど手作りの状態だった。そこで補助金により実用化に必要な炉と測定機を導入し、今後の製品開発に活用できる設備投資を行った。これにより、実験段階から製品開発へと大きく前進した。

新しい製品・サービス:ハイブリッド蓄電装置(UPS、夜間電力・太陽光発電の蓄電システムなど)

事業の効果

ハイブリッド蓄電装置の提供を開始し、複数の引き合いを得ている。展示会にも積極的に出展している。CNTを活用した鉛蓄電池の劣化回復剤を商品化し、鉛電池が使われている東南アジア市場への販売を進めている。将来的には電気自動車に搭載する蓄電装置の開発を目指している。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性53%
  • これまでの取組との一貫性3

    CNTキャパシタ開発を世界に先駆けて進めてきたと書かれ、長年の研究開発の延長として位置づけられている。ただ経営戦略との明示的な位置づけは薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    CNTは中国や台湾に遅れを取っていると書かれ、鉛やリチウムイオンより長寿命という強みは述べられている。市場動向の定量的根拠は薄い。

  • 課題の認識と解決2

    大型容量化の課題と手作り段階での設備不足が書かれているが、事業計画としての高付加価値化や成長の数値目標は読み取れない。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 事業を進める体制3

    従業員17名のベンチャーで、大手企業との連携や実験開発の実績は書かれている。ただ事務処理能力や補助事業の遂行体制の具体的記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    UPSや夜間電力・太陽光の蓄電システム、複数の引き合いや展示会出展が書かれ、顧客ニーズの一端がうかがえる。ターゲットの明確化は薄い。

  • 事業化までの道筋3

    量産体制の必要性や将来的に電気自動車向け蓄電装置を開発する目標が書かれているが、スケジュールや課題解決の方法は明確でない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性100%
  • 新しさ・高付加価値5

    CNTキャパシタは世界初の革新的蓄電池と紹介され、鉛やリチウムイオンより長寿命で安全という高付加価値の特性が書かれている。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    エネルギー問題解決や東南アジアへの鉛電池劣化回復剤の販売など、波及効果がうかがえるが、雇用や地域への効果は書かれていない。

  • 費用対効果2

    補助事業で炉や測定機を導入したことで実用化が前進したと書かれるが、投入額に対する効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献4

    CNTを用いた新しい蓄電技術と、UPSや太陽光蓄電など新製品の提供が具体的に書かれ、イノベーションへの貢献がうかがえる。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    エネルギー分野や電気自動車向け蓄電への進出が書かれ、成長分野への展開がうかがえるが、構造転換への言及は薄い。

  • 地域経済への波及2

    藤沢市の所在地は書かれているが、地域の特性を活かした事業としての記述はわずかにうかがえる程度である。

今後の展望

CNTキャパシタは様々な分野に応用できるため、共に開発を進めるパートナーを探している。将来の量産体制づくりに協力してくれるパートナーも求めている。また、世界で唯一4周波を同時受信できるマルチGNSS受信機も基礎研究が完了しており、他分野への応用を進める。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。