ものづくり補助金平成26年度製造業群馬県

難処理材質で形成された超微細部品への表面処理を可能とする生産工程・技術の確立

株式会社エルグ

成果不適合発生率を3%未満に抑えた

この事例のポイント

  • タングステンは表面処理が難しく、既存技術では処理できなかった。
  • タングステン専用の前処理工程を開発し、素材とめっき皮膜の密着を確保するエッチング技術を確立した。
  • 不適合発生率を3%未満に抑えた。難処理材質のタングステン超極細ワイヤープローブに、密着不良や無めっきがなく均一な表面処理を施せるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社エルグ
所在地群馬県 富岡市
業種金属製品製造業
技術分野表面処理
従業員数66人
資本金2,000万円
設立1947年

事業の背景

当社は群馬県富岡市で金属製品を製造しており、電子部品や半導体の微細化に伴い、半導体検査用コンタクトプローブに超微細化と高品質化が求められていた。コンタクトプローブは検査対象ごとに交換が必要で消費量が非常に多い。タングステンは硬度、弾性、耐熱性に優れ採用が検討されていたが表面処理が難しかった。当社は難処理材質以外のコンタクトプローブへの表面処理を年間200万本受注しており、このうち2社は既にタングステンなど難処理材質の機械加工を実施している。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度タングステンは表面処理が難しく、既存技術では処理できなかった。
  • 品質・精度超微細化・高品質化が求められるなか、高密着性で均一な膜厚の表面処理を施す技術が必要だった。
  • 生産能力電極ピッチの狭小化に対応するため、タングステン超極細ワイヤープローブの表面処理技術を確立する必要があった。

やったこと

タングステン専用の前処理工程を開発し、素材とめっき皮膜の密着を確保するエッチング技術を確立した。超極細ワイヤープローブの変形を抑えて表面処理を行う専用の工程設備を開発し、処理液槽で使用する専用治具と専用熱処理設備を導入した。仕上がり寸法を素材線径2μm以内に抑えた膜厚が均一なめっき処理工程を開発した。各処理工程を確立した後、試作を数十回重ねた。導入設備で一連の表面処理を実施し、目視、顕微鏡、マイクロメーター、蛍光X線膜厚計などで有効性を解析し、社内評価を行った。

加工機専用熱処理設備
その他表面処理工程用の処理液槽・専用治具

新しい製品・サービス:タングステン超極細ワイヤープローブの表面処理技術

事業の効果

  • 不適合発生率を3%未満に抑えた
  • 無めっきがゼロになった
  • 変形不適合発生率は1%未満
  • 工程能力指数(Cpk)は1.04

難処理材質のタングステン超極細ワイヤープローブに、密着不良や無めっきがなく均一な表面処理を施せるようになった。不適合発生率は3%未満で、仕上がり寸法は素材線径2μm以内を合格基準とし、工程能力指数は1.04と良好な数字を記録した。量産開始後は年間数万〜数十万本の受注を見込み、2019年度からの生産・販売を目指す。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性2

    過去の取組との一貫性は読み取れず、既存の表面処理技術では扱えなかった材質への挑戦という経緯のみがうかがえます。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    既存技術では不可能だった難処理材質タングステンへの表面処理を可能にし、既存取引先から年間200万本を受注している点から強みが読み取れます。

  • 課題の認識と解決4

    電極ピッチ狭小化の課題を認識し、密着不良発生率ゼロや不適合発生率3%未満という数字で解決の進捗が示されています。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    年間数万〜数十万本の受注が見込めるとし、工程能力指数Cpk1.04や不適合率3%未満という数値目標が示されています。

  • 事業を進める体制1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    顧客はコンタクトプローブメーカーで、タングステンの硬度・弾性・耐熱性が必要とされるニーズの裏付けが具体的に示されています。

  • 事業化までの道筋4

    試作を数十回重ね、新規設備導入後に量産化し2019年度から生産・販売を目指すとのスケジュールと課題解決の方法が示されています。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    タングステン超極細ワイヤーの表面処理は難しく、一般に普及していない分野で、高密着性という高付加価値化を図っている点が読み取れます。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    半導体の微細化対応という産業上の意義はうかがえますが、波及効果や雇用創出についての記述は少ないです。

  • 費用対効果3

    投資額や付加価値増加額の記載はないものの、受注見込みと市場拡大の可能性から費用対効果の方向性は読み取れます。

  • イノベーションへの貢献2

    半導体検査用プローブのサプライチェーンに関わる点はうかがえますが、デジタル技術やビジネスモデルの記述はありません。

政策面40%
  • 成長分野への進出3

    半導体の微細化・高機能化という成長分野への対応が示されていますが、日本経済の構造転換への言及は薄いです。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

量産開始後、年間数万〜数十万本のタングステンワイヤープローブ受注を想定している。展示会出展時には問い合わせが増大し、市場拡大の可能性が高い。今回導入した機械設備は現時点では量産対応しておらず、今後、新たな設備投資、量産試作・追加開発、営業・展示会出展を経て、2019年度からの生産・販売を目指す。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。