ものづくり補助金平成24年度宮城県

スマートフォン接続型モバイル糖度センサーの開発

ヤグチ電子工業株式会社

この事例のポイント

  • スマートフォン接続型の糖度センサーには、フルーツの種類によって皮の厚さが異なるため、センサーのセッティングを変える必要があった。
  • スマートフォン接続型の小型糖度センサーでは、糖類の吸収波長を考慮し、近赤外線LEDの出力波長と光センサーの受信波長の組み合わせを最適化するためテストを繰り返した。
  • 糖度センサーのハードとソフトの開発は完成しており、商品化に向けた課題の検討を進めている。

事業者のプロフィール

事業者名ヤグチ電子工業株式会社
所在地宮城県 石巻市
業種電気機械器具製造業
技術分野発酵
従業員数25人
資本金1,000万円
設立1974年

事業の背景

当社は電子機器や音響機器の実装・組立・検査を中心に事業を行い、これまでは主にBtoBの業務が中心だった。東日本大震災後、スマートフォンに接続して放射線を測定する「ポケットガイガー」を開発し、海外を中心に5万台以上を出荷した。この実績から、スマートフォンに接続するだけでさまざまな測定器になる点に着目し、地元の果物農家も多いことから新商品の開発に着手した。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術スマートフォン接続型の糖度センサーには、フルーツの種類によって皮の厚さが異なるため、センサーのセッティングを変える必要があった。
  • 新製品・新技術果物ごとにセンサーを用意するか、オールマイティに対応できる一つのセンサーにするかを、コストとニーズのバランスを見ながら判断する必要があった。

やったこと

スマートフォン接続型の小型糖度センサーでは、糖類の吸収波長を考慮し、近赤外線LEDの出力波長と光センサーの受信波長の組み合わせを最適化するためテストを繰り返した。スマートフォン本体の電源でまかなえるよう、発光・センシングを効率的に行う回路を設計した。小型センサー部から送られたデータをもとにリアルタイムで信号処理を行うロジックを開発した。糖度を表示するアプリケーション画面は、海外展開も見据えてユニバーサルデザインを目指した。製造成形用の金型と量産試作基板の製作に着手し、多品種小ロット製品をワンストップで製作できるエラストマ成形機と、LEDとセンサーの位置に約0.1mmの精度を実現する高精度チップマウンターを導入した。

加工機エラストマ成形機
加工機高精度チップマウンター

新しい製品・サービス:スマートフォン接続型モバイル糖度センサー

事業の効果

糖度センサーのハードとソフトの開発は完成しており、商品化に向けた課題の検討を進めている。一般消費者向けの販売を想定し、価格を抑えるためのコストダウンを検討している。スマートフォン用センサーの開発ノウハウを活かし、PM2.5を計測する「スモッグチェッカー」が2016年夏に商品化された。塩分センサーも商品化が近い。クラウドファンディングによる資金調達で新商品開発のリスクを減らすことも可能になった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    ポケットガイガーの開発実績から新商品へ展開したと読めるが、経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    海外で注目され5万台以上を出荷した実績があり、BtoB中心の業務からBtoCへの展開を掲げている。強みへの言及はあるが定量的な市場分析はない。

  • 課題の認識と解決3

    糖度センサーの商品化に向けた課題(皮の厚さによるセッティング差)を挙げ、今後のコストとニーズの判断を示している。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。今後の展望として価格を抑えた一般消費者向け販売がうかがえる程度。

  • 事業を進める体制3

    ポケットガイガー開発・商品化の実績と、小型センサー・信号処理・アプリを開発完了した経緯から体制がうかがえる。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    農家など業者向けに開発し、将来は一般消費者向けを想定と記載。ターゲットと用途は読み取れるが、ニーズの裏付けは数字で示されていない。

  • 事業化までの道筋3

    量産に向けた金型・量産試作基板の着手や、クラウドファンディングによる資金調達手法が書かれ、遂行方法は一定程度読み取れる。

  • 財務と資金の調達2

    新商品開発には多大な費用が必要と述べ、クラウドファンディングでの資金調達を活用するとあるが、財務状況の記載はない。

新市場性・高付加価値性40%
  • 新しさ・高付加価値2

    スマートフォン接続型の糖度センサーは新分野と読めるが、市場の普及度や高付加価値化の水準を示す記載は乏しい。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    東日本大震災で疲弊した地元の役に立つ商品を目指し、果物農家が多い地元での新商品開発と記載されている。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献3

    スマートフォンに接続するセンサーとクラウドファンディングという新しい販売手法に取り組んでいる点が読み取れる。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    スマートフォン接続型のセンサーという成長分野への進出はうかがえるが、構造転換への言及は明確ではない。

  • 地域経済への波及3

    果物農家が多い地元の役に立つ新商品という地域性への言及があり、地域の事業者への波及がうかがえる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

BtoCの展開にも力を入れ、今後も企業や一般消費者の役に立つ製品を作り続けていく。

  • 目標:ポケットガイガーはこれまでに5万台以上を出荷した。
  • 目標:LEDとセンサーの位置に約0.1mmの精度を実現する高精度チップマウンターを導入した。

事業者の声

当社からの「こんなことができますよ」や、取引先からの「こんなものが欲しい」に対応し、技術力と高品質を背景に、さまざまな製品を展開しています。これからも企業や一般消費者の役に立つ良いものを作り続けていきたいと思います。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。