ものづくり補助金平成24年度宮城県

ステンレスパネルを利用した新発酵技術による商品開発

株式会社平孝酒造

成果醸造期間(年あたりの醸造回数) 2期→3期

この事例のポイント

  • 年2期の醸造では社員の通年雇用を維持することが難しく、季節雇用に頼らざるを得なかった。
  • 吟醸用の仕込蔵をステンレスパネルで囲い、外気温の影響を排除した。
  • 醸造期間(年あたりの醸造回数) 2期→3期。ステンレスパネルと冷却設備により外気温に左右されず全タンクで均一な発酵管理ができるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社平孝酒造
所在地宮城県 石巻市
業種食料品製造業
技術分野動力伝達
従業員数9人
資本金1,000万円
設立1861年

事業の背景

文久元年創業で、南部杜氏の流れを汲む江戸時代から続く老舗酒蔵である。以前は普通酒を主力とし地元の酒屋で販売していたが、価格競争の悪循環に巻き込まれ廃業寸前の状況だった。一方で都市部では地酒が注目されていたため、高級酒「日高見」ブランドを構築して都市部での営業展開に力を注いだ結果、現在では6割が県外への出荷となっている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能年2期の醸造では社員の通年雇用を維持することが難しく、季節雇用に頼らざるを得なかった。
  • 品質・精度仕込蔵は外気温の影響を受けやすく、発酵タンクの場所によって微妙な温度差が生じ、品質を維持するための安定した温度管理が課題だった。
  • その他東日本大震災で仕込蔵が大きなダメージを受け、大幅な改修が必要になった。
  • 生産能力仕込み期間を伸ばして売上げを増やす必要があった。

やったこと

吟醸用の仕込蔵をステンレスパネルで囲い、外気温の影響を排除した。さらに冷却設備を設置して安定した温度管理の実現を目指した。また衛生面の向上のため、従来になかった排水設備を整えた。仕込蔵の改修に合わせて、温度管理と衛生管理を高度化し、3期醸造への転換を図った。新商品については宮城県酒造組合より酒米を購入し、「鮨に合うお酒」をコンセプトに付加価値の高い純米大吟醸の開発に着手した。

その他ステンレスパネル
その他冷却設備
その他排水設備

新しい製品・サービス:日高見 純米大吟醸 弥助

事業の効果

  • 醸造期間(年あたりの醸造回数) 2期→3期

ステンレスパネルと冷却設備により外気温に左右されず全タンクで均一な発酵管理ができるようになった。これにより仕込期間が従来の10月上旬から4月までから、9月中旬から6月下旬までへと長期化した。タンクごとの味わいの差が生じない高品質商品の増産が可能となり、雇用の安定という当初の課題もクリアできた。新商品の日高見 純米大吟醸 弥助は市場デビューを果たした。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    従来の年2期醸造からステンレスパネルと冷却設備による3期醸造へ転換した経緯が書かれ、過去の課題からの一貫性がうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    都市部で地酒が注目される中、高級酒「日高見」ブランドを構築し県外出荷が6割とあり、市場動向を捉えた強みがうかがえる。

  • 課題の認識と解決4

    仕込期間が10月上旬から4月から9月中旬から6月下旬へ長期化し、季節雇用から通年雇用への課題と売上増加を結びつけて解決に取り組んだ。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    仕込期間の長期化は示されるが、付加価値額や賃上げの目標値、その実現可能性についての数値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員数9人と記載はあるが、補助事業を遂行する体制や事務処理能力についての記述は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    鮨に合うお酒をコンセプトに付加価値の高い純米大吟醸を開発し、高級指向のニーズや魚介に合う点を選ばれる理由として整理している。

  • 事業化までの道筋3

    ステンレスパネル設置、冷却設備、排水設備整備など遂行方法は示されるが、スケジュールや中長期の検証内容は具体的に書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    日本酒の中でも鮨に合う高付加価値の純米大吟醸を開発し、トップグレードとして高水準の高価格化を図る点が読み取れる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    震災被害からの復旧にとどまらず地元の安定雇用に貢献する思いが書かれ、地域の雇用創出という国が補助する理由がうかがえる。

  • 費用対効果2

    費用対効果を示す数値はなく、醸造期間の長期化や増産による効果が定性的に述べられるにとどまる。

  • イノベーションへの貢献2

    デジタル技術の活用は書かれておらず、ステンレスパネルと冷却設備による温度管理の高度化が中心で、サプライチェーンへの貢献は薄い。

政策面50%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及4

    港町石巻の地域性を活かし魚介に合う酒をテーマに、地元の雇用安定と石巻発の商品発信を進める点が具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

日本酒が高級指向になっていることから、今回の追加ラインナップは時宜に適ったものとなった。まずは国内市場での評価を得ることを第一に酒造りに努める。国内で評価されることが、結果的に海外からの引き合いにつながると考えており、日本酒ブームに湧く海外市場も視野に入れている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。